ソフトバンクの柳田悠岐と、オリックスの吉田正尚が、12月12日に開催された「UNDER ARMOUR BASEBALL…
ソフトバンクの柳田悠岐と、オリックスの吉田正尚が、12月12日に開催された「UNDER ARMOUR BASEBALL FESTA2021 」に登壇した。2人はオフの自主トレをともにするなど深い交流があるものの、イベントでの共演は初。抽選で選ばれたファンを前に、互いの印象や来シーズンに向けた思いなどを語った。

共にリーグを代表する左バッター、ソフトバンクの柳田とオリックスの吉田
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――2019年までは一緒に自主トレをされていたとのことですが、お互いの印象を教えてください。
吉田 ギータさん(柳田)との自主トレを通じて、身につくことがたくさんありました。特に練習に対する姿勢はマネしないといけないと思いましたし、僕にとってすばらしいお手本です。ずっとタイトル争いをしている選手でもあるので、これからも「(柳田に)追いつけ追い越せ」という目標を持ちながらレベルアップしていきたいです。
柳田 (吉田)正尚は、大きなスイングでも、きちんとボールを捉えられるミート力がすばらしい。確固たる「自分」を持っている選手だと思います。
――他に、2人が意識している左打者はいますか?
柳田 ソフトバンクの王貞治会長や、バリー・ボンズさんの写真をロッカーに飾っています。お2人のようなバッターになりたいですね。
吉田 大谷翔平選手ですかね。僕は"世界の大谷さん"と同じ木材のバットを使っていますが、すごく光栄なことです。僕自身がメジャーで本塁打王争いをする姿は想像できないですが、日本でも本塁打王争いをするためには、シーズンで30本以上は打たないといけない。その上で来シーズンは、チームの勝ちに貢献できる本塁打を打ちたいです。
――柳田選手はシーズン終了後、工場に出向いて自身のバットを製作されたようですね?
柳田 今年のオールスターゲームに参加した時、ロッカールームで正尚にバットを借りたら、明らかに自分のものとは違う音がしたんですよ。その時に正尚から「シーズンオフには職人さんと話し合いながら、理想のバットを作っている」ということを聞いて、工場まで足を運びました。
個人的には、深い打球音のほうが気持ちよく感じますし、それだけでポジティブな気分で打席に入ることができる。今は新しいバットが届く日をワクワクしながら待っています。
【学生時代の思い出や苦労】
この日のイベントでは、参加したファンから寄せられた質問に両選手が回答。野球少年の悩みや学生時代の想い出など、その内容は多岐に渡った。
――吉田選手は右利きですが、左打者になるきっかけは?
吉田 3歳上の兄や、(自分が)小学校時代のスーパースターだった松井秀喜さんやイチローさんが、左バッターだったことが大きいと思います。気づいた時には左打席に入っていました。
――柳田選手も「小学生までは右打者だった」そうですが、左打者への転向は難しくなかったですか?
柳田 「上手くなりたい」という気持ちで練習すれば、打てるようになりますよ。練習あるのみです!
――今、中学で野球をしています。体格が小さいのですが、吉田選手のように遠くに打球を飛ばすにはどうすればいいですか?
吉田 「飛ばす」ことを諦めずに、目の前のやるべきことに集中することが大切です。体格のハンデはあるかもしれませんが、日々の練習をこなしているうちに体が追いついてくるので、あまり気にしすぎてはいけない。今、出来ることからしっかりやりましょう。
――来春から大学生になるのですが、4年間をどのように過ごせばいいでしょうか?
柳田 個人的に、これまでの33年の人生の中で大学時代が一番楽しい時間だったと思っています。今は大々的には難しいかもしれませんが、仲間と飲み会をしたり、最高の思い出の詰まった4年間でした。同じようにたくさんの友達を作って、楽しく過ごしてほしいです。
――吉田選手は、高校時代にどのような練習をされていましたか?
吉田 (敦賀気比)高校時代は毎日の練習が本当にきつかったので、絶対に戻りたくないですね(笑)。福井県は雪が降る日も多いので、グラウンドが使えない日にはバットを振り込んだりしながら甲子園を目指していました。
――続けて吉田選手に質問です。シーズン中、どのようにモチベーションを維持していますか?
