欧州サッカーの2021-22シーズンは、年をまたいで中間地点を越えた。世界中から注目を集めるビッグクラブの今季の調子はど…
欧州サッカーの2021-22シーズンは、年をまたいで中間地点を越えた。世界中から注目を集めるビッグクラブの今季の調子はどうだろうか。ここでは、UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)が発表している現時点でのクラブランキングで、上位10チームの戦いぶりと最新のフォーメーションを紹介する。
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1位:バイエルン(ドイツ)
【4-2-3-1】
FW:レバンドフスキ(シュポ=モティング)
MF:サネ(コマン)、ミュラー(ティルマン)、ニャブリ(ムシアラ)
MF:ゴレツカ(ロカ)、キミッヒ(トリソ)
DF:デイビス(リチャーズ)、リュカ・エルナンデス(ジューレ)、ウパメカノ(ニャンズ)、パバール(スタニシッチ)
GK:ノイアー(ウルライヒ)
ユリアン・ナーゲルスマン新監督の下、ブンデスリーガで後続に勝ち点9差の首位に立ち、チャンピオンズリーグ(CL)ではグループステージを全勝で通過。どちらの大会でも凄まじい得点力を見せており、前者で1試合平均約3.3点、後者でも同3.7点を記録している。
その立役者は、リーグ戦で19ゴール、CLで9得点を挙げているロベルト・レバンドフスキにほかならない。ただしチームとしては守備に一抹の不安も。リーグ戦の2敗ではともに複数得点を許し、DFB杯2回戦ではボルシアMGにまさかの0-5の大敗を喫している。ドイツの絶対王者にも死角はあるか。

2位:マンチェスター・シティ(イングランド)
【4-1-2-3】
FW:フォーデン(グリーリッシュ)、ジェズス、マフレズ(スターリング)
MF:ギュンドアン(パーマー)、ベルナルド・シウバ(デ・ブライネ)
MF:ロドリ(フェルナンジーニョ)
DF:カンセロ(ジンチェンコ)、ラポルト(アケー)、ルベン・ディアス(ストーンズ)、 ウォーカー
GK:エデルソン(ステフェン)
リーグ開幕戦の黒星(トッテナムに0-1)はジョセップ・グアルディオラ監督にとって、指導者デビューした2008-09シーズン以来のもの。だがそれが尾を引くことはなく、ポゼッションとハイプレスのモダン戦術を徹底し、国内外で圧巻のパフォーマンスを続けている。
1試合4得点以上を奪った試合は、CLで3回、首位に立つプレミアリーグで6回。ハリー・ケイン(トッテナム)を獲得できなかった影響を感じさせず、前線の中央にはあらゆるアタッカーが配され(マフレズまでも!)、偽CFとして機能している。出遅れたケビン・デ・ブライネの影は薄いが、ベルナルド・シウバがその穴を埋め、レフトバックのジョアン・カンセロもピッチの中央で絶大な存在感を放つ。ここまでリーグ戦で唯一ひと桁失点を維持している守備陣も磐石だ。

3位:リバプール(イングランド)
【4―1-2-3】
FW:マネ(南野拓実)、ジョタ(フィルミーノ)、サラー
MF:チアゴ・アルカンタラ(ケイタ)、ヘンダーソン(オクスレイド=チェンバレン)
MF:ファビーニョ(ミルナー)
DF:ロバートソン(ツィミカス)、ファン・ダイク(コナテ)、マティプ(ゴメス)、アレクサンダー=アーノルド(N・ウィリアムズ)
GK:アリソン(ケレハー)
相手を飲み込むゲーゲンプレスと嵩にかかる波状攻撃で国内外の敵を薙ぎ倒し、全公式戦でまだ2敗しか喫していない。とてつもないプレーを連発するエースのモハメド・サラーは、リーグ20試合16得点、CL6試合7得点。。昨季の長期離脱から戻ってきたフィルジル・ファン・ダイクは、最終ラインに安定とビルドアップの深みをもたらしている。
新戦力をゆっくり馴染ませるユルゲン・クロップ監督の下、2年目の面々が躍動し始め、なかでもチアゴ・アルカンタラは中盤で洒脱に組み立てるだけでなく、CLグループ第5節では信じがたいボレーシュートを決めて、世界中のフットボールファンを驚かせた。

