「レインメーカー」オカダ・カズチカ インタビュー「中心は俺でしょって思ってますし、やっぱり、俺がいないと新日プロレスじゃないでしょって思っている部分もある」"背負える男"が、ど真ん中に帰ってきた。1・4東京ドームで王者・…

「レインメーカー」オカダ・カズチカ インタビュー

「中心は俺でしょって思ってますし、やっぱり、俺がいないと新日プロレスじゃないでしょって思っている部分もある」

"背負える男"が、ど真ん中に帰ってきた。



1・4東京ドームで王者・鷹木信悟とメインイベントを戦うオカダ

 リングに金の雨を降らせる"レインメーカー"オカダ・カズチカ。新日本プロレスのIWGPヘビー級王者として、2016年6月から12回連続で防衛。通算ベルト保持期間は史上最長の720日を誇る。

 しかし2020年1月5日、内藤哲也との2冠戦に敗れて王座から陥落して以降は、約2年間は無冠のまま。ドラマやバラエティー出演、書籍の発売といったリング外での活躍に反比例して、オカダはリングの中心から離れてしまうのか......。

 そう感じたファンもいるだろうが、すべては杞憂にすぎなかった。新日本プロレスが創立50周年を迎える2022年を前に「G1 CLIMAX」を制覇し、復活の狼煙を上げた。

 オカダは昨年末、自身の書籍『「リング」に立つための基本作法』(幻冬舎)の発売イベントでインタビューに応じ、激動の2021年を次のように振り返った。

「本当にいろんなことがあった1年でしたね。1・4東京ドームで(ウィル・)オスプレイに勝って、大阪城ホールのメインではEVILに勝った。5月にはコロナに感染して、6月のIWGP世界ヘビー級王座決定戦で鷹木さんに敗けて、秋のG1で優勝した。本当に山あり谷ありの1年だったなと思います」

 昨年は新日本プロレスにとっても大きな変革があった。IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座が統一され、「IWGP世界ヘビー級王座」に。その新王者になったのは、3月4日にエル・デスペラードに勝利した飯伏幸太だった。

 その後、ベルトはオスプレイに渡ったがケガのために返上。6月7日、オカダは鷹木信悟と第3代王座決定戦を戦うも敗れた。王者となった鷹木はその後、棚橋弘至、EVIL、ザック・セイバーJr.を相手に3度の防衛を果たしている。

【帰ってきた「レインメーカー」】

 鷹木について、オカダは「やっぱり強い選手だな、と思いますね。強くなければ新日本プロレスでこれだけの防衛戦はできないですし、いろんな選手に勝っている」と評価。しかし、「鷹木さんも出た『G1 CLIMAX』で優勝できたのは、すごく自信になっています。今はもう、鷹木さんより僕のほうが全然強いかな、と思っています」と不敵な笑みを浮かべた。



王者・鷹木に逆襲を誓った

 そのG1の開幕戦では棚橋弘至を、時間切れ引き分け寸前の29分36秒にレインメーカーで下した。試合後にはリング上でマイクを握り、「"レインメーカー"オカダ・カズチカが帰ってきたぜ!」と宣言。観客からは大きな拍手が送られた。

 その後は7連勝もあり、最終戦では首位争いを繰り広げてきた"怪物"ジェフ・コブに勝利。優勝決定戦は、飯伏幸太がフェニックススプラッシュを自爆して試合続行不能になって、思わぬ形で優勝を手にした。

 試合後は会場もざわついていたが、オカダは「僕は胸を張って『G1 CLIMAX31』のチャンピオンだと言いたいと思います! チャンピオンはこのオレだ!」とざわめきを拍手に変え、新日本プロレスの中心はレインメーカー、オカダ・カズチカでしょう! 新日本プロレス、また俺がいろいろと背負いたいと思います」と続けた。

 そのG1について、オカダは笑顔でこう語った。

「6月にベルトを獲れなくて、トップ前線に戻るためにはもうG1しかないと思っていました。そんななかで勝つことができて、トップ戦線の雰囲気をすごく久しぶりに味わえましたね」

 そして、「時は来た!」

 今年の1・4東京ドームのメインイベントで、オカダは挑戦者として、「IWGP世界ヘビー級王者」の鷹木と闘う。翌1・5のメインは、その試合の勝者に、前IWGP世界ヘビー級王者のオスプレイが挑戦するという流れになっている。

【「俺がいないと新日じゃない」】

「4日と5日、すごく大変な戦いなると思いますけど、それは鷹木さんも同じ条件。そのなかで僕は、2日ともメインイベントで戦って勝ちたい。

 オスプレイは5月の東京ドーム大会で戦うはずでしたが、大会が延期になって流れてしまった。鷹木さんは2021年に2連敗していますし、この3人でベルトを争うことに意味がある。誰が勝っても無駄なカードはない。4日、5日のメイン、注目してもらいたいです」



終始、笑顔を見せながらインタビューに答えた

 1・4(イッテンヨン)東京ドーム大会といえば、新日本プロレスが1992年から毎年1月4日に開催されている、プロレスファンお馴染みの大会。2020年に、29年目にして初めての2日連続開催となり、今年で3年連続となる。

「プロレスファンじゃなくても、1・4(イッテンヨン)という言葉は聞いたことがあるんじゃないかな。そのくらい世間にも浸透している、すごく大事な大会です。最近は1・4、1・5がありますけど、やっぱり新日プロレスでもっとも大事な試合は1・4だと思っています。"1年の終わり"であり、"1年の始まり"でもある大会だと思っています。1・5のメインイベントも大事ですけど、1・4という舞台に立てる人が、本当のトップ選手だと思っています」

 1・4への強いこだわりを話したオカダ。会場となる東京ドームにも特別な思いがあるという。

「何回行っても緊張しますし、ワクワクしますね。駐車場から控室に歩いていく時、グラウンドに出た時も『デカイところだな』とあらためて思うんです。でも、僕はまだあそこを超満員(4万3000人)にできてないんです。『マディソン・スクエア・ガーデンは超満員だったのに、東京ドームを超満員にしなくていいの?』っていう思いもあるので、なんとか超満員にしたいです」

 2022年、50周年を迎える新日本プロレス。その記念すべき年の幕開けの大会でオカダはメインを飾る。しかし50周年という節目については、「50周年だからといって、正直、そんなに変わらないんですよね。僕はどんな時でも団体を引っ張っていくつもりでいるので(笑)。中心は俺で、やっぱり俺がいないと新日プロレスじゃないでしょって思っている部分もあります」と言いきった。

 今年はさらに、オカダが初めてIWGPのベルトを巻いてから10年目でもある。それでも、オカダは何も変わらない。インタビューに答える表情には、「常に中心となって引っ張っているのは自分だ」という自信が溢れていた。

 最後に、2022年の目標を漢字ひと文字で表してもらった。

「やっぱり『勝』ですかね。僕は勝たなきゃいけないし、勝ち続けないといけない。コロナ禍で、みなさんも耐えて戦っているなかで、世の中を盛り上げていきたいです。気を抜かず、プロレスだけじゃなくいろんなものと戦って、勝ちにいかないといけないのかなと。そういう意味で、2022年は『勝』という字にしたいです」

 オカダが言う『勝』は、リング内での戦いだけではない。コロナ禍の影響は新日本プロレスも例外なく受けており、2021年度の国内観客動員は18万3541人。20万人割れはここ40年間で初めてのことだった。

 そんな閉塞感を洗い流すべく、"レインメーカー"が1・4東京ドーム大会のメインのリングに立つ。