Sportiva注目アスリート「2022年の顔」第5回:佐藤心結(ゴルフ)決意表明インタビュー(前編)(第4回:富永啓生(バスケットボール)日本バスケの救世主>>)スポルティーバが今年とくに注目するアスリートたち。その才能でどんな輝かしい活…

Sportiva注目アスリート「2022年の顔」
第5回:佐藤心結(ゴルフ)
決意表明インタビュー(前編)

(第4回:富永啓生(バスケットボール)日本バスケの救世主>>)

スポルティーバが今年とくに注目するアスリートたち。その才能でどんな輝かしい活躍を見せてくれるのか。「2022年の顔」と題して紹介する。

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 女子ツアーの2022年シーズンからプロとして本格デビューを果たす注目選手と言えば、昨年10月のスタンレーレディスでアマチュアながら渋野日向子らと優勝を争った佐藤心結(さとう・みゆ)だ。プレーオフの末、惜しくも2位タイに敗れたが、その後のプロテストで一発合格。ファイナルQTでも11位という成績を残して、今季前半戦の出場権を得た。

 彼女の最大の武器は、スタンレーレディスのドライビングディスタンス部門でも名だたるプロを抑えて1位に輝いた飛距離。世界でも戦える「大器」として期待される彼女に、プロツアーデビューへの意気込みを語ってもらった――。

――プロのトーナメントにおいては、昨年10月のスタンレーレディスが初めて予選突破を果たした試合だったんですよね。

「はい。高校2年生の頃からプロのトーナメントにも出場するようになって、(昨年の)スタンレーレディスが4戦目の出場でした。

 前の週に行なわれた日本女子オープンでは予選落ちしてしまって、その翌日に(師事する)三觜喜一(みつはし・よしかず)コーチとラウンドする機会があって、そこでショットやパッティングのチェックをしていただきました。その際、(三觜コーチが)『悪いところはない』と言ってくださって、気持ちがラクになったというか、リラックスできました。それが、スタンレーレディスでの好結果につながったと思います」

――スタンレーレディスでは、その三觜コーチがキャディーを務めていました。それも、心強かったのではないですか。

「プロの大会はアマチュアの大会とは雰囲気が違いますし、(これまでは)私がそこにいると"場違い"に感じてしまう部分が正直あったんです。(自分に)自信がなかったのでしょう。

 それで(スタンレーレディスでは)三觜コーチに初めてキャディーをお願いして、ふだんと同じような感覚でラウンドができました。三觜コーチの存在は大きかったです」

――初日に自己ベスト「66」に迫る「67」をマークして、2位タイと好スタートをきりました。2日目も「69」で回ってトップタイ。最終日は最終組でのラウンドとなりました。

「私はスロースターターで、3日間や4日間の競技だといつも初日のスコアが悪いんです。おそらく緊張によって、体が思うように動かなかったりするからだと思います。

 そうやって初日に出遅れることで、逆に開き直れるというか、改めて気を引き締めることで、2日目以降に好成績が残せるような気がします。ですから、スタンレーレディスの初日の結果は、自分でもびっくりでした。

 2日目は出だしの3ホールがバーディー、バーディー、イーグル。コーチからは『自己ベストを狙っていこう』と声をかけてもらいました。その後はなかなか伸ばせなかったんですけど、そういうコーチのひと言が私をラクにしてくれました。

 でもその結果、最終日を最終組で迎えるなんて......。もちろん、プロの試合では初めてでしたから、朝イチ(1番ホール)のティーショットはさすがに緊張しました」

――最終日のラウンド中、優勝を意識した瞬間はありましたか。

「(試合を見ている)みなさんは、『アマチュアだから、いつか崩れるだろう』という感じでご覧になっていたかもしれませんが、私自身は目の前の一打、一打に集中できたら、結果は自ずとついてくると思っていました。

 スコアを気にしながらも、極端に気にしすぎることはなく、淡々とプレーできました。(最終日の)前半を終えてトップに立っていることも知って、『もしかしたら、優勝できるんじゃないか』とは思いましたね(笑)」

――佐藤選手が憧れている畑岡奈紗プロも、アマチュア時代に日本女子オープンを制してプロ入り。ご自身も、そういった形を狙っていましたか。

「もちろん『優勝したい』とは強く思っていました。でも、それがどれだけすごいことなのか、どれほど大変なことなのか。そこは、自分でもよくわかっていたつもりです」

――優勝の行方は、通算10アンダーで並んだ渋野日向子プロ、ペ・ソンウプロ、木村彩子プロ、そして佐藤選手の4人によるプレーオフに突入。最終的に渋野プロが2年ぶりの優勝を飾りました。渋野プロと一緒に回っていかがでしたか。

「体も大きくて、身長も高くて、下半身がしっかりしていました。気持ちの強さ、自信が満ちあふれていて、『オーラがあるな』と感じました。"ここぞ"というところで決められる選手で、『強いな』とも思いました。

 プレーオフということで、私は緊張していて、頭の中が真っ白になって、どこかフワフワしていたんですね。そんな時、渋野プロから『ぜんぜん緊張していないように見える』と声をかけてくださって。とても優しい方でした」

――緊張していてもそれを表に出さないのは、プロとしては必要な才能のひとつと言えるのではないでしょうか。

「どうなんでしょう......。でも実際、私が『緊張している』と言うと、周囲から驚かれることが多いです。いつも緊張しっぱなしなんですけど(苦笑)」

――最終的にスタンレーレディスでは2位タイ。その結果について、うれしさと悔しさ、どちらのほうが勝っていましたか。

「う~ん......。プロになる最大のチャンスを逃したな、と感じたのは確かです(笑)。一方で、やりきった感もあって......。でもやっぱり、悔しさのほうが強かったと思います。

 とはいえ、それを引きずることはありませんでした。その2日後にはプロテストの第2次予選が控えていたので、わりとすぐに気持ちを切り替えることができました」

――そのプロテストでは最終まで進んで、4位という結果を残して一発合格。そしてその後、ファイナルQTでも11位という成績で今季ツアーの出場権を手にしました。それにしても、怒涛の2カ月をすごしていたんですね。

「(その2カ月は)長かったような、短かったような......。スタンレーレディスの時はまだ、無名のアマチュア選手のひとりにすぎませんでした。それが、2位という結果を出して周りからも注目されるようになり、その後は少なからずプレッシャーもありました。

 でも、2位という結果は大きな自信となりました。それが、その後のプロテスト、QTにもうまくつなげられたと思います」

――いよいよプロツアーに挑むことになりますが、佐藤選手がプロで戦ううえで武器とするのは何でしょうか。

「やっぱり飛距離と、スピンの効いたアイアンショットを打てることが強みだと思っています。スタンレーレディスの時も、プロの方々が『今年一番、グリーンが仕上がっている』とおっしゃるほど、グリーンは硬くて、速かったんですけど、そこで(自分は)しっかりスピンを効かせてボールを止められたので。そこは、武器にしていきたいです」

(つづく)

佐藤心結(さとう・みゆ)
2003年7月21日生まれ。神奈川県出身。明秀学園日立高3年。2021年プロテスト合格。2021年ファイナルQT11位。身長161cm。血液型B。