箱根駅伝2022全チーム紹介【予選会校編】 (シード校編:「2強」以外も上位を狙える>>)「シード校編」に続き、予選会を突破してきた10校を紹介する。完全復活を期す名門校から初出場校まで、シード権獲得を目指す各大学の戦力をチェックしていこう…
箱根駅伝2022
全チーム紹介【予選会校編】 (シード校編:「2強」以外も上位を狙える>>)
「シード校編」に続き、予選会を突破してきた10校を紹介する。完全復活を期す名門校から初出場校まで、シード権獲得を目指す各大学の戦力をチェックしていこう。
※紹介は箱根駅伝予選会の結果順
予選会トップの明治大をはじめ、シード権を狙えそうなチームも多い
【明治大学】
10000m平均タイム3位の戦力でトップ5を目指す
前回は序盤の出遅れが響き、一度もシード圏内に入ることができずに11位でゴールした。
しかし今季はトラックシーズンから好調で、予選会は後続に4分以上の大差をつけて堂々のトップ通過。2週間後の全日本大学駅伝は10000mで28分10秒前後のタイムを持つ鈴木聖人と手嶋杏丞(ともに4年)、予選会個人9位の加藤大誠(3年)が精彩を欠いたが、総合力でカバーした。児玉真輝(2年)が2区で区間2位、小澤大輝(3年)が4区で区間3位、橋本大輝(4年)が7区で区間4位と奮起して、7位に食い込んだ。
登録選手上位10人の10000m平均タイムは駒澤大、青学大に次ぐ3位(28分31秒18)と戦力はすこぶる高い。エース鈴木は3年連続となる5区が有力で、2区の出走も視野に入れている。一方、2年連続で2区を担った加藤はエース区間を譲る気はない。児玉と小澤も往路候補に挙がっている。チームの目標は「5位以内」。オーダーがハマれば10年ぶりのトップ3に手が届くかもしれない。
【中央大学】
スピードスター吉居と5区の快走に期待!
前回は2年連続の総合12位に終わったが、復路は3位と存在感を発揮した。今季は予選会を2位で通過すると、全日本大学駅伝は9年ぶりの出場で8位に入り、10年ぶりのシード権を獲得している。
ここ2年は1区で出遅れている(16位、17位)が、今回は12月4日の日体大長距離競技会10000mでU20日本歴代2位の28分03秒90をマークした、吉居大和(2年)の起用が濃厚。好スタートが期待できる。2区は苦戦が予想されるが、全日本で2、3区を担った阿部陽樹(1年)と中野翔太(2年)、10000m28分20秒台のタイムを持つ三浦拓朗と森凪也(ともに4年)ら他の往路候補でカバーしたい。
藤原正和駅伝監督は「山」に自信を持っており、5区は区間上位を狙える選手がいると言う。復路には前回6区で区間5位の若林陽大(3年)、7区5位の中澤雄大(3年)、9区7位の手島駿(4年)という経験者が残っている。前回のように順位を押し上げることができるだろう。チームの目標は「5位以内」。10年ぶりのシード権獲得を上位で飾りたい。
【日本体育大学】
エース藤本を軸に4年ぶりのシード権を狙う
前回総合14位の箱根メンバー6人が卒業するも、選手層の厚いチームに仕上げてきた。予選会を3位で悠々と通過。何よりもエース藤本珠輝(3年)の充実が光る。4月に10000mで28分08秒58、6月に5000mの日体大記録を42年ぶりに更新する13分32秒58をマーク。関東インカレ1部で2種目入賞を果たすなど、とにかく勝負強い。箱根では花の2区で真っ向勝負に挑む。
5区候補には11月13日の「激坂最速王決定戦」登りの部で学生2位に入った吉冨純也(2年)がいて、箱根経験者である大内宏樹(4年)、村越凌太(3年)、名村樹哉(3年)ら10000m28分台が10人エントリーされた。2区と5区が計算でき、選手層も厚いだけに1区で好発進できれば4年ぶりのシード権が見えてくる。
【山梨学院大学】
1区松倉、2区オニエゴで上位争いに加わりたい
前回は1区・新本駿(2年)が最下位スタートとなり、その後も下位から上昇できず。19位でレースを終えた。
4区で区間賞を獲得したポール・オニエゴ(4年)は10000mで27分51秒59をマークするなど大きく成長して、今回は2区での起用が濃厚だ。1区はハーフマラソンで学内日本人トップの1時間2分37秒を持つ主将・松倉唯斗(4年)が有力。2区終了時で上位につける力は十分にあるだろう。
その勢いを10000m28分台の坪井海門(4年)、伊東大暉(3年)、木山達哉(3年)らでできるだけキープしたい。5区と6区は未知数だが、予選会を4位で突破して、3、4年生が12人もエントリーされた。上級生パワーで6年ぶりのシード権を目指す。
【神奈川大学】
7人が登録された2年生の活躍で5年ぶりのシード権を
前回は往路を8位で折り返したが、総合13位。予選会は前回1区を区間4位と好走した呑村大樹(4年)と、同3区10位の川口慧(4年)を欠きながらも5位で通過した。本戦では予選会チームトップの巻田理空(2年)と同2位で日本インカレ3000m障害2位の主将・西方大珠(4年)が序盤で起用されることになりそうだ。
5区候補には小林篤貴(2年)が挙がっており、安田響(4年)は3年連続で8区を務めている選手。10000m28分台の川口がエントリーに間に合ったのは大きい。巻田と小林を含め、前回10区で区間2位と快走した佐々木亮輔、同6区で区間12位の宇津野篤、10000m28分台の高橋銀河ら2年生が7人もエントリーされた。5年ぶりのシード権獲得と2年生の活躍がカギを握る。
【法政大学】
2区と山に自信、5位以内を目指す
前回は1区・鎌田航生(4年)が区間賞で飛び出すも、2区・河田太一平(3年)で16位に転落。そこから順位はさほど動くことなく、17位に終わった。
今季の全日本大学駅伝(9位)は1区・内田隼太(3年)が5位で発進すると、2区・鎌田で2位に浮上。3区・小泉樹(1年)も区間6位と好走している。箱根でも1~3区は全日本と同じオーダーが有力。エース鎌田は3月の学生ハーフマラソンを制しており、花の2区でも区間上位で戦える力は十分にあるだろう。
山対策には自信を持っており、5区には主将・清家陸(4年)と細迫海気(2年)が候補に挙がっている。また11月24日のMARCH対抗戦10000mでは松本康汰(2年)と中園慎太朗(3年)が28分台に突入した。目標の「5位以内」を目指すには、全日本のように前半区間で流れをつかんで、自信のある山で順位を押し上げたい。
【中央学院大学】
山と終盤区間で順位を上げて、3年ぶりのシード権を!
