10月29日、第1回パラスポデザインカレッジでは車いすバスケットボール日本代表・豊島英さんをゲストに迎えました。18年の…

10月29日、第1回パラスポデザインカレッジでは車いすバスケットボール日本代表・豊島英さんをゲストに迎えました。18年の競技生活に終止符を打った豊島さんが、東京パラリンピックについて、引退後について語ってくれた。

豊島英さんの一問一答

— 東京パラリンピックで銀メダルを獲得できた1番の要因

リオ五輪からの5年間で若手が成長したというのが1つあって、それとともに今まで経験していた選手がしっかり自分の仕事を全うして、一人一人が本当にあの場で全力を出し切れたというところに尽きると思います。これまでの日本代表の戦い方が、前半負けていても後半逆転して勝つというシナリオだったので、今回も前半負けている試合が多かったんですけど、最後まで仲間信じてみんなが最後までやり続ける。それをやり続けられたというのが勝因だったなと思います。

— 日本代表のキャプテンとして常に心がけていたこと

僕自身プレーで引っ張っていくタイプでも、強い口調で引っ張っていくタイプでもありません。でも、どこかで選手が見ていると思っていたので、しっかり日本代表らしく責任を持って生活する、プレーするというところは心がけてはいました。それ以上に選手一人一人の個性を消したくないと思っていたので、一人一人にリーダーシップを持って、それぞれがリーダーになれるように「このチームで力を発揮して欲しい」ということは始めの頃に言っていました。(東京パラリンピックでは)本当に一人一人がしっかりリーダーシップをとって、最後の試合まで出し切れたというのがずっと言ってきて良かったと思っています。

 

— 日本代表チームはどんなチーム?

年代がバラバラなんですけど「何でも言えるようなチームになろう」というのも言っていまして、そういったものを少しずつではあるんですけど、言えるようになったり、逆に指摘しています。中々昔はなかったんですけど、お互いがそういうこともできるようになってきて、良いところだけではなくて悪い部分も共に修正できるようなチームになっていったことが、チームワークがよくなった一つの要因ではあるかなと思います。個人的には、12ヵ国今回出ていましたけど、1番チームワークとしては良かったのが日本代表かなって思うくらいみんなのことは信頼していますし、本当に頼もしく思っているので、良いチームメイトです。

— 車いすバスケットボールのどのようなところに魅力を感じる?

僕自身バスケットボールと出会う前に、チェアスキーと陸上競技の三輪でやる車いすを使って陸上も体験したことがあるんですけど、どちらも個人競技でした。バスケットボールと出会って仲間っていいな」と思ったのも一つありますし、シュートを決めてる先輩、スピードを出して走っている先輩とかを見て、自分もそういったものが出せたらいいなと思って、そこに魅力を1番感じましたね。スピード感だったり激しさっていう、やはり日常の生活では味わうことができなかったところを、バスケットボールで体験したり、カバーすることができるっていうのに気づいた時に魅力を感じました。

 

— 今までで最も思い出に残っている試合について

今回の東京パラリンピックでメダルを獲った時がやっぱり1番。僕はもう競技生活を終えるという引退宣言をしているんですけども、その最後の試合で負けはしましたけど、日本代表として今までにない成績を残してメダルを獲れたということが1番良い思い出ですね。


— 金銭的に競技を続けていく上で大変だったこと

バスケットを始めたときは先輩の車いすを借りてやっていたので、自分に合った車いすは中々すぐには手に入らなかったんです。少しずつ先輩がより自分に合ったものを持ってきてくれたり、県の補助金を使って僕用に車いすを作ってくれたりしていたので、少しずつ良いものが自分のところにはきていましたけど、中々自分でお金を出して自分に合った車いすを作るというまでには時間がかかったことを覚えています。少しずつ日本代表で活動するようになって、連盟のスポンサーさんから車いすを提供していただくことも最近はできるようになったので、今の代表の人は少しずつそういったところも改善されてきているのかなと思います。けれども代表に行けない人、まだ実力がない子どもたちはそういったものを手にすることができないので、そういったところにはまだまだ課題はあるかなと思います。

— パラアスリートに協力的な企業が増えているが、多くの選手にとって車いすバスケットボールをする環境が整っていると感じる?

