ボルシアMGに逆転勝利との点の取り合いを制す モナコに敗れて欧州CLは準々決勝で敗退となったドルトムントは、今季残りをドイツ杯のタイトル、そして逆転優勝の望みが薄いリーグ戦では来季の欧州CLストレートインに注力することになった。 前日に3位…


ボルシアMGに逆転勝利との点の取り合いを制す

 モナコに敗れて欧州CLは準々決勝で敗退となったドルトムントは、今季残りをドイツ杯のタイトル、そして逆転優勝の望みが薄いリーグ戦では来季の欧州CLストレートインに注力することになった。

 前日に3位ホッフェンハイムが引き分けたため、勝てば3位に浮上という状況でトーマス・トゥヘル監督は賭けに出た。過密日程の中で週明けに迎えるドイツ杯準決勝バイエルン戦を見据え、FWピエール・エメリク・オーバメヤン、MFユリアン・バイグル、MF香川真司の主力3選手をベンチに座らせた状態でスタートしたのだ。ボルシアMGは9位と低迷しているものの、今季の欧州CLに出場した地力のある相手。一時はリードを許してオーバメヤンを起用せざるを得なかったものの、終盤に逆転し、労力を抑えながら勝ち点3を掴んでみせた。

 試合は立ち上がりに動く。後方で攻撃を組み立てていたボルシアMGは、DFアンドレアス・クリステンセンが足を滑らせMFクリスティアン・プリシッチにボールを奪われてしまう。エリアに差し掛かるギリギリのところで止めたMFマフムード・ダウードがファウルを取られ、PKの判定。これをFWマルコ・ロイスが落ち着いて正面に蹴り込み、ドルトムントが幸先よく先制した。

 しかし、ドルトムントにアクシデント。MFヌリ・シャヒンが相手と交錯した際に足首を痛め、交代を余儀なくされてしまう。代わりに入ったMFミケル・メリーノだったが、43分に最終ラインでパスミスを犯し、MFラルス・シュティンドルに同点ゴールを許してしまった。

 後半に入るとボルシアMGが逆転に成功する。左CKの跳ね返りを拾ったMFオスカル・ヴェントが再び中央に送ると、ニアでDFマルセル・シュメルツァーが触ったボールは自軍ゴールに吸い込まれしまった。

 ミス絡みの2失点で逆転を許してしまったドルトムントはここで動く。57分にオーバメヤンをロイスに代えて投入すると、108秒後にはエースのゴールで同点に。相手ボールをカストロが敵陣で奪うと、デンベレのスルーパスに抜け出したオーバメヤンがGKをかわして冷静に左足で蹴り込んだ。

 勝ち越しを狙い圧力を強めるドルトムントは、83分にエリア内でパスを受けたDFラファエウ・ゲレイロがシュートを放つが、これは右ポストに弾かれてしまう。しかし、87分にそのゲレイロが頭で決勝点を奪う。左からのセットプレーでニアサイドに走り込むと、頭でそらしたボールがそのままファーサイドに吸い込まれた。


ドイツ杯の決勝進出を目指すドルトムント(写真:Getty Images)

ドイツ杯準決勝でバイエルンと対戦へ

 ドルトムントは水曜日にドイツ杯準決勝バイエルン戦を戦い、土曜日にはホームにケルンを迎える。前半戦は1-1のドローに終わったが、実はドルトムントはケルンに5試合勝っていないのだ。ホームでは2試合連続引き分けに終わっている。ケルンは3試合勝ちなしと苦しい状況なだけに、ドルトムントとしては確実に勝ち点3を積み上げたい。

 とはいえ、最終盤でドルトムントは苦しいチーム状況を強いられている。金曜日にはチームバス爆破事件の容疑者が逮捕されてチームにはひとまず安堵が訪れたが、バス爆破で負傷したDFマルク・バルトラに加えてこの日はソクラテスも欠場し、水曜日の出場も微妙な状況。ミスから2失点したように、モチベーションの面でも難しさがある。「チャンピオンズリーグという大きな大会で敗退してしまいチームにとっては目標を見失いがち。リーグも順位が決まりつつある」と香川も精神面での難しさを口にした。

 とはいえ、リーグでは欧州CL出場権を確保できるよう踏ん張らなければならないし、ドイツ杯のタイトルを狙うのであれば調子を維持しなければならない。香川も「そういう意味ではリーグ戦も残り4試合なので良い状態で決勝を迎えられるように、(タイトルの)可能性を残していきたいなと思います」と語った。

《文=山口裕平》