Mリーグ女流雀士インタビュー(4)東城りお@後編 1月3日から再開されたMリーグ2021。3月11日のレギュラーシーズン…

Mリーグ女流雀士インタビュー(4)
東城りお@後編

 1月3日から再開されたMリーグ2021。3月11日のレギュラーシーズン最終日に8チームのうち上位6チームに残れば、その後に控えるセミファイナル、ファイナルへと道がつながる。

 後半戦から熾烈を極めた戦いが繰り広げられるなか、年明け最初の試合で2連勝と幸先よいスタートを切ったセガサミーフェニックス。その2回戦目に出場してチームを2連勝に導いた東城りお選手(日本プロ麻雀連盟)に、初めて挑むMリーグでの意気込みなどを聞いた。

「Mリーガーになるために決意の離婚も経験した」

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東城りお(とうじょう・りお)1990年9月18日生まれの31歳

---- 年明け最初の登板で勝利して、昨年末からの個人連勝を3に延ばしました。それだけに東城選手の戦績で目立つのが、3戦目から3試合連続でのラス(4位)です。この時期は『Mリーグの壁』のようなものがあったのでしょうか?

「その時期はちょうど私の所属する日本プロ麻雀連盟が主催する『プロクイーン決定戦』というタイトル戦があって、その優勝をもう少しのところで逃したのが大きく影響しましたね。フェニックスのサポーター、チームメイトや監督、スタッフには申し訳なくて。多くの人たちに励ましてもらって、少しずつ立ち直れました」

『第19期プロクイーン決定戦』は決勝進出者5名によって延べ3日間・計12回戦で争われるタイトル戦。2021年は初日が10月10日、2日目が10月17日、最終日が10月24日に行なわれた。

 優勝は二階堂瑠美選手(EX風林火山/日本プロ麻雀連盟)が第11期以来2度目の戴冠。東城選手は最終日の12回戦・最終局まで優勝の芽があったものの、逆転優勝をかけた渾身のリーチは空振り、僅差でタイトル奪取を逃した。そして、このプロクイーン最終戦の敗北の2日後、自身3戦目の登板となった10月26日からMリーグ3戦連続でラスに沈んだ。

---- Mリーガーの戦いはMリーグだけではない、ということですね。

「ただ、それは言い訳にはできないですよね。みんながそのなかで戦っているので。11月26日の2回戦で、うちのチームの茅森(早香/最高位戦日本プロ麻雀協会)さんがオーラス(最終局)でラスからトップになる大逆転をしたんですね。

 対局が終わったのは終電目前だったんですけど、対局者の(二階堂)亜樹さん(EX風林火山/日本プロ麻雀連盟)と松本(吉弘/渋谷ABEMAS/日本プロ麻雀協会)さんは翌日の昼12時から『第46期王位戦』の準決勝があって。みんなそういうのを抱えながら、Mリーグでも結果を残しているので」

---- Mリーグでの東城選手の戦績は、2回戦目に登板した場合は1着が4回。一方で1回戦目は4試合に登場してデビュー戦の2着以外はすべてラス。なにか理由があるのですか?

「アハハハ。私は完全に夜型人間なので、夜は元気なので2回戦目の登板がいいんですよね。さらに座る場所が西家か北家の場所なら、もっと元気です(笑)」

---- 1回戦目は19時スタートで、2回戦目は1回戦が終わってからのスタート。開始時間が不規則でも2回戦目がいいんですね。

「Mリーグのルールで、1回戦目に出場する選手は試合当日の午前中に選手登録の確認連絡を済ませる必要があるんですね。でも、起きられなくて(笑)」

---- 生活のリズムを変えないことが大事、ということですね。

「睡眠が大事すぎて、最低8時間はぶっ通しで寝たいんですよね。朝方5時、6時に寝て、14時くらいに起きるのが私にとって完璧なリズム(笑)。あと、食べることも大切にしています。100%集中できる準備をするのを心がけています」

---- 食べ物に縁起を担ぐこともありますか?

「ジンクスはけっこうあるんですけど、お米は必須ですね。摂らないと頭はまわらないし、体力がもたないので。あとは、カレーと肉ですね(笑)」

---- 開幕してから、生活のなかでのMリーグの存在感は変化しましたか?

