今週は中京競馬場で第56回・シンザン記念(GIII、芝1600m)が行われる。前…
今週は中京競馬場で第56回・シンザン記念(GIII、芝1600m)が行われる。前走のデビュー戦となった新馬戦(東京芝1600m)で3馬身半差をつけて勝利した良血馬ラスール、東京スポーツ杯2歳Sでの5着からの巻き返しを狙うレッドベルアーム、こうやまき賞を勝利し目下2連勝中のソリタリオなどが出走予定だ。
ここではシンザン記念の好走条件と想定メンバーから展開を読み解き、馬券のヒントとなる「危険な人気馬」としてキタサンブラック産駒のラスールを取り上げたい。
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■キタサンブラック産駒の大器ラスール
まずはラスールの前走新馬戦について分析する。
単勝2.1倍と人気を集めたラスール。ゲートは後肢に体重がかかっているタイミングでスタートしたため他の馬より2馬身弱離されたスタートだったが、すぐさま二の足で先団に取り付きインの4番手で競馬を進めた。少し力む面も見られたが直線で逃げ馬をすんなり交わし、上がり最速となる34秒0の末脚で3馬身差の勝利となった。
昨年末時点で45勝とファーストシーズンサイアーランキングで上位を賑わせているキタサンブラック産駒という血統背景に加え、新馬戦の勝ちっぷりからも「世代トップクラスの馬力を保持し、距離を問わず鋭い末脚を繰り出せる素質馬」と評価できるだろう。また、ラストイヤーとなる藤沢和雄調教師×ルメール騎手のゴールデンコンビへの期待が高まるのも当然だろう。
しかし今回、ノンストレスで圧勝した新馬戦からの直行ローテに加え、初重賞挑戦で致命傷になりかねないゲート難の問題など様々な課題があるラスールに一抹の不安が残る。
■ククナが示した前走左回りの罠
次に新馬戦からのローテの成績について紹介する。
過去10年、新馬戦からのローテで挑んできた馬の出走成績は【1-2-0-7】 となっており、勝率10.0%、連対率30.0%、複勝率30.0%の数値をマークしている。馬券内に好走したのは2019年ヴァルディゼール(4人気1着)、18年ツヅミモン(7人気2着)、16年ジュエラー(2人気2着)の計3頭。さらに馬券内に好走した3頭の特徴ついて分析すると、いずれも「前走右回り」という共通点があった。
また、昨年から中京競馬場での施行となっているが、昨年の1着から3着は「前走右回り」からの臨戦過程で、1番人気の支持を得ていたククナは前走東京競馬場で行われたアルテミスSからの臨戦だったが人気に応えられず4着に敗れている。過去10年で前走右回りが【8-10-9-89】連対率15.5%、複勝率23.3%に対し、有利と思われる前走左回りが【3-1-2-32】連対率10.5%、複勝率15.8%という意外な傾向もみられる。ククナにも共通する事だが、この要因として考えられるのはシンザン記念において西高東低の風潮があることが主な理由に挙げられるだろう。
つまり、東京競馬場でインパクトのある勝ち方をしたために実力以上に人気になりやすくなってしまうことに加え、他の馬と比べて「ゲートの経験」が乏しいために位置取りが困難になりやすく、ポジションを確保できないラスールはシンザン記念における好走条件に該当しない。
■父から受け継いだ「先行能力」
次に今回の舞台となる中京芝1600mで行われた重賞の上がり3F別成績について分析する。
・3F 1位【4-0-2-5】 勝率36.4% 連対率36.4% 複勝率54.5% ・3F 2位【0-1-2-7】 勝率0.0% 連対率20.0% 複勝率30.0% ・3F 3位【0-4-1-2】 勝率0.0% 連対率57.1% 複勝率71.4% ・3F ~5位【1-2-2-16】勝率4.8% 連対率14.3% 複勝率23.8% ・3F 6~位【4-1-3-85】勝率4.3% 連対率5.4% 複勝率8.6%
このように中京マイルでは「上がり最速馬」が最多タイの4勝を挙げており、中京記念においては2018年にグレーターロンドン、14年サダムパテック、13年、12年にはフラガラッハが上がり最速の末脚を繰り出し勝利している。また上がり3位だった馬は複勝率が71.4%と好調で昨年のシンザン記念も上がり3位のルークズネストが8番人気の低評価ながら好走し穴をあけていた。
また、キタサンブラック産駒で勝利経験がある馬の好走成績(芝)について分析してみると、4角5番手以内で先行していた馬が勝利数の約8割を占めていた。父キタサンブラックも古馬になってから脚質が安定し、「逃げ・先行」の戦法で名馬に成り上がったわけだが、産駒にもその「競馬センス」が受け継がれているのだろう。しかし、ラスールは前走でも予兆が見えていたがスタート直前に後肢に体重をかけてしまうため、ゲートの出がそこまで良くはない。つまりラスールの好走パターンでもある「5番手以内の先行」という戦法をとるためには、
・ゲートを素早く出ること ・多頭数でも道中の折り合いをつける ・ストレスがない状態で直線で馬群を割く ・3歳重賞特有の早い前傾ラップに対応すること
上記のような「4つの課題」を乗り越えなければならないため、想定人気以上に軽視する必要もあるのではないか。
以上の不安点から馬券の妙味を考えると、ラスールは「消し」の評価。「後編」ではラスールに代わる本命、そして穴馬4頭を含めた結論を紹介する。
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文・西舘洸希(SPREAD編集部)