1月2日に開幕する箱根駅伝。今年も熱いレースが期待されるが、各大学の今シーズンの走りや戦力を取材してきたスポーツライターたちはどう見ているのか。独自目線で上位の10校を予想した。前回大会は駒澤大が10区でトップに立ち総合優勝。今大会はどう…

 1月2日に開幕する箱根駅伝。今年も熱いレースが期待されるが、各大学の今シーズンの走りや戦力を取材してきたスポーツライターたちはどう見ているのか。独自目線で上位の10校を予想した。




前回大会は駒澤大が10区でトップに立ち総合優勝。今大会はどうなる?

【総合優勝は4チームの争い】

■佐藤俊(スポーツライター)

1位:駒澤大 
2位:創価大
3位:青山学院大
4位:國學院大
5位:順天堂大
6位:東京国際大
7位:明治大
8位:早稲田大
9位:帝京大
10位:東洋大

 総合優勝は、駒澤大、青学大、創価大、國學院大で争うだろう。12月29日に発表された区間エントリーを見ると、駒澤大と青学大は「復路勝負型」、創価大は「前半貯金型」、國學院大は「イーブン型」と勝負スタイルは異なるが、いずれも往路・復路とも隙がないオーダーだ。

 ただ、往路に限っては東京国際大も絡んでくる。イェゴン・ヴィンセント(3年)、丹所健(3年)、山谷昌也(3年)のトリプルエースで序盤の主導権を握るだろう。

 総合優勝は、個人的には駒澤大を推す。

 安原太陽(2年)と花尾恭輔(2年)を温存し、鈴木芽吹(2年)も補欠。鈴木が走るかどうかで駒澤大の優勝確率は変わるが、今回勝てば、田澤廉(3年)が4年生になる翌シーズンは「大学駅伝3冠、箱根駅伝3連覇」も狙える。さらに、今の強力な2年生が4年になるまで箱根4連覇の可能性もあり、"黄金時代"を築くかもしれない。

 復路は、駒澤大と青学大が1位、2位であれば、そのままいくだろう。一方、創価大などが先行して復路で勝負をかけるなら、往路終了時で駒澤大、青学大に2分以上は差をつけておきたい。

 注目は1区、3区、5区だ。

 1区はスピードランナーたちがラストスパートで"叩き合い"になるが、誰が区間賞を獲るのか。2区をトップでくるだろうヴィンセントが他チームにどのくらいの差をつけ、3区でその差がどのくらい詰まるのか。それが往路最大の戦いになる。5区は順位が動く「山」の区間。國學院大の殿地琢朗(4年)ら"山の神"候補に加え、無名の選手が出てくる可能性もあり、目が離せない。

 シード権争いは、帝京大、東洋大、中央大、東海大、神奈川大ら箱根の常連校で、「もうひとつの箱根駅伝」を戦うことになるだろう。

【2強は青学大が優位。創価大も好走の気配】

■酒井政人(スポーツライター)

1位:青山学院大
2位:駒澤大
3位:創価大
4位:順天堂大
5位:東洋大
6位:早稲田大
7位:國學院大
8位:東京国際大
9位:明治大
10位:中央大
 
 まず"2強"を比較すると、ハマった時の爆発力は駒澤大が上だが、不安要素が多い。特に、前回大会で「山」を担った5区・鈴木芽吹(2年)が故障あがりで、同6区で区間賞を獲得した花崎悠紀(4年)が登録メンバーから外れたのは痛い。エースの田澤廉(3年)は、12月4日の日体大長距離競技会10000mで日本人学生最高の27分23秒44(日本歴代2位)をマークしたが、そのダメージが心配だ。

 反対に青学大は、5区の人選さえ見誤らなければ、不安要素は非常に少ない。往路の前半は駒澤大の背中を見ながらのレースになっても、5区で逆転のチャンスが巡ってくるだろう。7区以降の戦力も駒澤大より上だと思う。

 往路では創価大と東京国際大が2強の前を走る可能性が高い。創価大は前回3区で快走した葛西潤(3年)の復帰が大きく、1区で出遅れなければ、往路をトップに近い位置で折り返すことができるはず。前年以上に選手層も厚く、復路も好走が期待できる。

 一方の東京国際大は、3区までの爆発力は非常にワクワクする。しかし往路でトップを独走したとしても、最後まで持たないと予想する。その前に、5区の途中で追いつかれるのではないだろうか。

 順天堂大、東洋大、早稲田大、國學院大は似たような戦力で、4~7位は読みにくい。4校とも2区に決定打がないため、5区(順天堂大・四釜峻佑、東洋大・宮下隼人)にアドバンテージがあると思われる順天堂大と東洋大が上にいくような気がしている。

 予選会校では明治大と中央大の総合力が高い。全日本大学駅伝に続いて「シード権」を獲得すると予想する。

【2強に続く3位争いは混沌】

■折山淑美(スポーツライター)

1位:駒澤大(青山学院大)
2位:青山学院大(駒澤大)
3位:創価大
   順天堂大
   東洋大
   早稲田大
7位:明治大
   國學院大
   東京国際大
   東海大

 優勝と2位は、"2強"と見られている駒澤大と青学大が争うことになりそうだ。

 重要なポイントになるのは、「山」の5区と6区。12月29日に発表された青学大の区間エントリーでは、5区は若林宏樹(1年)になっているが、当日変更があるなら飯田貴之(4年)だろう。6区の高橋勇樹(4年)は、全日本大学駅伝で4区・区間1位と調子がいいだけに、57分台で走れそうだ。

 それに対して駒澤大は、激坂最速王4位の大坪幸太(3年)が4区にエントリー。5区は金子伊吹(2年)だが、場合によっては前回区間4位の鈴木芽吹(2年)の起用もあり得る。6区は1年の篠原倖太朗。2校を比べると、山に関しては青学大に分がありそうだ。

 青学大が総合優勝するためには、6区終了時点で駒澤大より前にいること。ただ、駒澤大の1区と2区が力どおりに走れば、駒澤大の総合優勝の可能性が高いと見ている。

 3位争いは4校が混沌とする状況。2区と4区、5区を前回の経験者が走る創価大は、この1年でのレベルアップも考えると、1区をトップと僅差でつなげれば総合優勝争いにも顔を出しそうだ。順天堂大は三浦龍司(2年)、野村優作(3年)、伊豫田達弥(3年)がうまく機能すれば、往路の優勝候補にもなりそう。

 東洋大も前回往路を走った選手が4人残っていて、スーパールーキー・石田洸介(1年)が入れば往路の優勝候補になる。また、前回6位の早稲田大は、1万m27分台のランナーを1区から3人並べる往路優勝を意識しての布陣で、復路でも3位争いに加わりそうだ。

 ここに続くのは、1万mのエントリーメンバー上位10人の平均タイムが、駒澤大と青学大に続く明治大。さらに、全日本大学駅伝で4位としぶとさを見せている國學院大、1区から3区の爆発力でレース運びがラクになる東京国際大、東海大の総合力も侮れない。この4校は、3位争いから脱落した大学を食って上位にいく可能性も大きい。