プロボディビルダー横川尚隆インタビュー「横川尚隆が語った呪術廻戦にハマった理由」はこちら>>ムキムキな体と発言の面白さがギャップとなって、テレビでインパクトを残している横川尚隆さん。タレント活動のほか、プロボディビルダーとしても活動している…

プロボディビルダー
横川尚隆インタビュー

「横川尚隆が語った呪術廻戦にハマった理由」はこちら>>

ムキムキな体と発言の面白さがギャップとなって、テレビでインパクトを残している横川尚隆さん。タレント活動のほか、プロボディビルダーとしても活動している。ボディビルダーになったきっかけから、自身の性格、体づくりの魅力まで語ってもらった。



オンオフはなく、常にこの体をキープしているという横川尚隆さん

――タレント、そしてトップビルダーとして知られる横川尚隆さんですが、学生時代はキックボクシングをやっていたとか。

「そうなんですよ。K-1の魔裟斗選手に憧れて中学生のときから極真カラテやキックボクシングをやっていたんです」

――ウィキペディアにはキックの高校生チャンピオンとあるんですが、これ本当ですか?

「えっ! いや僕、一度も試合出たことないっす(笑)。すごく盛ってありますね......でもちょっとうれしいかも。このままにしておきましょう(笑)」

――競技をやっていたのは本当なんですね。

「マンガの『グラップラー刃牙』にも影響を受けて強くなりたいって想いが強かったんです。けど僕、足裏の発汗が多くて、蹴りを出すと軸足がツルンって滑っちゃって、結果、キックも空手も断念したんですよ。で、そのあとはパンチだけのボクシングを始めました」

――ボクシングはシューズを履くから滑らないですね。

「はい。これで思いっ切り格闘技がやれるなって。ただ、ぜんぜん体力がなくてミット打ちとかでも1ラウンドもたないんですよ。ロードワークとかめちゃくちゃ練習をやっても改善されない。あるとき母に『何でだろう?』って訊いたら、『あんたぜんそく持ちだからじゃない?』って言われて、じゃあダメじゃんって(笑)」

――自分がぜんそく持ちだってこと知らなかったんですか?

「はい。気づいてなかったんです。昔から明らかに他の人より息切れが激しくて不思議だとは思っていたんですけど」

――なかなかアウトな話ですね(笑)。そのあとはボディビルの世界へ。

「体を動かすのは好きでしたし、『刃牙』の世界にも影響を受けていたので、ああいう筋肉隆々の姿になりたいなって思って始めました」

――最初は筋量の多さよりも、肉体のシェイプやバランス、美しさを競う種目のフィジークから始めたそうですね。2014年の『ベストフィジークジャパン』で2位になっています。

「はい。ただその時は、筋トレとかを特にやっていたわけじゃなく、格闘技時代のナチュラルな身体で出場して上位に入れたんです」

――おおっ、それなりの素地はあったわけですね。その後、筋量が圧倒的に多く、トレーニングも過酷なボディビルダーになっていくわけですが、自然な流れだったんですか?

「そうですね。単純に筋肉と言えばボディビルじゃないですか。身体には自信があったし、やるとなれば僕より筋肉の大きな人がいるのが気に食わなかった。単純にそれだけなんです」

――負けず嫌いなんですか?

「はい。『俺が一番じゃないと気が済まない』みたいな感じです」

――2019年の『JBBF 日本ボディビル選手権』で優勝して日本の頂点に立ちました。

「ボディビルを20歳から本格的に始めてトップになるまで5年ぐらいかかったんですけど、本当はもっと早く優勝したかったんですよね」

――でも5年で日本のトップになるのは大変なことですよね?

「たしかに、このトレーニング期間で優勝した選手は僕以外いないみたいですね」

――すごいじゃないですか! ボディビルは歳月をかけてトップまで地道に歩んでいくといったイメージでしたから。

「ぜんぜん関係ないと思ってトレーニングしていましたよ。それはたぶん『刃牙』の影響もあって、大好きな範馬勇次郎みたいな『僕が一番だ』というメンタルが発揮されたんだと思います。何だろう、負けるのが恥ずかしいというか、僕はやれば絶対に勝てるって信じていたんですよ。だから勝つためだったら無理をしてでもトレーニングやっていました。これがいい方法だとは言えませんが、量も時間も、普通だったらオーバーワークと言われるようなトレーニングでした」

――過去に確立されたトレーニング方法とかあるわけですけど、そういうものは......。

「全部無視していましたね。それはその人たちの中での常識でしょって。例えば各部位、通常20セットなのを、僕は3時間かけて40セットやったりして、周りからは『やりすぎだ』『絶対、身体によくない』と言われても、当たり前のようにつづけていたんです」

――でも故障のリスクもあるわけですよね?

「まあ壊れたら壊れたで、しょせんそこまでの男なんだと思ってやっていました」

――その辺の腹の括り方はすごいですね。

「さっきも言いましたけど、好きなことでは負けたくないし、とにかく自分より大きな筋肉の人がいるのが気に食わないんです(笑)」

――食事制限とかも大変ですよね。

「競技に集中していたときは、減量期に入れば決めたものを同じ時間に食べるということをしていましたけど、そうではないときはわりと好きなモノを食べていました。ただ今は、タレント業をさせてもらっているので、トレーニングや食事も含め、いつでも脱げるように身体をキープしています。オンとオフの切り替えがなくなって大変じゃないですかって言われるんですけど、もう慣れましたね。食に関してはあまり興味がなくなったんですかね」

――そういうものなんですね。横川さんはタレント活動をされていますが、ボディビルの競技者として今後の目標などありますか?

「競技者としては特にないんです。というのも日本選手権で優勝したことで資格が発生して日本初のプロになれたんです。だけど、国内の試合はアマチュアが対象なので出場できない。ならば海外でという話になるんですけど、飛行機は怖くて乗れないし、今はコロナもありますからね。本当は日本一になったら引退しようと思っていたんですけど、せっかくだからとプロビルダーになっちゃったもんで(笑)」

――ははは、さすがですね。

「まあでも今、ボディビルやフィットネスってたくさんの人から注目を浴びているじゃないですか。ジムにもたくさんの人が通っているし、やったらやっただけ目に見えて自分に返ってくるのが魅力なんですよね。すごく自分自身の成長を感じることができる。YouTubeとかで魅力を発信したりする人がいたり、あるいは僕みたいな人間がメディアに出ることで、ボディビルのことを知ってもらえたらなって思っているんです」

――なるほど。普及にも力を入れていきたいと。

「そうですね。だから今、若い選手が出るアマチュアの大会とかに僕が賞金を出したりしているんです。基本的にボディビルの大会は賞金が出ないので、少しでもモチベーションになってくれたらいいなと思っています。まあ賞金を出すのはいいんですけど、結構僕の生活が大変になっちゃって(笑)。

 あと自分でプロデュースしたプロテインを販売したんですけど、ボディビルに興味がなくても僕のことを応援してくれる人が買ってくれて、少しでも身体作りの役に立ててもらえたらうれしいなって。肉体だけではなく、精神も鍛えられるし、ストレス発散にもなる。絶対におすすめなので、ぜひボディビルにトライしてください!」

Profile
横川尚隆(よこかわ・なおたか)
1994年7月10日生まれ、東京都出身。
日本人初のIFBBエリートプロボディビルダー。2019年、本格的に体を鍛え始めてわずか5年というスピードで「JBBF 日本ボディビル選手権」優勝を果たす。その鍛え上げられた体と天然な発言が相まって話題となり、テレビを中心に活躍中。最近はプロテインのプロデュースをするなど幅広く活動している。