「単純にいえば、生活の一部になってきていますね。自分のチームが出ていない日でもMリーグを見ますし。Mリーグがない日は寂しいので、過去の対局を見返すようになりましたからね(笑)」

---- 過去対戦を見直す一番のメリットはなんですか?

「牌譜検証などもするんですが、一番は自分の精神状態を再確認できるところですね」

---- 具体例を教えてもらえますか?

「(鈴木)たろうさんと堀さんと(白鳥)翔ちゃんと対局して、最終局に翔ちゃんにまくられて4着になってしまった試合があるんですけど、オーラスで私のずるさが出ちゃったなと反省しました」

 11月5日の1回戦。結果は1着・鈴木たろう(赤坂ドリブンズ/日本プロ麻雀協会)、2着・堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ/日本プロ麻雀協会)、3着・白鳥翔(渋谷ABEMAS/日本プロ麻雀連盟)。3着目の東城選手は親番の最終局、4着目の白選手に対して7300点差でリードして迎えたものの、白鳥選手とのリーチ対決に敗れて、東城選手は2戦連続での4着となった。

---- 最終局に親の東城選手は中・ドラ1・赤ドラ2の満貫(12000点)でテンパイしていましたが、白鳥選手のリーチを受けるとツモ切りで追っかけリーチをしました。

「テンパイした時は、すでに私のアガリ牌をたろうさんと堀さんが捨てていて。リーチしなければ、もしかしたらこぼれ出るかもと思ってヤミテンにしたんですよね。

 でも、あの時点で私が戦っていたのは(白鳥)翔ちゃん。同じ負けるにしても、翔ちゃんを押さえつけるために先制リーチをしなきゃいけなかったなぁと。しかも、たろうさん、堀さんにはテンパイを見抜かれていて」

---- テンパイしてすぐにリーチができなかったのは、プロクイーンズ決定戦での敗戦からメンタルが立ち直ってなかったから、ということですか。

「そうですね。ただ、Mリーグで4着になった3試合を振り返ると、ふだんの精神状態ならリーチを打っているような場面で、リーチが打てなかったんですよね。そこはメンタルの弱さが出たなと思います。

 リーチする時は、リーチすることで生じる自身のメリット・デメリットを判断するんですけど、あの時はデメリットばかりにとらわれていたなと。試合を見返して、あらためてリーチの強みを感じましたね」

---- 次から次へとツモ番がまわってくる短い時間で、麻雀は考えることが山ほどあります。その判断に精神状態が影響するのでしょうか。

「精神状態をどう維持するかは大事ですね。そのうえで、自分の手を真っすぐに組むにはどうすればいいのか。どうやって攻め返したらいいのか。いろいろ考えています」

---- そうした苦悩が東城選手の場合、時に表情に出るわけですね。

「自分では出さないようにしているつもりなんですけど、Mリーグの時は表情に出ているかもしれないですね(苦笑)」

---- 東城選手の手組みの特長を教えてください。

「割と最短ルートを辿りたいタイプなんですよね。私は、テンパイってその瞬間は一番偉いと思っていて。ただ、待ちが悪かったり点数が低い時は、押し返された時のリスクはあるので、局面ごとにバランスは取るようにしていますが、できるだけストレートな攻撃型でいたいなと思っています」

---- Mリーグのレギュラーシーズンは後半戦に入り、その先にはセミファイナル、ファイナルがあります。最後に優勝に向けての意気込みを聞かせてください。

「チーム戦なんですけど、チームのために、と考えすぎないようにしたいですね。私は物事にとらわれると、できたことができなくなっちゃうタイプなので。ひよらずに自分らしい麻雀を打ちたいですね。『これ切ったら楽しいよね!』っていう感覚を大事にして戦っていきたいと思っています」

【profile】
東城りお(とうじょう・りお)
1990年9月18日生まれ、秋田県出身。上京して雀荘でアルバイトをしている時、プロ雀士の存在を知ってプロになることを決意。現在は日本プロ麻雀連盟所属。2021年、セガサミーフェニックスからドラフト指名を受けてMリーガーとなる。