モデル並みの容姿から「ロシアの妖精」と呼ばれた元世界女王のマリア・シャラポワ(ロシア)が、19歳だった2006年に出演し…
モデル並みの容姿から「ロシアの妖精」と呼ばれた元世界女王のマリア・シャラポワ(ロシア)が、19歳だった2006年に出演し大人気となったナイキのCMについて、懐かしさをにじませながら撮影当時の様子などを語った。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。【関連記事】シャラポワ、同僚でありライバルであったペンの安全を祈り、WTAの姿勢を賞賛
ポッドキャスト番組Sports Business Radio Podcastに出演したシャラポワは、引退後の生活や、テニス選手から起業家・投資家への転身について話をした。現役時代に様々な企業とパートナー契約をしていたことについて話していた最中に、有名なナイキの“I feel pretty”のCMが話題に上がった。
これはシャラポワが初めて出演したCMで、2006年の「全米オープン」開幕前、8月20日に公開された。同大会で優勝したシャラポワは、ナイキのCMの内容と彼女の歴史的な勝利が重なったことが、そのCMの人気に火がついた要因だろう、と語った。
「大掛かりなCM撮影をした後に“全米オープン”に出場して、それが大会中に公開されて、そしてそれが私が初めて優勝した“全米オープン”になって。すごく特別なことだった。決勝のマッチポイントの後、最初に映されたCMがあれだったの。そういう偶然はなかなか起こらないわ」
撮影時の心情を尋ねられたシャラポワは、当時は自分が何をしているか、その重要性を完全には理解できていなかったと話す。
「私はまだ若過ぎて、全米のテレビコマーシャルに出演することの価値や重大さがわかっていなかったと思う」
当時を振り返り、そのCMはとても力強く、意味のある広告だった、とシャラポワは感じているという。広告が公開されたタイミングもまさにぴったりだった。
「今振り返ってみると、どれだけ特別なことだったか分かるわ。それに、タイミングがさらにそれを良いものにしていた。でも、[当時]私がその意味や力を理解していなかったことも良かったのかもしれない」
このナイキのCMでは、1957年にブロードウェイで初演され、間もなく新しい映画も公開になるミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』の楽曲“I Feel Pretty(すてきな気持ち)”が使用され、シャラポワのとある1日を表現している。
ホテルの部屋で準備を終えたシャラポワは、ホテルを出てタクシーに乗り込み、試合会場へ向かう。パパラッチに追いかけられ、多くのマスコミやファンに囲まれながら会場へ入り、コートに入場するシャラポワは、周囲を気にも留めず毅然とした表情を崩さない。その間、ホテルマンやドライバー、案内係や同僚のテニス選手、解説者、ボールガール、観客など、周りの人間はすべて彼女の美しさに感銘を受けたように代わる代わる“I Feel Pretty”の一節を歌う。だが、シャラポワの放った強烈なリターンエースで音楽がぴたりと止み、代わりに盛大な拍手が巻き起こる、という内容だ。偏見にさらされがちな女性アスリートが、信念と実力で周りを黙らせる、そんな痛快さも感じさせる。
シャラポワが着用していたナイキのテニスウェアの宣伝が目的だったこのCMは大成功を収める。
商業的に成功しただけでなく、批評家からも絶賛された。女性アスリートを自信のある、力強い存在として表現したと評価され、広告やテレビ業界の賞をいくつも受賞した。
(テニスデイリー編集部)
※写真は2019年10月ニューヨークでのシャラポワ
(Photo by Dominik Bindl/WireImage)