第100回全国高校サッカー選手権特集 大会展望 後編 「ストップ青森山田」はどこか? 前編を見る>>第100回全国高校サ…

第100回全国高校サッカー選手権特集 
大会展望 後編 
「ストップ青森山田」はどこか? 前編を見る>>

第100回全国高校サッカー選手権大会の展望を、ユースサッカーを取材する3名に聞く。後編はトーナメントの左の半分の注目校を紹介。激戦、接戦が予想される大会を勝ち上がってくるのはどこか?

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プレミアリーグで優勝争いの実力。今大会初制覇を狙う大津

【矢板中央vs米子北は同じスタイル同士】



2大会連続ベスト4の矢板中央が入った、激戦が予想されるブロック

――流経大柏、静岡学園、尚志、米子北、矢板中央......。このブロックは一番の激戦区になりますか?

森田 ここはいっぱいしゃべらないといけないブロックですね(笑)。2回戦で当たりそうな静岡学園、流経大柏は注目ですね。

松尾 インターハイの準優勝の米子北と昨年度ベスト4の矢板中央の対戦も見逃せないですね。

森田 瀬戸内、尚志も面白い。特に瀬戸内はいいですよ。本当にこの山はすごいですよね。

松尾 富山第一もしたたかにやってくるでしょうし。

土屋 関東第一もいいチーム。彼らは過去に3回戦以上に行ったことがないので、今年は越えようってみんなで言っていて、なんといっても開幕戦で国立競技場のピッチに立つ点も注目です。

森田 たぶん、矢板中央と米子北は"ザ・高校サッカー"という試合になりそうですね。米子北は粘り強く守ってカウンターのチームなので、静岡学園みたいなテクニック型のチームが好物なんですけど、矢板中央は同じスタイル。同じカラーで両方ともお互いを苦手にしていそうです。本当にバチバチやり合いそうですね。

土屋 そういう意味では、逆にお互いのよさが出ない試合になりそうですよね。

松尾 僕は矢板中央に分があるとすれば、選手層の厚さかなと思います。攻撃のカードをベンチに残していますし、スタートから出ている藤野和哉選手は個で違いを作れる。予選も4戦連発なんですよね。

森田 米子北もプレミアリーグ参入戦で桐生第一に敗れているので、選手権は絶対に燃えているはずです。

土屋 お互いに初戦まで1カ月対策を練れるのは大きいですね。曲者対決です。

森田 消し合いになりそうと思わせて、絶対に何かしてくる。そういう意味で注目ですね。2回戦で対戦の可能性がある静岡学園と流経大柏の試合も見たいですね。

土屋 今年の流経大柏はテクニカルなスタイルで、パスをつないでくる。だから、榎本雅大監督は真っ向勝負したいはずですが、やり合ったら静学に分があるかもしれない。なので、流経大柏がどういう戦い方をするか注目しています。静学は多分ブレずにやってくるでしょう。

松尾 前からプレスをかけるのか、ロングボールを多用するのか。予選の話を聞くと、つないできそうですよね。

土屋 できれば、流経大柏にスタイルを貫いてほしいですね。

松尾 あと両チームの監督とも、厳しいブロックに入っていたことを歓迎していました。「一戦ごとに強くならないと青森山田に勝てないからよかった」と。その点で、強度の高いゲームが2回戦でできる可能性があるのはプラスだと思います。

土屋 ただ、流経大柏が静学とやるのはもったいない。インターハイでも2回戦で大津とやった(0-3で敗戦)ので、あの経験を今度は生かしてほしいですね。ビックマッチになるなら、絶対そこは考えているはず。

――このブロックは、流経大柏と静岡学園の勝者が準決勝に行きそうですか?

森田 いや瀬戸内、尚志もありますね。瀬戸内は2017年度に初出場でベスト4に行った時のカラーを強めて、ポジショニングにこだわってやっています。個で打開できる選手もいますし。プリンスリーグ中国では2位になりましたし、そこで優勝した米子北高と張り合えるだけの戦力を持った好チームです。2017年度に続くベスト4を十分に狙えるチームなので、ぜひ見て欲しいですね。

松尾 尚志は得点力がポイントになりそうです。インターハイは初戦で0-0からのPK戦負け。プリンスリーグ参入戦も同じ展開でPK負けでした。守備はチェイス・アンリがすべて跳ね返しているので、なかなか点が入らなそうな感じはあるんですけど、逆に得点がなかなか奪えない。攻撃面はポイントになると思います。

【山梨学院、前橋育英、大津、東福岡も仕上げてきた】



前回優勝の山梨学院が入ったブロック

――前回優勝の山梨学院が入るブロックはどうでしょう。

土屋 前橋育英が相当いいと思います。夏までは全国で苦戦する雰囲気があり、実際に東山にインターハイで敗れました。ただ、夏以降の成長は相当なものです。プレミアリーグ昇格を5度目の挑戦で成し遂げたのもプラスで、最高の形で選手権に入っていけると感じています。

