全12人のJリーグ内定選手が揃って会見、大学4年間での成長に手応え 流通経済大学サッカー部からJリーグへ進む12選手(い…

全12人のJリーグ内定選手が揃って会見、大学4年間での成長に手応え

 流通経済大学サッカー部からJリーグへ進む12選手(いずれも4年生)が7日、都内のホテルで合同記者会見に臨んだ。J1クラブ加入7人は過去最多。浦和レッズにMF宮本優太(流経大柏高出身)、MF安居海渡(浦和学院高出身)、川崎フロンターレにDF佐々木旭(埼玉平成高出身)、サンフレッチェ広島にMF仙波大志、FW満田誠(ともに広島ユース出身)、サガン鳥栖にMF菊地泰智(流経大柏高出身)、MF佐藤響(水戸啓明高出身)が進む。

 彼らを軸とした流経大は今季、関東大学リーグ1部で12年ぶり4回目の優勝を飾った。会見には、全員が金メダルをかけて登場。冬の全日本大学選手権は3位で優勝には届かなかったが、中野雄二監督は「選手個々が成長して、これだけの選手がもう一つ上のカテゴリーに進めることが喜ばしい」とJリーグに多くの選手を送り出す気持ちを表した。

 壇上の選手だけで試合ができるほどの人数がプロに進むのは、優れた環境のなか、様々な道を進んできた選手が刺激し合った結果だ。流経大は高校時代のチーム成績にこだわらず、スカウトが数多く実戦を見て、可能性を見出した選手に声をかけている。

 MF仙波は、小学生から広島の育成組織でプレー。ユースではプレミアリーグWESTを優勝した。いわば世代のエリートだが、大学に入り、まだ見ぬライバルが多くいることを知った。「同世代は、僕とマコ(満田)くらいしかJユースの選手はいなかったし(ポジション争いは)余裕だろうと思っていたけど、(安居)海渡とか(佐々木)旭とかも最初から上手くて、関東は良い選手が腐るほどいるなと思った」と入学当時を振り返った。

 中野監督が「本学OBの日本代表MF守田英正(現サンタ・クララ)よりも、将来、日本代表としては可能性があると思う」と高く評価したMF安居は、仙波とは異なり全国大会とは無縁だった。浦和学院高時代は、守備面でボール奪取が目立つ選手だったが、大学に入ってから攻撃面でパスの経由役も担い、プレーの幅を広げた。「付属高から来た(宮本)優太たちは、全国大会の決勝に行った選手。その中に、選手権にはほど遠かった無名の自分が行くのはチャレンジ。最初は不安も強かったが、分かり合える仲間で、サッカー面でいろいろ(助言も)言ってくれた。監督からもボールを受けろと言われ、ボールを受けるのが楽しくなってきた」と、4年間で感じてきた成長の手応えを話した。

無名選手も急成長できる流経大の環境

 流経大サッカー部は、関東大学1部を戦うチームのほかに、社会人の関東1部リーグを戦う流通経済大学ドラゴンズ竜ケ崎、流通経済大学FCという2つのクラブチームも運営。選手を入れ替えながら、大人相手の実戦機会を多く与えて選手を鍛えている。中野監督は、各選手を紹介するなかで「安居や佐々木は18歳まではまったく無名。佐藤響も大学に来て急激に伸びた選手の1人」と話したが、彼らも関東社会人1部を戦った経験のある選手だ。大学で新たに知った多くのライバルと切磋琢磨してきた仙波は、「(日本)A代表でみんなとプレーしたい。濃い4年間を過ごしてきたライバルだし、気の知れた仲間。次は代表でしか集まれない」と話し、今後もさらに刺激し合っていきたいという思いを明かした。

 流経大からJ1に7人が進むほか、J3にも5選手が進む。松本山雅FCにGK薄井覇斗(流経大柏高出身)とFW菊井悠介(大阪桐蔭高出身)、いわきFCにDF家泉怜依(藤井学園寒川高出身)、GK鹿野修平(流経大柏高出身)、MF永井颯太(中央学院高出身)が加入。薄井と鹿野は高校時代からともに練習し、ポジションを争い、高め合ってきた間柄だ。昨今はJ3がスタートでも、活躍次第で早急なキャリアアップも可能な時代。プロ内定12人がズラリと並んだ会見も、新たな競争の始まりに過ぎない。守田ら数多くのOBが、プロでも飛躍を見せている。ここから誰が、どんな活躍を見せるのか楽しみだ。(平野 貴也 / Takaya Hirano)