まもなく2022年を迎え、1月5日(水)には高校最後の全国大会、第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が開幕する。女子は就実高(岡山)、金蘭会高(大阪)、八王子実践高(東京)などの強豪校と共に優勝候補の一角にあげられる…

 まもなく2022年を迎え、1月5日(水)には高校最後の全国大会、第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)が開幕する。女子は就実高(岡山)、金蘭会高(大阪)、八王子実践高(東京)などの強豪校と共に優勝候補の一角にあげられるのは下北沢成徳高(東京)だ。今夏のインターハイで優勝し、都代表決定戦3位で3年ぶりの春高出場を決めた。大会を前に、月刊バレーボール2021年10月号に掲載されたインターハイ後に行われた古川愛梨、谷島里咲、内澤明未へのインタビューを再掲載する。

 

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2年ぶりの全国大会となったインターハイで、優勝に輝いた下北沢成徳。東京2020オリンピックでも活躍した先輩たちの背中を追い、将来の日本代表入りを目指す古川愛梨、谷島里咲、内澤明未にインタビュー。切磋琢磨できる環境が、選手としての幅を広げている

 

左からリベロの内澤明未、ミドルブロッカーの古川愛梨とアウトサイドヒッターの谷島里咲

 

自己評価は辛口でも互いのプレーは絶賛

――優勝おめでとうございます。大会を振り返っていかがですか?

 

古川 優勝できたのはすごくうれしかったですが、自分のプレーがしっかりできなかったので、全国大会で力を出せるようにもっと練習を頑張りたいです。

 

谷島 初めての全国大会で優勝できたのはすごくうれしかったですが、優勝が決まるスパイクを一回で決められなかったり、まだまだな部分もあります。天狗(てんぐ)にならないで、次の試合に向けて頑張りたいです。

 

内澤 自分にとっては初めての全国大会で、ワンタッチしてもらったボールを拾えず、コートで声を出すことくらいしかできなかったかもしれません。でも、先輩たちに助けられて、目標だった日本一を取れたのはすごくうれしかったです。また日本一になるために、気合いを入れ直して頑張りたいです。

 

――個人としては課題もあったようですが、お互いのプレーはどう見ていましたか?

 

谷島 (古川)愛梨は決勝の終盤でスパイクを決めていましたが、試合中に先輩の(濱村)ゆいさんに怒られて。そこから調子がよくなったね(笑)

 

古川 「自分のやることができていない」と言われて、「やらなきゃ」と思いました。中学のJOC杯など、これまで全国大会で力を出せていなくて。今回もあんまり出せませんでしたが、最後はいい形で終われてちょっとうれしかったです。

 

谷島 やればできるんですよ!(笑)

 

内澤 (谷島)里咲さんからは、トスを上げれば決めてくれる、というくらいの気迫を感じました。

 

谷島 ふだんは言われないからうれしいです(笑)

 

内澤 言っているんですけど、「調子に乗ってんじゃねえよ(笑)」って言われるので…(笑)

 

谷島 バカにするように言うからね(笑)

 

内澤 そんなことないです!(笑)

 

古川 里咲は日本一を取るという気持ちがめっちゃ出ていて、スパイクもブロックも力強かったです。ふだん、練習でゲームをしているときも、「負けていても絶対に追い上げよう」と全員に言っています。

 

谷島 えー、そう?(笑) あまり意識していなかったですが、自分が大事なときにトスを上げてもらっている分、そういう声を出していかないといけないと思っています。明未は点を取ったあとの喜び方がすごいよね。身長が20cmくらい違うけど、ジャンプすると同じくらいの目線になる(笑) めっちゃ跳んで喜びを表現することが、チームの雰囲気を上げることにつながっていると思います。

 

古川 いちばん喜んでいて、それだけで雰囲気が上がるよね。あとは、「それ、拾えるの?」って思うボールを上げてくれる。

 

谷島 (動きが)若々しいよね。

 

全員 (笑)

 

高いレベルを目指してチーム内で切磋琢磨

 

――将来日本代表入りを目指しているという3人ですが、下北沢成徳に来た理由は何ですか?

 

古川 もともとキツい練習が好きではなく、入学する予定はありませんでした。でも、中学1年生のときに木村沙織(元東レ)さんに誘われて、練習の雰囲気もすごくよかったので入学を決めました。将来のために今、自分の体をつくりたいと思いました。

 

谷島 お姉ちゃん(谷島花虹/青山学院大1年)が成徳に入っていて、行きたいと思っていたときに、小川(良樹監督)先生に声をかけていただきました「高校で日本一を取りましょう」と言ってくださる先生はほかの学校にたくさんいましたが、小川先生には「高校を卒業したあとのことを考えてみないか」と言われて。それを聞いて、すごいな、と思いました。

 

内澤 地元の岩手の強豪校と迷っていましたが、岩手出身の伊藤(崇博コーチ)先生が、自分を中学1年生のときに見てくれていたそうで。それまではレベルの高いところでプレーすることは考えていませんでしたが、成徳でプレーする選択肢を与えてもらいました。やるからには勝ちたいし、高校を卒業してからを考えると、自分が成長できそうなこのチャンスを逃したくないと思って決めました。

 

――成長につながっていると感じる練習はありますか?