吉田 長いシーズンは、いい時も悪い時もあるので、一つひとつ気にしていたら大変です。打撃は失敗がほとんどですし、完璧を求めすぎるとかえって自分のことを苦しめてしまう。心のメリハリや気持ちの切り替えが大切だと思います。
【2021年に見えた課題と来季の展望】
パ・リーグを代表する両選手だが、2021年のチーム成績は対照的だった。オリックスの25年ぶりのリーグ優勝に貢献した吉田は、「これまでテレビで見ているだけだった」という日本シリーズにも初出場し、第1戦でサヨナラタイムリーを放った。
一方で、柳田が所属するソフトバンクは、日本シリーズ5連覇を目指したものの4位。「日本シリーズの大舞台でプレーする(吉田)正尚の姿をテレビで見て、羨ましいと思った。来年は、自分たちが立てるようにしたい」と、来季の捲土重来(けんどちょうらい)を誓った。
――2021年の総括と、来季の課題を教えてください。
柳田 チームも4位に終わりましたし、個人としても調子がいい時期が短く、苦しいシーズンでした。一方で、今夏の東京五輪で金メダルを獲得できたり、すばらしいこともあった。ケガもなかったですし、結果として思い出に残る1年だったのかなと思います。来シーズンは「いい状態を維持する」ことを課題にして過ごしていきたいです。
吉田 長く野球をさせていただいたタフな1年でした。日本シリーズの舞台に立ってみて「いい場所だな」と感じましたし、「リーグを連覇して、また日本一を目指したい」という気持ちになりました。個人的には、東京五輪まではまあまあよかったと思いますが、肉離れや死球により戦線を離脱してしまった。試合に出続けることを課題にして、打撃全部門での1位を目指したいです。
――バッティングで大事にしていることは?
柳田 「どういう打球を打つか」というイメージを大切にしています。投手と対戦する時に"考える時間"はほとんどないので、「来た球にどのようにバットを反応させるか」を心がけて打席に入っています。
吉田 タイミングです。いいスイングをするためには、タイミングを合わせないといけない。あとはボールに対して、まっすぐな線を描くような軌道でバットが入れられると、いい打球を打てる確率も上がっていく。そう考えて、いつも打席に入っています。
――お互いの守備に対する印象は?
柳田 正尚はグローブにこだわりが強く、攻守交代も全力疾走なのがすばらしい。今年は、僕が放ったライトオーバーをスーパープレーで捕られましたし、球際の強さも感じました。
吉田 (柳田は)肩が強く、ダイナミックな送球もできる。僕は守備の才能はないですが、一度は金色のグローブ(ゴールデングラブ賞)が欲しいですね。「投手に迷惑をかけないように一生懸命やる」ことをモットーにやっていきたいです。
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2人は、イベント後も各メディアからの質問に対応した。
もともと、糸井嘉男(阪神)が主催する自主トレがきっかけで、「2017年のオフにグアムで会った」(吉田)という両選手。その後も交流を深めたが、吉田は今オフから独立。「ギータさんに教わったことを後輩に伝えて、何か感じてもらえたら」という思いを胸に、「僕と同じ右投げ左打ちで期待している」という来田涼斗、佐野如一ら若手選手と始動することになった。
「リーグ連覇と日本一、個人タイトル獲得を目標にして頑張っていきたい。コロナ禍が収束してから、みなさんに球場に足運んでもらって、必死なプレーを見てもらえる1年にできたらと思います」(吉田)
そんな吉田が、「練習に向かう姿勢など、一緒に過ごすだけでさまざまなものが身についた」と口にする柳田の自主トレには、新たに清宮幸太郎(日本ハム)を迎え入れることが決定。プロ5年目で伸び悩む清宮が、浮上のきっかけを掴めるかにも注目が集まるだろう。
柳田は「来年は、自分たちがあの舞台(日本シリーズ)に立てるようにチームをけん引して、オリックスを倒せるように頑張りたい」と意気込む。来季の新キャプテンとしては、「スイングがすばらしく、とてつもないパワーも秘めている。経験を積んで感覚を掴めば、とんでもない成績を残す可能性がある」と話すリチャードら、若手選手たちの活躍にも期待を寄せた。
パ・リーグを代表する主砲2人が、それぞれの思いを胸に挑む2022年に注目したい。