スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月24~30日/賞金総額232万4905ユーロ/クレーコート)の自らの初戦に先立ち、男子テニス界の未来の星として注目されるアレクサンダー・ズベ…

 スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月24~30日/賞金総額232万4905ユーロ/クレーコート)の自らの初戦に先立ち、男子テニス界の未来の星として注目されるアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が記者会見を行った。  モンテカルロで20歳の誕生日を迎えたばかりのズベレフは、幼さの残る顔に落ち着いた表情を乗せ、未来のナンバーワンと言われることについて、次のように話した。 「皆が、急上昇中の新しいナダル、あるいはフェデラー2世をみつけようとして、いろいろなことを言っている。だから僕やドミニク・ティームは、次のナンバーワンや次期グランドスラム・チャンピオンとなるはずの存在として、メディアからプレッシャーを受ける羽目になる。でも僕ら自身は、自分たちがそういう存在からはまだかけ離れていること、僕らがやらなければならないのは、将来そんな選手になるために、努力を続け、自分たちのテニスを向上させ続けることであることを重々知っている。結局のところ重要なのは、皆が言っていることではなく、コートの上で実際に見せることなんだ」  ズベレフは、ここ数年バルセロナに出場し、ここで誕生日を迎えていたが(例年は日程が一週間早かった)、今年はエントリーしておらず、モンテカルロ(ATP1000)で早期敗退した世界1位のアンディ・マレー(イギリス)が急きょバルセロナへの飛び込み出場を決めたあと、その跡を追うようにして土壇場でワイルドカードを取得していた。  ズベレフは、自分が急きょバルセロナ出場を決めたのは、今回多くのトップ選手がここバルセロナに出場し、「ほとんどマスターズ1000のようにドローが厳しく、強い選手がひしめいている」ためだとしたが、さらに「中でも非常に大きな理由はナダルがここでプレーするからだ」と明言した。

 1月の全豪オープン3回戦でナダルを5セットの戦いに追い込んでいたズベレフだが、モンテカルロではナダルにストレートで簡単に敗れた。「あの敗戦はもう過去となった」としながらもズベレフは、ここでふたたびナダルと対戦し、ふがいない敗戦の雪辱を果たしたい、という思いがあることを隠そうとはしなかった。  「またナダルとプレーしたい。彼はここのコートに名を与えた選手(※)であり、それには理由がある。彼が偉大な選手であることは皆が知っているが、それでも僕は、特にクレーコート上で彼と対戦したいんだ。そうなるよう祈るし、その特別な瞬間を楽しみにしている」(※今年からバルセロナのセンターコートは「ラファ・ナダル コート」と命名された)  ズベレフは、痛恨の経験だったらしい、モンテカルロの3-6 1-6の敗戦について、「先週のモンテカルロでのナダルとの対戦における僕の問題は、メンタル的なものだった。僕はメンタル的に、あっという間に落ちてしまうところがあるんだ。もう一度対戦するチャンスを得たら、変えたい部分がいくつかある」と言った。  こうして真っ向から挑戦状をつきつけたズベレフは、そうするためにはまず、火曜日の1回戦でダニエル・エバンズ(イギリス)を倒さなければならない。ズベレフとナダルの双方が順当に勝ち上がれば、ふたりは準々決勝で対戦することになる。

 相手が強いからこそ戦いたい----こう考えるところが、彼が未来の王者と見られる理由でもあるのだろう。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子)