 

古川 ランメニューで持久力がついて、ゲーム後半でもバテず、力が出せるようになりました。

 

谷島 自分も同じで、練習よりも大会で疲れないので、成果が出ていると思います。練習でランをしてからフルメニューをすることが何回もあり、一日に3試合するよりもつらかったです。

 

内澤 小川先生は2、3年生に向けて、ランのタイムでチームの仕上がりレベルがわかるとおっしゃいます。でも、私はチームに少しでも貢献するためにも、1年生だって全員で頑張って、チームの最低限の基準を上げられればいいね、と話すようにしています。

 

谷島 明未は1年生の中で先頭に立って引っ張っていくタイプで、いちばんまとめようとしてくれています。

 

内澤 自分たちの代は、先輩たちと比べて技術がなく、背も低いです。だからこそ今トレーニングなどを頑張って、3年生になったら先輩たちのように技術をつけて、自分たちの代でも勝てるようにしたい。今、試合に出させてもらっている自分がいちばん先輩たちから学べるので、それを生かして同級生に伝えないといけない、と思っています。

 

 

(左)内澤明未

うちざわ・あみ/1年/リベロ/身長151cm/最高到達点265cm/軽米中(岩手)

1年生で唯一スタメン入り。抜群のディグを持ち味に、小柄な体でピンチを救う

(中)古川愛梨

ふるかわ・あいり/2年/ミドルブロッカー/身長184cm/最高到達点300cm/加治木中(鹿児島)

中学1年生時から全中選抜に選ばれた期待の大器。決勝では豪快なスパイクを連発

(右)谷島里咲

やじま・りさ/2年/アウトサイドヒッター/身長172cm/最高到達点297cm/八郷中(茨城)

パワフルなスパイクが持ち味。2年生エースとしてベスト6に選出

 

――トレーニングについてはいかがですか?

 

谷島 おもりを上げられるとうれしいし、バレーも強くなれると思ったらすごくいいと思います。中学3年生から高校1年生で、最高到達点が7㎝くらい上がりました。

 

古川 自分ではそんなにわからないですが、腕立てや腹筋など、上半身のトレーニングを結構していると、実家に帰って「肩まわりの筋肉がついたね」と言われました。

 

谷島 「(骨が)折れちゃわない?」ってくらい細かったけど、強くなったよね。

 

内澤 ボールには触れているけど、最後レシーブしきれなかったことを先輩に話すと、「トレーニングとか、腕立てや腹筋の最後の一回をしっかりやりきれば、バレーでも頑張れるんじゃない?」と言われたので、そこを意識して頑張っています。

 

――高いレベルを目指す仲間たちとプレーすることで刺激はありますか?

 

古川 近い目標に向かって練習するので、日頃から(日本代表を)思ってやることはあまりないです。でも、(選抜)合宿などに招集がかかったときは、そういうところを目指すためにもしっかりやらないといけないと思います。

 

谷島 愛梨が選抜チームに選ばれると、すごいなと感じるし、自分も同級生なのでもっと頑張りたいと思います。

 

内澤 2人(古川、谷島)だけではなく、成徳の皆さんと練習をしていると、絶対に日本一になるという気持ちが感じられます。そういう本気の人たちとバレーをしていると、常に気が抜けないし、少しでも集中を切らすとついていけません。常に緊張感のある練習に参加させてもらっていて、こういうところを乗り越えないと日本のトップの人たちとはプレーできないし、日本代表になるのは難しいと感じます。技術的にも、メンタルの部分でも強くならないといけないと思います。

 

――国体が中止になり、残す全国大会は春高のみとなりました。どんな思いで臨みたいですか?

 

古川 インターハイの優勝はもう終わったことです。国体がなくなってしまい、インターハイのときと自分たちの力を比べられなくなりましたが、今はどうやって春高で日本一を取るかを考えて練習していきたいです。

 

谷島 ほかのチームは春高に懸ける思いが強くなっていると思うし、その強い思いに対抗できる力がないと、また日本一になることはすごく難しいです。今のままでは負けると思うので、もっと強くならないといけません。

 ただ、日本一のチームだと周りから見られることを意識しすぎず、春高に向けてできることをもっと増やして、また違う成徳で戦えたらと思います。

 

内澤 自分はまだ1年生で、3年生の春高への気持ちを全部わかることはできないと思います。でも、その「日本一を絶対に取るんだ」という気持ちに少しでもチーム全員が近づいて、どこのチームにも負けないくらいの気迫を出せるように頑張りたいです。

 

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 彼女たちはインターハイ優勝の喜びを語りつつも、すでにその先にある大きな目標へと視線を向けていた。将来を見据えて取り組むトレーニングの成果を披露し、再び歓喜の瞬間を目指して春高に臨む。

 

 春高バレーは、2022年1月5日(水)から東京体育館(東京都渋谷区)で開幕する。シード校の下北沢成徳高は1月6日(木)Dコート第5試合(13:50〜)、佐賀清和高(佐賀)と城南高(徳島)の勝者と初戦を戦う。※時間は変更となる場合がある

 

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内澤明未×古川愛梨×谷島里咲(下北沢成徳)

内澤明未×古川愛梨×谷島里咲(下北沢成徳)

下北沢成徳


内澤明未(下北沢成徳)

古川愛梨(下北沢成徳)

濱村ゆい(下北沢成徳)


谷島里咲(下北沢成徳)

下北沢成徳

下北沢成徳(2021インターハイ)


下北沢成徳 ⑤濱村

下北沢成徳の選手たち

下北沢成徳


下北沢成徳

ベスト6 濱村ゆい(下北沢成徳)

ベスト6 谷島里咲(下北沢成徳)