千葉ロッテ、石川歩という投手を一言で表するならば「精度」と言うことになるだろう。■プロ入り3年で「質」を磨いてきた石川、…

千葉ロッテ、石川歩という投手を一言で表するならば「精度」と言うことになるだろう。

■プロ入り3年で「質」を磨いてきた石川、NPBで最も優秀な投手の復活の鍵は?

 千葉ロッテ、石川歩という投手を一言で表するならば「精度」と言うことになるだろう。

 2013年、中部大学、東京ガスを経てドラフト1位でロッテに指名され、入団。即戦力として昨年までの3年間、すべて規定投球回数に達し、2桁勝利を挙げてきた。

 この間、石川は、試行錯誤しながら投球の「質」を磨いてきた。それを表す数値の推移を見てみよう。()はリーグでの順位。

【2014年】
WHIP 1.26(7)、K/BB 3.00(6)、1回当たり投球数15.66(1)

【2015年】
WHIP 1.26(8)、K/BB 3.71(3)、1回当たり投球数16.47(9)

【2016年】
WHIP 1.01(1)、K/BB 4.73(1)、1回当たり投球数15.21(2)

 WHIPは1イニングあたりに安打と四球で出した走者の数。2014、15年は平凡だったが、2016年、急改善した。走者を出さないのは投手の基本なので、この数値の向上は大きかった。

 K/BBは奪三振数を与四球数で割った数値。制球力、安定感を示す。昨年はこの数値も1位に。防御率1位のタイトルも当然だった。

■WBC向きと思われた、石川の効率のいい投球

 石川はもともと無駄球が少ない投手だった。1年目からすでに1回当たりの投球数は最少だった。2年目、NPBの野球に適応する過程で、投球効率は悪化した。しかし、3年目、再び日本ハムの有原航平に次ぐ2位に。被安打が減り、制球力が向上する中で、球数は減る。打者への攻めが早く、どんどん追い込んでいく。そして長いイニングを投げることができる。先発投手の理想像だ。

 石川の速球は152キロ程度。大谷翔平のような160キロ超の剛速球はないが、NPBで最も優秀な投手の一人になっていった。

 2017年WBCでは、石川歩には「2009年の岩隈久志のような投球」が期待されていた。岩隈は2009年WBC第2ラウンドで、強打で鳴らすキューバ打線を6回5安打自責点0で退けた。無四球で、投球数はわずかに69。コーナーをつく2シームとフォークのコンビネーションで、ゴロの山を築いた。岩隈の投球はキューバの打者をして「もう嫌だ」と言わしめた。

 石川にも同様の、精度の高い投球が期待されていたのだ。特に、球数制限があるため、効率の良い投球ができる石川は、WBC向きだと思われた。大谷翔平が辞退する中で、パの防御率1位・石川は、セの防御率1位・菅野智之とともにローテーションの柱となったのだ。

【今年、侍ジャパンのユニフォームを着てからの石川の戦績】

3月1日・台湾選抜戦(壮行試合)2番手
3回59球3安打6奪三振1四球 自責点1

3月7日・キューバ戦(1次ラウンド)先発
4回58球2安打1奪三振0四球 自責点1

3月12日・オランダ戦(2次ラウンド)先発
3回49球5安打1奪三振1四球 自責点5

■開幕後に目立った球数の多さ、効率の悪さ

 石川は壮行試合も含めて3試合に登板したが、合わせて10回167球10被安打8奪三振2与四球、自責点7、防御率は6.30。特にオランダ戦では、持ち球のシンカーを痛打されるシーンが目立った。球数もかさみ、石川本来の精度のある投球ができなかった。沖縄、石垣島でのキャンプ中からWBC球で練習するなど、準備に余念がなかったが、不本意な登板で終わったと言えよう。

 そして、プロ野球が開幕してからも、石川の調子は上がらなかった。

4月4日・日本ハム戦 先発●
5回120球5安打3奪三振3四球 自責点1

4月11日・オリックス戦 先発●
3回98球8安打5奪三振2四球 自責点4

4月18日・ソフトバンク戦 先発●
5回99球6安打5奪三振4四球 自責点6

 投球内容もさることながら、球数の多さ、効率の悪さが目立つ。3度目の登板の翌日、4月19日に2軍行きを命じられた。

 体調が悪いわけでも、故障をしたわけでもない。本人も「抑え方がわからない」と首をかしげたそうだが、本来の投球ができなくなった。石川は、細かな部分の精度を高めて、NPB屈指の投手になった。それだけに、WBCと言う異なる環境で受けたカルチャーショックが「精密機械」を狂わせたのだろうか。春先に異なるボールを使って異なる相手と野球をすることは、石川のような繊細な技術を持つ投手には、思わぬ影響を与えることがあるのだ。

 しかし、これは一時的なものだと思う。2軍での調整後、石川は再起して、苦境にあるチームを救うときが来るだろう。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo