開始6分で電光石火の2ゴール、FCラヴィーダを4-1で破り2年連続3度目の優勝 中学年代のサッカー日本一を決める「高円宮…
開始6分で電光石火の2ゴール、FCラヴィーダを4-1で破り2年連続3度目の優勝
中学年代のサッカー日本一を決める「高円宮杯JFA第33回全日本U-15サッカー選手権大会」は27日、味の素フィールド西が丘で決勝が行われ、サガン鳥栖U-15(九州第2代表)が4-1でFCラヴィーダ(関東第1代表)を破り、2年連続3度目の優勝を飾った。夏の日本クラブユースサッカー選手権(U-15)では準優勝と、あと一歩で届かなかった日本一に到達した。鳥栖U-15を率いる森惠佑監督は「選手が努力してくれた。積み上げてきた強度、連続性を見せてくれた」と成長を見せた教え子たちを労った。
勝敗の肝は、立ち上がりだった。鳥栖U-15は、FW山崎遥稀(3年)をターゲットに速攻中心で一気に押し込むと、前半2分、右サイドからDF田中佑磨(3年)がロングスロー。ゴール前の混戦から、こぼれ球を田中がミドルシュート。さらにこぼれたところをMF川越廉斗(3年)が叩き込んで先制に成功した。川越は「立ち上がりからハードワークができた。1点目は、冷静に決められた。自分の得点で試合の流れを持ってこれた」と手応えを語った。さらに前半6分、DF古舘宗也(3年)が左サイドをドリブルで進み、左から中央に入り込んだ山崎がパスを受けると、すかさずゴール方向へターンして豪快に右足のミドルシュートを決めて追加点を奪った。
対するFCラヴィーダは、6分で2点を失ったが、強豪Jクラブがひしめく関東王者らしく、個々の高い技術を披露。安易にボールを渡さず、じわりじわりとドリブルで押し込み、しっかりと狙ったタイミングで縦パス、突破を仕掛けたが、鳥栖U-15の速攻によって自陣の深い位置まで戻らされることが多く、ゴールまでの距離が遠かった。アタッキングサードへの侵入に時間がかかり、中盤でボールを失ってショートカウンターを受ける苦しい展開をなかなか脱却できなかった。
すると前半17分、鳥栖U-15が中盤でボールを奪い、左サイドを一気に突破。山崎のスルーパスでMF江頭瀬南(3年)が抜け出してマイナス方向へクロス。川越が前で囮になり、フリーで走り込んだMF江下憲成(3年)がゴールへ流し込んで3点目を獲得。勝利を決定付けた。
さらに後半7分、右コーナーキックを古舘がファーサイドからヘディングで折り返すと、主将を務める身長188センチの長身DF大場章太郎(3年)が高さを生かしたヘディングシュートでダメ押しの4点目を奪った。
高校3年でトップ昇格の中野に選手も憧れ「本当に凄い」
FCラヴィーダは、個々の高い技術と連係でボールを保持している時間は長いが、質の高い攻撃でゴールを奪いきる鳥栖U-15に要所を抑えられて苦戦。それでも粘り強く攻撃を繰り返し、後半31分にサイドチェンジのパスを受けたMF山口豪太(2年)が右サイドのペナルティーエリア角からカーブをかけたコントロールシュートを決めて1点を返した。その後は、FCラヴィーダが押し込む時間が続いたが、鳥栖U-15もハードワークで常に球際を競って侵入を阻止。4-1で試合を押し切った。
鳥栖U-15は3年連続の決勝進出で2連覇、昨年はU-18、U-15がともに日本一に輝くなどアカデミー(育成組織)の活躍が目立っている。さらにMF樋口雄太(今冬に鳥栖→鹿島アントラーズ移籍)、MF松岡大起(現清水エスパルス)、DF大畑歩夢(今冬に鳥栖→浦和レッズ移籍)らアカデミー出身選手がJリーグの舞台で輝きを放ち、18歳のDF中野伸哉も高校3年でトップチーム昇格を果たして活躍。東京五輪に出場したU-24日本代表に飛び級で入った時期もあり、アカデミーから早期に羽ばたく理想的な進路を描いている。
この日2点目を決めた山崎は「(来季からのU-18では)中野伸哉くんみたいに、プロデビューして活躍できたらいいなと思っている。高校生でトップであそこまでできるのは本当に凄い」と自身の夢を重ねていた。トップで活躍する先輩たちに刺激を受け、アカデミーの後輩たちは背中を追っていく。(平野 貴也 / Takaya Hirano)