総合格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.33」は31日、さいたまスーパーアリーナで開催され、昨年11月以来のリマッチとなる「斎藤裕 vs. 朝倉未来」、「ホベルト・サトシ・ソウ…

総合格闘技イベント「Yogibo presents RIZIN.33」は31日、さいたまスーパーアリーナで開催され、昨年11月以来のリマッチとなる「斎藤裕 vs. 朝倉未来」、「ホベルト・サトシ・ソウザ vs. 矢地祐介」のライト級タイトルマッチ、天心のRIZINラストマッチとなる「那須川天心 vs. 五味隆典」など、豪華カードが目白押しだ。

本稿では、元バンタム級王者・朝倉海ら4名で行われる「RIZINバンタム級GP」トーナメントの展望と優勝予想を展開する。

◆【RIZIN.33 勝敗予想】朝倉未来、斎藤裕にリベンジのカギは“勝ちパターン”の左膝

■過酷な「ワンナイトトーナメント」

大晦日のバンタム級GPに駒を進めたのは、「朝倉海 vs. 瀧澤謙太」、「扇久保博正 vs. 井上直樹」の4名。優勝候補は朝倉海と目され、次点に井上直樹というのが大方の予想であり、主催者マッチメークの組み合わせからも、この両者を決勝でぶつけたいというシナリオは見えてくる。

朝倉海は昨年の大晦日大会「RIZIN.24」で堀口恭司にリベンジを許し、バンタム級王座から陥落。その後、今年6月の東京ドーム大会「RIZIN.28」からバンタム級GPに参戦し、1回戦の渡部修斗に1ラウンド3分22秒TKO(パウンド)で圧勝し、9月「RIZIN.30」2回戦はボンサイ柔術の刺客・アラン“ヒロ”ヤマニハを相手にフルラウンドの末、判定3-0で4強入りを決めた。

渡部戦ではチョーク狙いの相手に対し、持ち前の爆発力でマウントポジションからパウンドで一気に決めたが、ヤマニハ戦は予想外に苦戦した。後に第1ラウンド時点で右拳を骨折していたことも判明するが、それ以上にヤマニハの屈強なフィジカルに、朝倉の爆発力が削がれた印象だ。

今回、準決勝の相手は瀧澤謙太。朝倉にとって過酷な「ワンナイトトーナメント」を制するためには、いかに瀧澤戦で消耗せずに決勝へ進むか、がテーマとなる。

■朝倉の体力を削る瀧澤の“間合い”

空手をバックボーンとした瀧澤の特徴は“間合い”の取り方。長い手足を活かし、回り込みながらのハイキックやローで距離を詰め、接近戦になると打ち合い上等の爆発力を見せる。このスタイルで勝利を収めたのが、9月「RIZIN.30」2回戦の元谷友貴戦で、第1ラウンド序盤から常に元谷との間合いをキープしつつ、距離が縮まると左フック一閃。元谷の顎を完璧に捕らえ、一旦倒れ込んだ後、なんとか立ち上がった相手に、容赦ないスタンドパンチの連打で一気に試合を決めた。

この試合の左フックに見た“あて勘”は、朝倉にとって驚異となる。グラップリングの展開に持ち込めば、圧倒的に朝倉の有利だが、前述のとおり自分の間合いを徹底する瀧澤がそうさせない。試合展開はやはりスタンディングの打撃戦か。しかし、それでも打撃の耐久性が高い瀧澤が、朝倉の体力を削る可能性があり、その中での一撃が大金星をもたらす危険性もある。

瀧澤は2020年9月「RIZIN.24」で金太郎を相手にフルラウンドの判定2-1勝ちから、ここまでRIZIN5戦2勝。扇久保博正(判定0-3負け)、佐々木憂流迦(判定0-3負け)、2021年6月大阪大会「RIZIN.29」バンタム級GP1回戦の今成正和(判定3-0勝ち)と判定決着が多い。相手に仕掛けさせない間合いの取り方、そして接近戦でのタフな打ち合いにより、長期戦になだれ込むのが、瀧澤の試合だ。

ここまでの対戦成績を考えると、朝倉が優勢なのは間違いない。しかし、決勝を見据えると、このタフガイのダークホースこそ、朝倉のバンタム級GP優勝の“壁”となる。

■決勝戦はもはや「究極の消耗戦」

朝倉が瀧澤戦でフルラウンドを消化してしまう恐れもある。今回も「KO宣言」を出した朝倉だが、KOを意識するあまり苦戦を強いられたのが前回のヤマニハ戦であり、冷静さを失うと“二の舞”も否定できない。準決勝で苦戦を強いられると、決勝はもはや「究極の消耗戦」となる。朝倉が勝ち進むと相手は「扇久保博正 vs. 井上直樹」の勝者となるが、この両者が朝倉以上にスタミナを持つ相手ということを触れておきたい。

扇久保博正は、2020年8月「RIZIN.20」で朝倉に1ラウンド4分31秒TKO(サッカーボールキック)負けを喫しているが、ベテランらしい巧みな試合運びで、瀧澤と同じく判定決着が多いタイプ。一方の井上直樹は、渡部修斗、元谷友貴と2戦連続でリアネイキッドチョークによる1ラウンド一本勝ちと、早い試合の印象が強いが、今年9月「RIZIN.30」の金太郎戦で見せたように、フルラウンドの打ち合いでも怯まないタフネスさは記憶に新しい。

堀口恭司のカーフキックに沈んだ昨年の大晦日大会から1年。「なんでオレが……」と一度は不満を漏らしながら、「RIZINバンタム級GP」トーナメントを1回戦から勝ち進んできた朝倉。榊原CEOは、今回の優勝者には2022年のBellatorバンタム級ワールドGP参戦を示唆しており、これは世界進出を目標に掲げる朝倉へのメッセージでもある。

朝倉には、RIZINで最も層の厚いバンタム級を一夜にして制覇しなければならない、という高い壁が立ちはだかる。それでも、準決勝は瀧澤戦謙太に判定勝ち、そして決勝は井上直樹との戦いでこちらも判定勝ちと、「究極の消耗戦」を朝倉海が制すると見た。

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文・工藤愛梨(SPREAD編集部)