4位:チェルシー(イングランド)
【3-4-2-1】
FW:ハフェルツ(ルカク)
FW:ヴェルナー(プリシッチ)、マウント(ツィエク)
MF:チルウェル(マルコス・アロンソ)、ジョルジーニョ(ロフタス=チーク)、カンテ(コバチッチ)、ジェームズ(ハドソン=オドイ)
DF:リュディガー(サール)、チアゴ・シウバ(クリステンセン)、アスピリクエタ(チャロバー)
GK:メンディ(ケパ)
昨季の欧州王者を率いるトーマス・トゥヘル監督は、新エース候補ロメル・ルカクが思うようにフィットせずとも、カイ・ハフェルツやクリスティアン・プリシッチらを前線中央で起用してCL決勝トーナメント進出を決めるなど、策士ぶりを発揮していた。
メイソン・マウントやリース・ジェームズ、トレボ・チャロバーら、アカデミー出身者たちの活躍もあり、初冬までは首位に立っていたが、新種のコロナウイルスが蔓延し始めると、多くの選手が感染。リーグ戦でも白星が遠のき、2位に落ちている。延期要請を断られ、指揮官はリーグ側に不満を抱えている様子だ。

5位:レアル・マドリード(スペイン)
【4-1-2-3】
FW:ヴィニシウス(アザール)、ベンゼマ(ヨビッチ)、アセンシオ(ロドリゴ)
MF:クロース(バルベルデ)、モドリッチ(イスコ)
MF:カゼミーロ(カゼミーロ)
DF:F・メンディ(マルセロ)、アラバ(ナチョ)、ミリトン(バジェホ)、カルバハル(ルーカス・バスケス)
GK:クルトワ(ルニン)
名将カルロ・アンチェロッティが適所に適材を配し、選手たちを気持ちよくプレーさせ、マドリーらしいシンプルに強いチームが戻ってきた。円熟味を増すエースのカリム・ベンゼマが器用に決定機に関与し、超絶技巧の持ち主ヴィニシウス・ジュニオールは効果的なプレーを見せるようになり、このふたりだけでチームの半数以上の得点を挙げている。
中盤には若い新戦力も入ったが、結局はジネディーヌ・ジダンが率いて欧州を3連覇した頃の3人が君臨し、あらためて高いクオリティーを披露。最終ラインの中央にダビド・アラバ、ゴール前にティボー・クルトワが立ちはだかる守備陣にも大崩れはない。リーガではすでに頭ひとつ抜け、CLも悠々と勝ち抜けた。

6位:パリ・サンジェルマン(フランス)
【4-1-2-3】
FW:ネイマール(ドラクスラー)、エムバペ(イカルディ)、メッシ(ディ・マリア)
MF:ゲイエ(パレデス)、ワイナルダム(アンデル・エレーラ)
MF:ベッラッティ(ダニーロ・ペレイラ)
DF:ヌーノ・メンデス(ディアロ)、キンペンベ(セルヒオ・ラモス)、マルキーニョス(ケーラー)、ハキミ(ダグバ)
GK:ナバス(ドンナルンマ)
フットボール界を代表するアタッカーを生かすべく、マウリシオ・ポチェッティーノ監督は本来の持ち味とは異なる、時代と逆行した攻守分業のスタイルをやむなく志向。攻撃は前線のタレントの自由に委ね、守備時にはもっぱらそれ以外の7人(+GK)でボールを追う。
国内ではその手法でも勝ち点を積み重ねているが、クラブの最大の目標である欧州の頂点に立てるかはわからない。CLのグループステージをマンチェスター・シティに次ぐ2位で突破し、ラウンド16ではレアル・マドリードと対戦。いきなりの試練を乗り越えられるか。

