スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月24~30日/賞金総額232万4905ユーロ/クレーコート)のシングルス1回戦で、ダニエル太郎(エイブル)がニコラス・バシラシビリ(グルジア…

 スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月24~30日/賞金総額232万4905ユーロ/クレーコート)のシングルス1回戦で、ダニエル太郎(エイブル)がニコラス・バシラシビリ(グルジア)に3-6 1-6で敗れた。ダニエルは予選2試合を勝ち抜いて本戦入りを果たしていたが、この日は一度も試合の主導権を握ることができず。「自分のやるべきテニスを見つけられなかった」という試合後の言葉が映すように、やや道に迷った様子のまま、後半には集中力も切れて引き離された。

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 最初にブレークを果たしたのは、ダニエルのほうだった。とはいえ「そのときですら相手のミスかウィナーかという感じで、自分のテニスができていなかった」と、試合の舵は一度も本当の意味でダニエルの手には渡らなかった。

 次のゲームでたちまちブレークバックされたあと、3-3からの相手のサービスでふたたび2つのブレークポイントを握るも、自らのアンフォーストエラー、そして少しでも返球が甘くなれば叩いてくるバシラシビリの強打に押され、ものにすることができず。ドロップショットでこのゲームをキープされ、次の自分のサービスゲームでも相手の強打とミスのはざまで自分のリズムをつかむことができないまま、ふたたびブレークを許した。 「最初のほうはまあまあだったと思うが、3-3からのブレークチャンスをものにできず、3-4で僕のゲームポイントがあったのにそこも取れず、3-5からの相手サーブであったブレークポイントもものにできなかった。それで少しがっかりしてしまったところ、第2セットの第1ゲームで40-30までいきながらまたブレークされ、それでメンタル的に崩れてしまった。相手ももちろんいいプレーをしてきたが、それらすべての要素を合わせ、やられてしまった」と試合後、ダニエルは振り返った。

 実際、食い下がって少なくともスコア的についていった第1セットとは違い、第2セットに入るとダニエルのミスは格段に早くなり、あっという間に0-4と引き離された。第5ゲームではアングルショットのあとにパッシングで抜くなどしてやっとサービスをキープしたが、次のゲームで得たブレークポイントもバックのリターンミスで逃すことに。最後のゲームも相手の強打とミスに翻弄され、攻守のメリハリをつけられないまま、結局3-6 1-6で頭を垂れた。

 「最初のほうは相手がミスしてくれて、ちょっとチャンスはあったけど、離されたあとは僕も精神的に崩れてしまった。相手もどんどんミスしなくなり、強打が入り始め…残念な試合だった」

 試合中にはフラストレーションからラケットを投げる場面もあったが、試合後のダニエルの自己分析は冷静だった。

 「なるべく深く突いて相手のミスを誘っていきたかったが、深く打てなかったので相手に強打を許した」と振り返ったダニエルは、やり直せるならどこを修正したいかと聞かれると、「ミスしてもいいから、もっと積極的にいきたかったなと。そうしたらより相手のいいプレーを封じられたと思う」と話した。

 しかし、「本戦であまりよくない試合をやってしまったのは残念だが、今回すごくいい感じで予選を突破できた。ATPの予選を突破するのは常にいいことなので、このまま続けていきたいと思う」と手ごたえも口にした。

 ひとつの敗戦で足を止めている暇はない。クレーでもハードでも意気込みは同じ、というダニエルの次の行先は、おそらくポルトガルのエストリルになるという。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)