かつては世界の頂点に立った。その後、なでしこジャパンは五輪出場権を逃す悔しさを味わい、地元五輪を終えた後、再び新たなス…
かつては世界の頂点に立った。その後、なでしこジャパンは五輪出場権を逃す悔しさを味わい、地元五輪を終えた後、再び新たなスタートを切った。現在、ワールドカップ出場権とアジアの頂点を目指してインドで戦う日本女子代表をサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■すでに決勝トーナメント進出は決まっているが…
日本が所属するグループCでは日本と韓国が2連勝ですでに準々決勝進出を決めている(得失点差では日本が上回っている)。しかし、韓国戦は最も重要な試合と言ってもいいかもしれない。
この大会は、2023年にオーストラリアとニュージーランドの共同開催となるFIFA女子ワールドカップの予選を兼ねており、準々決勝で勝利してベスト4に入ればワールドカップ出場が決まる。
女子ワールドカップは、来年の大会からこれまでの24か国から32か国参加のフォーマットに変更となったため、アジア枠は「5」に拡大されている。開催国であるオーストラリアを除いて、このアジアカップの上位5チームに出場権が与えられるのだ(さらに2チームが大陸間プレーオフに回る)。つまり、オーストラリアも、すでに準々決勝進出が決まっているから、ベスト8に進出する他の7チームは、すべてに最低限大陸間プレーオフ以上が保障されることになる。
ベスト4に入れば文句なしにワールドカップ出場権が手に入る。
日本女子の現在のFIFAランキングは13位。アジア最高の北朝鮮(10位)がアジアカップ(ワールドカップ予選)には出場していないので、11位のオーストラリアに次ぐ順位にある。従って、実力的にはベスト4入り=ワールドカップ出場権獲得は難しいタスクではないように思えるが、懸念材料もある。
それは、ワールドカップ出場権が準々決勝という“一発勝負”的な戦いに懸かっているからだ。
■たった一つのミスが命取りになる「一発勝負」
男子のワールドカップ最終予選のようにホーム&アウェーの2回戦総当たり形式であれば、多少のミスがあっても挽回できる。
ロシア・ワールドカップ最終予選で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の日本代表は初戦でアラブ首長国連邦(UAE)に敗れたものの、その後挽回して首位通過を果たした。そして、森保一監督のチームも初戦でオマーンに敗れるという大失態を犯したが、6試合消化した時点で順位を2位にまで上げている。
だが、“一発勝負”の大会ではたった一つのミスが命取りになってしまう。
2015年のU-20ワールドカップ出場を目指していた南野拓実を擁する当時のU-19代表は、ミャンマーで開催されたU-19アジアカップ準々決勝で北朝鮮相手に圧倒的に優位に試合を進めながら、相手GKの好守の前に1ゴールだけに終わり、1対1の引き分けの後のPK戦で敗れて世界大会への切符を獲得できなかった。
アジアのフットサル界では日本とイランが圧倒的な強さを誇っているが、日本は2016年のフットサル・アジアカップの準々決勝でベトナムに敗れて、翌年コロンビアで開かれるワールドカップへの道を閉ざされたことがある。
“一発勝負”では、こうした思わぬ敗退も起こりうるのだ。
■韓国戦に敗れると最大のライバルとの顔合わせに
今回は、準々決勝で敗れたとしても、さらに5位決定戦があり、その後の大陸間プレーオフという「敗者復活戦」も用意されてはいる。だが、やはり“一発勝負”の怖さは付きまとう。なんとか、準々決勝に勝って、すんなりとワールドカップ出場を決めておきたいところだ。
日本が韓国に勝って(または引き分けて)グループ首位で通過できれば、準々決勝の対戦相手はグループA、Bの3位のチームとなるので準々決勝ですんなりとワールドカップ出場を決められる可能性が高い。
だが、もし韓国に敗れてしまうと、準々決勝の対戦相手はグループBの首位チーム。すなわちオーストラリアとなってしまう。オーストラリアは前回のこの大会の決勝戦で対戦した日本女子代表にとっての最大のライバルであり、日本よりFIFAンキングで上位に位置している相手だ。最近の対戦成績を見ても難敵である。
大事な準々決勝でのオーストラリアとの対戦は是が非でも避けたいところだ。
■未来を拓くために必要な女子代表の健闘
日本女子代表は2011年のワールドカップ・ドイツ大会で優勝し、翌2012年のロンドン・オリンピック、2015年のワールドカップ・カナダ大会でともに決勝進出を果たしたものの、その後は2016年のリオデジャネイロ・オリンピックはアジア予選で敗退。2019年のワールドカップ(フランス大会)ではラウンド16で敗退。2021年の東京オリンピックでも準々決勝敗退と、ともにノックアウト・ステージの初戦を突破できなかった。
昨年にはプロ・リーグとしてWEリーグが発足。プロ化が進んだことで急激に強化が進んだヨーロッパ勢に伍していくためにも、日本でもプロ・リーグは成功させなければならないが、開幕したWEリーグは目標としていた平均観客動員1万人には遠く及ばず、関心度も低いままだ。
プロ・リーグを成功させて、日本の女子サッカーをさらに発展させていくためにも、代表チームの健闘が必要なのだ。ワールドカップという舞台で女子代表が勝利できれば、多くの人たちは2011年の快挙を思いだすはず。
1月27日の日本時間午後5時。男子代表の中国戦の直前に行われる女子の日韓戦は大いに注目したいところ。吉報を待ちたいものだ。