アトレチコとの第2レグに先発出場も… 準々決勝まで勝ち進んだ欧州チャンピオンズリーグ(CL)により、レスターは4月から1週間に2試合をこなす過密日程期に突入した。クレイグ・シェイクスピア監督はローテーション制を採用し、FW岡崎…


アトレチコとの第2レグに先発出場も…

 準々決勝まで勝ち進んだ欧州チャンピオンズリーグ(CL)により、レスターは4月から1週間に2試合をこなす過密日程期に突入した。クレイグ・シェイクスピア監督はローテーション制を採用し、FW岡崎慎司もこの中に組み込まれた。

 それゆえ、15日に行われたプレミアリーグ32節のクリスタルパレス戦では「ベンチスタート+出番なし」で、中2日で行われるアトレチコ・マドリーとのCL準々決勝・第2レグに向けて温存されたように思えた。しかし試合後の本人は、「温存? いや、たぶん普通に外れたと思います。監督からは何も言われていないので。アトレチコ・マドリー戦は正直どうなるか分からない」と心配顔。スタメン落ちの可能性もあったようだが、無事、第2レグの先発メンバーに名を連ねた。

 4−4−1−1のセカンドストライカーの位置に入った岡崎は、キックオフから精力的に走り回った。前線から敵を追いかければ、ピッチを幅広く動いてパスコースをつくる。21分のチャンス時にはペナルティエリア内へ猛突進。枠を捉えきれなかったが、ジェイミー・バーディーのクロスボールに右足のアウトサイドで合わせ、チームにとって前半最大の決定機もつくった。

 ところが、26分という早い時間帯で失点してしまう。アウェーゴールを奪われたことにより3ゴールが必要になったクレイグ・シェイクスピア監督は、後半開始時からフォーメーションを3−4−2−1に変更。前半だけで岡崎を交代し、代わりに長身FWのレオナルド・ウジョアを投入した。岡崎にとってCL準々決勝は、第1レグに続いて第2レグも前半の45分間だけで終わってしまったのである。そして、レスターも2試合合計のスコアで1−2で敗れた。

 試合後の岡崎は「(後半に)自分があそこに立ってないんだろうって気持ちになりました」「戦術的な交代ということは分かっていても、受け入れられない部分がある」と、悔しそうな表情を浮かべていた。

 ただその一方で、キャリア初参戦となったCLに出場できたことには充実感を漂わせた。「グループリーグ6試合」+「決勝トーナメント4試合」の計10試合で、岡崎が先発したのは5試合。得点は、GL5節クラブ・ブルージュ戦で記録した1ゴールに終わった。

「ヨーロッパの選手たちはこの大会を目指している。それぐらい価値のある大会に出場して、毎年出ている選手は羨ましいなという感情になった。ベスト4に行きたかった。そして、これが続いて欲しいと思った。勝ち上がっていいものを見たい。そういう想いにさせてくれる大会でした。

 重要度で言ったらW杯の方が高いですけど、そこに懸ける想いは同じような気がします。あと、1試合の重みもありますね。だって、決勝トーナメントは(H&Aの)2試合しかないですから。そこで勝つか負けるかで全然違ってくる。自分もこの試合で1発決めていれば、欧州での評価も全然変わってくると思う。

 試合に勝てば次に進める。CLにはそういう興奮があった。しかも、明らかに力のあるスペインのチームとも試合ができた。それを実現してくれるのがチャンピオンズリーグ。プレミアリーグでやっているとPLのチームとしか対戦できない。でも、CLでは他国のチームと対戦でき、自分に何ができるのかを試せた。自分を成長させてくれる、また出たいと思うような大会でした」
 向上心の塊である岡崎にとって、欧州の強豪クラブとの対戦が続くCLは非常に刺激的だったようだ。その興奮も束の間、今度はプレミアリーグでの戦いに集中していくことになる。

「残り6試合ですけど、来季へのヒントを見つけたい」。そう言って、岡崎は前を向いた。次節は26日に行われるアーセナル戦。アトレチコ・マドリー戦での悔しさを、まずはこの一戦で晴らしたい。

《取材・文=田嶋コウスケ》