少しずつ整ってきているかなと思います。アスリートの雇用が少しずつ増えているのも東京パラリンピックが決まってからなので、このアスリート採用というものを東京パラが終わってからも引き続き継続していってほしいなと思います。その反面、僕は社会人経験を経てアスリート採用していただいたんですけど、今の若い子たちは学生卒業後、すぐアスリート採用してもらっている人が多くて、プレーヤーとしてはすごい環境が整っていて良いとは思うんですけど、社会人の厳しさだったり、社会に出て学ぶことっていうのが中々学ぶことができないので、そういったところも踏まえてのアスリートとの両立。そういったところも今後課題にはなってきているのかなと思っています。

 

— ドイツでプレーして感じた日本との差は?

日常生活の面ではそれほど変わりがなくて、ドイツリーグにいる選手も日本人選手と同じように、仕事をして夜練習をする選手もいれば、僕たちのようにアスリートとして普段からトレーニングを積めるような環境にいる選手もたくさんいました。それほど環境の面では違いがないかなと思いますが、日本でできなかったリーグがドイツにはあります。毎年秋冬シーズンになっているんですけど、毎週試合があるので一週間でチームを次の対戦に向けて作っていったり、相手に合わせてチームを作っていったりということは中々日本では経験することがありません。そういったところは海外に行って学んだことではあります。日本人選手よりやはり自己主張が強いので、そういったところは良い面と悪い面があるなとは思いますけど、日本人の中では時にはそういった自分をアピールする時間帯っていうのも試合を勝つ上では必要な時もあるんだなと再確認できました。

— 引退後はどのような活動をしていく? また、車いすバスケットボールにどのような立場から携わりたい?

僕の軸足は働くことに置くと思うんですけど、「バスケットボールに関わっていきたい」とも思っています。現在連盟の技術委員会という委員会に入りまして、今後日本代表の活動をサポートしたり、それ以外にも全国の若手の発掘や育成にも関わっていけるようなポジションに着くことができたので、そういったところから障がい者、健常者、年齢問わずたくさんの方にパラスポーツの魅力、車いすバスケットボールをやってもらえるようなきっかけを作っていきたいなと思っています。

— 日本がパリ五輪以降で金メダルを目指していくためには何が必要?

ヘッドコーチやアシスタントコーチではなくて、日本代表を支える側になります。戦略とか戦術のことに関してはわからないんですけど、今回銀メダルを獲ったからといって世界にまた通用するわけではありません。次は追われる立場ですし、そういった面ではこの5年間より更に厳しいトレーニングを積んでパリに向けて準備しなくてはいけないと思います。今回のメダルというものを経験した選手は、もう次に切り替えて全力を出していく3年間にしなくてはいけないなというふうには感じています。

— 車いすバスケットボール界全体での課題とは

僕は選手としてリーグがあって欲しかったなっていうのが1番思っていることなので、そういったリーグが今後立ち上がるように、立ち上がらせられるように、僕自身活動していきたいと思っています。それは今の連盟に集めていただいている金銭面だけでは、全国を回って試合を開催するということは難しいです。チーム運営になってくると思うんですけど、そういったところに協賛していただけるような会社がどんどん増えていくということが一つあるかなと思いますね。

— 障害の基準によって健常者が行うバスケットボールにも車いすバスケットボールにも参加できない人がいる現状について

難しいですね。バスケットボールの普通の競技ルールがあるように、今のルールに従ってやらなくてはいけないっていうところで仕方ないという思いもあります。それでも、車いすバスケットボールの場合、色々な障害があっても参加できるようなルールを作ってきたので、そういったものを改めてもう一度考え直すというのことも一つ方法としてはあるのかなと思います。僕自身がどうすれば良いのかわからないんですけど、誰でも挑戦できるようになっていくことは、本当に必要だなって思いますね。

— スポーツに取り組んでいく全ての子どもたちや学生に一言

この車いすバスケットボールやパラスポーツ何でも良いんですけど、障がい者だけがやれば良いスポーツではなくて、やっぱり健常者の方も体験できるし、試合もできるし、別の角度の支える側としてもスポーツに関わることができるので、「自分が何をやりたいか」ということを見つけられるようなスポーツ界であって欲しいと思います。そういうものを皆さんには見つけてもらいたいなと思っているので、興味があることをどんどんどんどん追求して、自分の道を開いていって欲しいです。

「パラスポデザインカレッジ」とは

サントリーホールディングス株式会社が2014年に立ち上げた「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」の一環としてスタート。次世代を担う大学生たちが、パラスポーツを切り口に共生社会について自ら考え、アクションを起こして発信してく1年間にわかるプロジェクト。車いすバスケットボールを中心に、大学生たち自身が試合のLIVE配信や選手インタビューを行い、さまざまなコンテンツを継続的に発信する。