タックルミスは全部で40回。個人で成功率90%を超えた者は23人中3人だけで、チーム全体の成功率は71%だった。
 47-29と勝利こそ手にしたものの、5トライを許しピリッとしなかった4月22日の韓国戦(アジアラグビーチャンピオンシップ)。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(以下、HC)は、その試合で日本代表のディフェンスがどれだけソフトだったかを示す数字を挙げ、「ティア1国が相手なら勝てる防御ではなかった」と言った。
「試合の立ち上がりに2トライを取ったところで、残り75分は頑張らなくてもいいと勘違いした。そうなってしまったから、韓国が勢いを出してからは止められなくなった。メンタルの問題」

 4月25日、東京・辰巳。ジャパンが、この週末(29日)に秩父宮ラグビー場でおこなわれる韓国とのホーム戦に向けての練習を再開した。2時間弱の練習の中で激しいタックル練習も実施した。指揮官はその時間、先頭に立って指導にあたり、選手たちに強い言葉で声をかけた。
「タックルについては、ミーティングでチーム全体に話しました。だから(タックル練習については)自分でリードしたかった」
 先週末の韓国戦は初キャップ選手が11人もいた。しかし、せっかくの栄誉なのに情熱が足りないように見えた。
「国を代表するチームでプレーする。チャンスは1回だけ。そう思ってプレーしてほしい。もう1回挑戦するチャンスを与えられる者もいるが、必ずしもそうではない」
 ジョセフHCは、桜のエンブレムを抱くプライドが足りなかったことが残念だったし、誇りと責任を感じてプレーしてほしいと言った。

 指揮官がミーティングで発した厳しい言葉は、PR石原慎太郎の胸にグサリと刺さった。先の韓国戦が初めてのテストマッチだった。そのパフォーマンスを振り返って言った。
「猛烈に苦い初キャップ」
 スクラムは及第点かもしれない。でもタックル成功率90%の3人に自分の名前はなく、防御面で納得できるプレーができなかった。
「NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)で4週間の準備をして、自分では(チームに求められていることを)できる気になっていたけど試合で表現できませんでした」
 アタックならディフェンダーの外側に攻め、ブレイクダウンでの正確なデリバリーを実行する。防御時にはラインスピードを上げ、トイメンの外側に立って、そこから圧力をかける。それらのことを徹底できなかった。反省すべきことがヤマほどあった。

 流大キャプテンを支えるバイスキャプテンに指名され、自分のことだけでなく、チーム全体に目を配る重責を担っている。「大(ゆたか)はグラウンドでチーム全体を引っ張ってくれている。だから僕はグラウンド外で、個人的な部分でコミュニケーションをとる」と話し、自分なりのスタンスでリーダーシップを意識していると話す。
「もともとリーダー役なんてやったことがないのですが、ジャパンのようなコンバインドチームには年上も含め、いろんな人たちがいるチームだからこそ、みんなを同じベクトルに向かせるのが大事だと思っています」
 個性の束ね役を任されるにあたって、自分は言葉より動いて引っ張るタイプだとあらためて思った。
「僕の仕事は喋ることじゃないな、と。自ら動き、体を張ることでチームにエナジーを持たせたい」
 だから激しく、精度高くタックルに入れなかった先の韓国戦が悔しい。
「大も自分も(タックル成功率)90%の選手じゃなかった。もっと体で示していこう、と話しました」

 サントリーに入社後、まずはチームで試合に出続けることが大事と、必死に積み上げた。4年目の2016-2017年シーズン、ついに全試合出場。日本代表はその先にあった。
「サクラのエンブレムを胸に付けるのはU20代表以来ですかね。懐かしいような、新鮮な気がして、試合前はジャージーが似合っているかな、と鏡を見たりしました。テストマッチの空気も独特だったし、誇りを感じてプレーしたつもりです。でも試合を振り返ってみたら、韓国の方がプライドを持って試合に臨んでいたような気がします。自分も含め、先週試合に出たメンバーは、出なかったメンバーに対して恥ずかしい思いがある。もし次の試合でチャンスをもらえたら、強い気持ちで戦いたい。体で引っ張ってナンボの人間ですから」
 4月29日、韓国との今季2度目のテストマッチは14時7分のキックオフ。そのとき、背番号1を背にピッチに立っていたら最初から全開で相手に襲いかかる。副将といえども、何度もチャンスが与えられることはないと分かっている。その覚悟をプレーで示す。