今週から今年最初の東京開催がスタート。その幕開けを飾る重賞、GIII根岸S(東京・ダート1400m)が1月30日に行なわれる。 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着3回と安定した成績を残している。しかしながら、決して"…

 今週から今年最初の東京開催がスタート。その幕開けを飾る重賞、GIII根岸S(東京・ダート1400m)が1月30日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着3回と安定した成績を残している。しかしながら、決して"堅いレース"とは言えない。その証拠に、8番人気以下の伏兵が馬券圏内(3着以内)に何度も突っ込んできており、3連単の配当が万馬券にならなかったのはわずか1回。5万円を超える好配当もしばしば生まれている。

 そして今年も、1番人気はソリストサンダー(牡7歳)が濃厚と見られるが、その他のメンバーは各メディアによっても評価が分かれるところ。かなりの混戦模様と言え、展開次第では"大荒れ"となる可能性も十分にある。

 ならば、穴狙いに徹してみるのも悪くないだろう。そこで、年明けのGIII京成杯でも上位馬も見つけ出した"過去10年の結果"を参考にして、今年のレースで台頭しそうな伏兵馬をあぶり出してみたい。

 まず注目したいのが、前走で重賞、もしくはオープンクラスのレースを勝っていながら、人気薄になりそうな馬である。過去にも、こうしたタイプが何度か波乱を演出しているからだ。

 たとえば、2012年に9番人気で2着入線を果たしたトウショウカズン、2014年に8番人気で2着と好走したノーザンリバー、2016年に6番人気で2着となったタールタンらがそうだ。

 トウショウカズンとタールタンはオープン特別を、ノーザンリバーはGIIIカペラS(中山・ダート1200m)を勝って挑んだが、その勝利がフロック視されたり、有力メンバーがそろっていたりして、低評価にとどまっていた。

 今回のメンバーを見渡すと、1番人気と目されるソリストサンダーを除けば、オーロラテソーロ(牡5歳)、テイエムサウスダン(牡5歳)、ヘリオス(せん6歳)がこのパターンの候補となる。

 このうち、美浦トレセンの畠山吉宏厩舎所属のオーロラテソーロは評価を下げたい。というのも、過去10年で馬券に絡んだ30頭を見ると、美浦所属の馬は2018年のレースを制したノンコノユメただ1頭しかいないからだ。

 また、テイエムサウスダンは前走で地方交流重賞のGIII兵庫ゴールドトロフィー(12月22日/園田・ダート1400m)を勝っているが、過去例に挙げた3頭はいずれも前走でJRAのレースを勝利。その点を踏まえて、同馬も強くはオススメできない。



東京・ダート1400mの舞台で2連勝中のヘリオス

 残ったのは、ヘリオス。2走前のオープン特別・グリーンチャンネルC(10月10日/東京・ダート1400m)、前走のオープン特別・霜月S(11月21日/東京・ダート1400m)と連勝中で、それなりの人気が予想されるが、今回と同じ舞台で強さを見せてきた同馬であれば、再び上位争いに加わってもおかしくない。

 続いてピックアップしたいのは、前走で3、4着に終わった追い込み馬である。根岸Sではこういったタイプの馬の好走が際立っているからだ。

 2012年に4番人気で快勝したシルクフォーチュン、2013年に5番人気で勝利したメイショウマシュウ、2014年に4番人気で勝ったゴールスキー、2019年に5番人気で3着となったクインズサターン、2020年に9番人気で3着と健闘したスマートアヴァロン、2021年に10番人気で2着に突っ込んできたワンダーリーデルなどがいい例となる。

 今年のメンバーでこのパターンにハマりそうなのは、エアアルマス(牡7歳)、オメガレインボー(牡6歳)、スリーグランド(牡5歳)、タガノビューティー(牡5歳)。どの馬も面白い存在ではあるが、過去の例に挙げた馬たちは皆、直近3走のどこかでメンバー最速の上がりをマークしていた。

 この条件をクリアするのは、オメガレインボーとタガノビューティー。ともに直近のレースでも奮闘を繰り返しており、秘めた末脚が炸裂すれば、ゴール前で強襲するシーンがあっても不思議ではない。

 最後に加えておきたいのは、芝やダート、地方交流などを問わず、過去にGI勝ちがありながら、近走の不振によって人気が急落している馬である。2012年に5番人気で3着となったテスタマッタ、2016年に10番人気で3着に入ったグレープブランデー、2018年に6番人気で勝利したノンコノユメと、こうしたタイプも時に好配当をもたらしているからだ。

 今回もこれらに似た馬が1頭いる。タイムフライヤー(牡7歳)である。

 同馬は2017年のGⅠホープフルS(中山・芝2000m)を勝った実績を持つ。その後、ダート路線に活路を見出し、2020年にはGIIIエルムS(札幌・ダート1700m)を制覇。昨年のこのレースでも3着(2番人気)という結果を残している。

 ただし、近走は馬群に沈むシーンばかりで、その評価は下がる一方。前走も霜月Sで9着と惨敗を喫した。おかげで、今回も人気が上がる気配はないが、同タイプの馬が過去に激走した例があることを鑑みれば、同馬の一発に賭けてみるのも一興ではないか。

 激戦必至の根岸S。予想のうえでは難解を極めるが、その分、配当が高くなる可能性は大いにある。それを生み出すのは、ここに挙げた馬たちかもしれない。