前回は連続出場が18で途切れたが、今年は予選会を7位で突破。全日本大学駅伝はベストメンバーを組めず11位に終わったものの、チーム状態は上向いている。花の2区に吉田礼志(1年)を抜擢して、1区もしくは3区に予選会で日本人トップに輝いたエース栗原啓吾(4年)を配置予定。状態次第になるが、前々回6区を好走した武川流以名(ぶかわ・るいな/3年)と堀田晟礼(1年)も往路の候補に挙がる。
全日本の7区と8区で好走した吉田光汰(4年)と吉本光希(3年)が復路の軸で、川崎勇二監督は5区と8~10区には自信を持っている。故障で予選会と全日本を欠場した主将・小島慎也(3年)もエントリーには間に合った。自信のある「山」と終盤区間で順位を押し上げて、3年ぶりのシード権獲得を目指す。
【駿河台大学】
初出場でも「面白いレースをしたい」
大激戦の予選会を8位で突破。創部35年目、駅伝部の本格強化11年目で44校目の"初出場校"となった。
10000m27分45秒59のジェームズ・ブヌカ(4年)、同28分台のタイムを持つ清野太成(3年)、町田康誠(3年)、新山舜心(2年)らが主力となる。未経験の「山」は厳しい戦いになりそうだが、法大時代に箱根路を沸かした徳本一善駅伝監督は「面白いことをやりたい」と話している。日本インカレ10000mを連覇しているブヌカを1区に起用する仰天プランも考えているようだ。
また、埼玉県の中学校体育教師を2年間限定で休職し、箱根に挑んだ31歳の今井隆生(4年)と、その元教え子である永井竜二(3年)のタスキリレーも実現するかもしれない。目標は繰り上げなくタスキをつなぐこと。長丁場のレースのどこかで"見せ場"を作ってくれるだろう。
【専修大学】
高瀬とキサイサで上位に食らいつき、シード権に挑む
前回は7年ぶりに予選会を突破。しかし、1年生ながら予選会でチームトップを飾った木村暁仁(2年)の欠場もあり、本戦は最下位に沈んだ。1区の高瀬桂(3年)が区間19位、2区も20位に沈み、序盤で大きく出遅れた。
今季はチーム初となるケニア人留学生、ダンカン・キサイサ(1年)が入学。予選会は木村と箱根駅伝経験者3人が欠場するも"ブービー"で潜り抜けた。登録選手上位10人の10000m平均タイムは最下位(29分32秒84)だが、ロードの強さが光るチーム。予選会で個人10位に食い込んだ高瀬と爆発力のあるキサイサを1~3区に配置して序盤で流れをつかみたい。
今回は70回目の出場という節目。前回の経験を生かして、15年ぶりのシード権にチャレンジする。
【国士舘大学】
2区ヴィンセントで波に乗り、往路を上位で折り返したい
予選会は最下位通過ながら、6年連続50回目の出場を決めた。過去5年間の順位は18~20位だが、ハーフマラソンで学生歴代2位の59分51秒を持つライモイ・ヴィンセント(4年)という大砲が武器となる。ヴィンセントは3年連続で花の2区を務めており、区間3位、同4位、同2位。19年は1区が9位で発進して、2区でトップに立った。しかし、前々回は1区が20位、前回は1区山本龍神(2年)が区間19位と出遅れたことで、一度もシード圏内に入ることができなかった。
予選会30位の萩原陸斗、10000m28分台の木榑杏祐、三代和弥、清水拓斗という4年生がチームの主力。1区で好位置につけて、2区ヴィンセントの爆走を引き出せるかがポイントだ。32年ぶりのシード権に近づくには、往路を上位で折り返したい。
(シード校編:「2強」以外も上位を狙える>>)