7位:バルセロナ(スペイン)
【4-1-2-3】
FW:ガビ(アンス・ファティ)、デパイ(L・デ・ヨング)(フェラン・トーレス)、デンベレ(コウチーニョ)
MF:F・デ・ヨング(リキ・プッチ)、ニコ・ゴンサレス(ペドリ)
MF:ブスケツ
DF:ジョルディ・アルバ(デスト)、ピケ(ラングレ)、エリック・ガルシア(アラウホ)、デスト(ミンゲサ)
GK:テア・シュテーゲン(ネト)
このなかで唯一、CL16強入りを逃してしまった。それ自体が2004-05シーズンから連続出場を続けてきてなかで初めてのこと。グループの6試合で記録した得点はわずかに2だ。国内でも白星がやっと先行するほど苦しんでいる。もっとも、11月にロナルド・クーマン監督のあとを引き継いだシャビ・エルナンデス監督に弁明の余地はある。
リオネル・メッシら複数の主力を放出したのは前会長の醜聞に満ちた経営の帰結であり、アンス・ファティやペドリらの主力は負傷離脱中。加えて、新戦力のセルヒロ・アグエロが心臓の不具合で現役を退くなど、踏んだり蹴ったり。生え抜きの若手をたくさん抜擢しているが、それは勇気ある決断というより、必要に迫られているからに見える。3バックも試すなど、今は試行錯誤の時期だ。

8位:ユベントス(イタリア)
【4-4-2】
FW:モラタ(キーン)、ディバラ(キエーザ)
MF:ベルナルデスキ(ラビオ)、クアドラード(クルセフスキ)
MF:ロカテッリ(マッケニー)、ベンタンクール(アルトゥール)
DF:アレックス・サンドロ(ペッレグリーニ)、ボヌッチ(キエッリーニ)、デ・リフト(ルガーニ)、ダニーロ(デ・シーリオ)
GK:シュチェスニー(ペリン)
バルセロナほどではないが、イタリアの盟主も厳しい時代を迎えている。過去にリーグ5連覇とCL決勝に2度進出したマッシミリアーノ・アッレグーリ監督を呼び戻し、往時の常勝チームを作ろうとしたが、形と型が定まらず、足取りも不安定。CLではチェルシーと同居した組を首位通過したが、セリエAでは5位と苦しんでいる。
何よりここまでの総得点が27と、首位インテル(49得点)とは大きくかけ離れている。やはりクリスティアーノ・ロナウドの放出は痛かったか。それでもパウロ・ディバラ、フェデリコ・キエーザ、レオナルド・ボヌッチら、一線級のメンツは揃っているだけに、指揮官には早急な立て直しが求められる。

9位:マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
【4-4-2】
FW:C・ロナウド(カバーニ)、ラッシュフォード(グリーンウッド)
MF:ブルーノ・フェルナンデス(ファン・デ・ベーク)、サンチョ(リンガード)
MF:フレッジ(マティッチ)、マクトミネイ(ポグバ)
DF:アレックス・テレス(ショー)、ヴァラン(リンデロフ)、マグワイア(バイリー)、 ワン=ビサカ(ダロ)
GK:デ・ヘア(D・ヘンダーソン)
英国の悩める赤い悪魔は、オーレ・グンナー・スールシャール監督をついに解任し、後任にラルフ・ラングニック監督を招聘(来季以降はGMになることが濃厚)。トゥヘルやクロップにも多大な影響を与えた現代ドイツ派の始祖とも評される指揮官だが、ビッグクラブを率いるのは初めてだ。
自身もそれを認める明晰な63歳は、「チームがプレッシング・モンスターになるには時間がかかる」と高まる期待をけん制する。むろん成功は約束されていないが、守備にも懸命に走るクリスティアーノ・ロナウドを見れば、そこに明確な指針があることを感じさせる。

10位:アトレティコ・マドリード(スペイン)
【3-1-4-2】
FW:スアレス(コレア)、グリーズマン(ジョアン・フェリックス)
MF:カラスコ(ロディ)、デ・パウル(エクトル・エレーラ)、マルコス・ジョレンテルマール、トリッピアー(ブルサリコ)
MF:コケ(コンドグビア)
DF:エルモソ、ヒメネス(フェリペ)、サビッチ
GK:オブラク(ルコント)
昨季のラ・リーガ王者は攻撃的に方針転換したかに見えたが、実情は逆に本来のアイデンティティを失っているようだ。「ブルドッグがプラダを着たプードルになってしまった」と現地紙に評されるとおり、かつてのように敵をどこまでも困らせる嫌なチームではなくなっている。
豪華な攻撃陣を生かしきれておらず、システムも定まらず、CLグループはどうにか突破したが、リーグ戦では4位。以前ならリードした際は強固に守りきっていたような試合でも、そうならないケースが度々ある。やはりディエゴ・シメオネ監督のチームには、洗練ではなく、武骨が似合うか。