松尾 あとは選手層も厚いですよね。若林大翔はインターハイ予選前にBチームから上がったいいボランチ。髙足善選手も小回りがきくドリブラーです。流経大柏に兄・龍がいて、本人も直接対決に意欲を示していたので、そこも楽しみです。

森田 あと笠柳翼、小池直矢の両サイドハーフもパンチがあります。

土屋 笠柳は今大会屈指のドリブラーですよね。スルーパスの才能もあって、V・ファーレン長崎に内定しています。注目すべき選手ですね。

森田 僕は今年の佐賀東が好きなんですよね。山梨学院を倒してもおかしくない。

松尾 いいチームですよね。予選準決勝、決勝ともに守備重視のチームに苦戦しましたが、準決勝のように後半に割り切って縦に速い攻撃を仕掛けられれば、戦い方の幅が広がって面白い気がします。

森田 吉田陣平は本当にいい選手。山内創太も気が利いていて、サイドの森田悠斗もいい。個人的には左SBの平川周汰が好きですね。サイズがあるSB。チームとして今年は期待の代だと思います。ただ、今年は大津もいいチーム。穴がないですね。

土屋 プレミアリーグでも優勝争いをしましたからね。あのJユース勢に対して優勝争いできるのはすごい。

森田 本当にすごいことですよ。今年は真面目な代で、狙いどおりの試合ができる。プレミアリーグでよく見られたんですけど、前半に5バックで挑んで0-0で進めるなど、ゲームプランをきっちりやりきる。そして、後半システムを変えて勝負に出ればしっかり対応できる。それは彼らの真面目さがあるからこそ。自分たちに「飛び抜けた選手がいない」という感情を持っているので、守備から入ってひとつのチャンスをモノにできますよね。

土屋 インターハイで流経大柏との2回戦を見たんですけど(大津3-0流経大柏)、僕のなかで一番インパクトがありました。流経大柏の榎本監督も「大人と子どもぐらい差があった」とおっしゃっていました。それぐらいの差を見せつけて勝ったのはすごい。とにかくめちゃくちゃ強いですし、いい選手だらけですね。

松尾 しかも、今年は点が取れますよね。

森田 それは昨年の反省があるからこそ。いい年に限って負けることも多い。昨年も本大会に出ていれば優勝候補でしたから。なので、今年は勝つための飛び道具も必要と考え、両サイドバックがロングスローを投げられるんですよ。セットプレーをしっかりやれるのも今年の強みです。

松尾 真ん中に191cmの小林俊瑛がいるのも心強い。最後はそこで仕留めきれます。

土屋 個人的に実現してほしいカードは、秋田商と山梨学院の試合です。勝ち上がれば、山梨学院の長谷川大監督にとっては母校との対戦。秋田商で選手権に出て、監督もやっていたので見てみたいですね。

 前回優勝の山梨学院は今年苦しんでいましたが、予選決勝を見た時に負けないチームだと思いました。延長に先制を許しましたが、最後の最後に茂木秀人イファインが同点ゴールを決めてPKで勝ちました。2021年は、昨冬の選手権準決勝の帝京長岡戦、決勝の青森山田戦。今回の選手権予選では準々決勝の帝京第三戦と決勝の韮崎戦。すべてPK戦は勝っているんですよね。全部キッカーが最後に決めて勝っているんですが、その最後のキッカーはすべて谷口航大。PK戦でこれを決めれば勝ちという場面で、谷口が出て来れば勝てるという雰囲気がある。

 また、長谷川監督がすごいなと思うのは、そういうのを選手に信じ込ませる力がある。決勝が終わったあとに、苦しんだ試合を振り返ってまずは守備の選手に感謝しないといけないという話をしていました。そういうのを適時というか、ここぞという場面で言える監督。監督力がすごいですね。

森田 あと、このブロックは東福岡もいます。

松尾 鳥栖U-18から5月に移籍してきた浦十蔵が、今大会から出場できます。今年のチームは苦戦をしていましたが、これで変わるかもしれないですね。

森田 浦は速い。「頑張って守って、あとは大渕来珠と浦、頼んだ」。東福岡なのにこれを割りきってできるのはすごい。

松尾 今年は伝統のサイド攻撃をベースにしていなくて、まずは守りから入るチームですよね。あと注目したいのは、予選で攻撃の切り札を担っていた大渕選手の起用法ですよね。

森田 スタートから使ってくるような気がします。守備を頑張るようになってきたので、スタートから起用しても問題ないと思います。ただ、ここもすごいブロックなのは間違いありません。

――今大会は1回戦~準々決勝までが、中1日開催になりました。これは大会にどのような影響を与えそうでしょうか?

森田 強いチームが順当に勝てる可能性が高くなったと感じています。今までは強豪校に対して体力が消耗した隙を狙う戦い方もできましたが、それが難しくなりました。力どおりの試合になりやすいのではないでしょうか。

土屋 今年はインターハイも日程が緩和されて開催され、強いチームが順当に勝ち上がりました。インターハイのベスト4は今回の選手権にすべて出場しますし、本当に強いチームがより力を発揮しやすくなっているのは間違いないと思います。
(おわり)