12/13タンク永井の引退が発表された。現在37歳、前2AWタッグ王者であり、まだまだ第一線で活躍できるレスラーだ。昨年末に取材した際は地元千葉への愛を語り、「プロレスで千葉を元気したい」と話してくれた。それなのにどうして「引退」なのか&h…

12/13タンク永井の引退が発表された。現在37歳、前2AWタッグ王者であり、まだまだ第一線で活躍できるレスラーだ。昨年末に取材した際は地元千葉への愛を語り、「プロレスで千葉を元気したい」と話してくれた。それなのにどうして「引退」なのか…その理由を聞いた。

――昨年の取材の際には、「まだまだプロレスで千葉を元気にしたい」と話してくれたのに、いきなりの引退発表で驚きました。まずは引退を決意したキッカケを教えて頂けますか。

タンク永井(以下 タンク):妻の美央(紫雷美央)が3人目を妊娠しました。1人目・2人目と違い、つわりが苦しそうでした。実は1人目も2人目も帝王切開。アイスリボンでコーチをしている美央は1人目・2人目の時、出産する前月まで自ら車を運転し埼玉にあるアイスリボン道場に行ってコーチ業をしていました。ただ今回は妊娠1ヶ月目から体調を崩しました。12月末時点で妊娠7ヶ月、以前の帝王切開の影響が出ていると思います。立ち仕事や車の運転が難しくなり、自分が家事をカバーしています。試合をして身体を痛めて帰宅しても家事や子供の世話をします。ふと「3人目が生まれ美央の体調が回復せず、自分が試合や練習で怪我をしたら家庭が回らなくなる」と考えました。それで会社に相談し引退することにしました。

――一時休業し家庭が落ち着いたらレスラーとして復帰する選択はなかったのでしょうか。

タンク:もちろん2AWからそのような提案を頂きましたし、美央からも言われました。ただ自分の中で2〜3年休んでレスラー復帰は考えられなかった。新弟子として1から練習して臨むくらいの気持ちがないと難しい。手を抜くわけではないですが、それなりのプロレスは出来るかもしれません。でも自分が思う「バチバチのぶつかり」が出来るかといえば…そんなにプロレスは甘くない。

こんな自分にも少なからず応援してくれるファンの方々がいます。その方々に自分が理想としている「バチバチしたプロレス」を届けたい。「引退」と言う形で最後の姿を見てもらいたいです。

――出産のご予定はいつですか?

タンク:来年3月です。ですから今しっかり支えないといけない時期ですね。

――仕事と家庭、大変な時期にあるんですね。ところでタンク選手は2022年でデビュー10周年になります。現在37歳、レスラーとしてやり残したことはありませんか?

タンク:実は先輩たちに事情を説明し引退することを伝えた時、十嶋くにおさんに「自分が納得いかない形で辞めると後悔が残るし復帰したくなる。だから自分の中でやりたいことをやってからレスラー人生終わった方がいいよ」とアドバイスをいただきました。十嶋さんは2010年に引退し2012年に復帰された方です。最初は引退ロードも考えていませんでした。最後に引退試合だけ組んでもらってリングを離れようと思っていたのですが、その言葉を聞いて「自分のやりたいことをやろう」と思い会社に相談して引退ロードを組んでもらいました。

少し前取材された記者さんに「珍しいタイプのレスラーだ」と言われました。通常引退するレスラーは「全てやり切った。もうやりたいことはない」と辞めていく。でも自分の場合、取材を受けながら言葉に詰まることが多かった。「本当に後悔はないか?」と問われると、来年の10周年を目前に辞めることは残念ですし、後悔がないわけではありません。ただ引退ロードで11試合、本当にやりたい相手と試合を組んでもらいました。引退への花道を組んでいただけたので、そこで後悔を残すか残さないかは自分次第だと思います。

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――その引退ロードですが、すでにスタートしており2.13 TKPガーデンシティ千葉が最終試合になります。2022年の闘い初めがバラモン兄弟ですね。

タンク:レスラーになる前、プロレスファンとして2007年12月 新木場1st RINGで行われた「大バラモン展」を観に行きました。生きている昆虫をリング上にあげて好き勝手やっているプロレスに衝撃を受けました。今では考えられませんけど(笑)

――コンプライアンス的に問題がありますね(笑)

タンク:それを観客席からワクワクしながら見ていました。それで最後にバラモン兄弟の名前を挙げました。TollGlänzは自分と吉野コータローと笹村あやめの3人のユニットです。パートナーを考えた時、「笹村の方が適しているな」と。ですから笹村を道連れにして面白い試合をしたいですね(笑)

――プロレスリングWAVEで笹村選手を拝見し、基本がしっかりしつつ面白いプロレスにも対応できるレスラーだと感じました。ですから面白い試合が期待できそうですね。そして1.9 2AWスクエアではリッキーフジ選手・旭志織選手・大和ヒロシ選手・最上九選手と5WAYシングルが行われます。

タンク:千葉に縁のあるレスラーを集めました。2019年に千葉城前特設リングで試合をした時、自分が一日城主をさせて頂きました。今回「千葉に縁のある人たちと城主を争ってみたい」と思い、「一国一城」というテーマを掲げて5人で戦うのは面白いかと。ただ5WAYなので各選手コーナーに立った時、1人の選手があぶれてしまう(苦笑)。

――昔、5人対戦でボンバーマンをプレイすると、4人のプレイヤーは各々四隅からスタートで5人目が真ん中スタートでした。1人の選手はリング中央に立つのはいかがでしょうか?

タンク:ゲーム的に考えた場合、真ん中の方が有利に思いますがプロレスの場合はどうなるのか…そこを楽しんでもらうのも面白いですね(笑)。

<後編に続く>

<インフォメーション>
タンク永井選手の引退試合「引退ロード~犀魂継承~」が2/13 GRAND SLAM in TKPガーデンシティ千葉で行われます。タンク選手の最後の勇姿を、その目に焼き付けろ!引退ロードの詳細・チケット購入は2AWのWebサイトをご確認ください

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取材・本文/大楽聡詞
写真/本人提供