宮司愛海連載:『Manami Memo』第29回フジテレビの人気スポーツ・ニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。前回に引き続き、フィギュアスケート中継を…



宮司愛海連載:『Manami Memo』第29回

フジテレビの人気スポーツ・ニュース番組『S-PARK』とweb Sportivaのコラボ企画として始まった宮司愛海アナの連載『Manami Memo』。前回に引き続き、フィギュアスケート中継を担当している内田嶺衣奈アナとの対談。後編となる今回は、今週22日から開幕する「全日本フィギュアスケート選手権2021」について語り合ってもらいました。(※内容は取材時での情報です)


前編(

「印象深いのは髙橋大輔選手のシングル競技最後のインタビュー」)はこちら>>>


【日本代表の最終選考会となる全日本選手権】

宮司 2018年平昌オリンピックからもう4年が経つんですね。

内田 あれからもう4年か。平昌オリンピックでは現場で一緒にフィギュアを見ていたけれど、あっという間だよね。

宮司 来年、北京オリンピックがあるということで、そこに向けて今月22日からはじまる全日本フィギュアスケート選手権は、ものすごく大事な大会になると思います。どんな雰囲気になりますか? 私、代表がかかった全日本は初めてで。

内田 いやー、すごくしびれると思うよ。私がフィギュアスケート中継のキャスターについてから、すごくスケート界が変化してきているというのを感じていて。以前は女子がこんなふうに4回転ジャンプを跳ぶなんて、想像すらしていなかったから。

宮司 トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んで当たり前になっているなんて、という。

内田 男子のプログラムの4回転の本数を見ていても、こんな高難度の技をオリンピックシーズンにやるんだっていう驚きとすごさを感じる。でも、チャレンジしないと世界で戦っていけないという面もあって。樋口(新葉)選手のトリプルアクセルもそうだけど、「北京を見据えて何々に挑戦します」と選手が取り組んできた大技がどう大舞台で発揮されるのか。全日本という一発勝負の場で、あの緊張感とプレッシャーのかかるなか、そして選手の気持ちが高まっているなか、どんな演技がみられるのか。ドキドキもするし、楽しみ!

【全日本選手権での注目選手~女子編】

宮司 女子の3枠をめぐる争いはどうなると思いますか? 前回平昌に出た坂本(花織)選手と宮原(知子)選手はもちろんですけど、紀平選手(※今大会は欠場)とそして樋口選手もトリプルアクセルに成功しました。あと三原(舞依)選手ですね。

内田 三原選手がリンクに戻ってきて、生き生きと笑顔で演技をしているのがうれしいし、「おかえりなさい」って思いながら見てきたシーズンでもあったよね。そして、いつも中野(園子)コーチもおっしゃっているけど、三原選手は本当に本番に強いと。どういうふうに気持ちを込めた演技を見せてくれるのかなというのは楽しみ。

宮司 そうですね。坂本選手は平昌に出た時の経験を持って北京に向かっていくと思うのですが、ここまですごく調子もいいじゃないですか。
 
内田 坂本選手は4年前を振り返って、あの時は怖さを知らなかったから勢いで行けたということを言っていて。4年前の全日本とはまた違った思いで今回臨むことになると思うから、その重圧をはねのけて、坂本選手らしい力強い演技、あのはじける笑顔を見たいなって思うね。

宮司 そうですね。

内田 どの選手も納得のいく演技をしていい笑顔になってほしいなっていうのが、たぶん私たちの一番の望みです。

【全日本選手権での注目選手~男子編】

宮司 男子3枠ではどんな戦いが繰り広げられるでしょうね。羽生(結弦)選手がここまでケガで試合に出られていないというのがまず心配なところではありますが......。

内田 右足首ということで心配だなという思いはすごく強いけど、これまでの羽生選手を見ていると、やっぱり驚異的。復帰戦で圧倒的な成績を残すような、すごい演技をするということがあって。何度も(壁を)乗り越えてきている選手だからこそ、またそういう姿を見せてくれるんじゃないかなという期待も生まれるし。ただ、やっぱり無理はしてほしくないという思いもあるし。ここはすごく難しいところだよね。

宮司 どういう戦いになるのか、男子はあまり想像がつかないです。

内田 そうだね。でも、宇野(昌磨)選手は今年本当に調子がいいんだろうなっていうのを感じる。(コーチのステファン・)ランビエールさんとの関係性のよさというのも大きいのかなって思う。

宮司 確かにそうですよね。

内田 送り出される時の「行けるぞ」みたいなのに対して、グーサインで返すところとか、ああいう感じがすごく心を開いて信頼しているんだなというのが伝わってくる。宇野選手はコーチが不在で苦しんだ時期を乗り越えて、自分がまた世界と戦える位置に戻ってきたということも言っているから、今回はそのあたりが楽しみかな。

宮司 また何か平昌の時とは違う宇野選手が見られるのかなって思います。そして、鍵山(優真)選手にとってはオリンピックに向けて初めての全日本になるわけですね。

内田 いやー、今年も勢いがあるよね。この間、世界ランキング1位になっていて。

宮司 今シーズンから4回転ループも跳びはじめていますよね。

内田 種類を増やして、3種類の4回転を跳ぶ構成にしてかなり難しくしているよね。

宮司 すごいです。鍵山選手はジュニア時代に世界を制した経験というのがあるからこそ、シニアにおいても大舞台での戦い方というのをよく知っている選手なんだろうなと思います。どんどん成長しているのが見ていてわかるじゃないですか。

内田 ね。あと鍵山選手は(コーチの)お父さんに喜んでもらえてうれしいとか、お父さんのためにっていう思いをいつも言ってるよね。

宮司 コロナ禍では一緒に移動できなかったりもして。リンクサイドにいらっしゃらなかった時もありましたよね。心細い思いもしただろうし、コロナ期間の苦しさを乗り越えて、ひと回り人としても大きくなった鍵山選手の表現力はすごく楽しみにしたいところです。それから、ジュニア時代からのライバルである佐藤(駿)選手ももちろん、鍵山選手に負けず劣らず伸びてきています。

内田 佐藤選手は4回転ルッツという武器があるというのが勝負の上では大きいと思う。ただ、いろんな大会でケガがあったことでなかなか思うような演技ができなかったという経験もしていて。また、無良(崇人)さんに教わったりもしていてそこで吸収するものもいろいろあるのかと思います。

宮司 鍵山選手とは同級生ということもあって、影響され合っているところはあるのでしょうね。佐藤選手がジャンプを大きな武器にしていたところ、鍵山選手がどんどん4回転の種類を増やしていくとか、お互いがいい影響を及ぼし合っているんだろうなというのがわかります。このふたりの戦いが全日本で、3枠というのとは別にあるのかもしれないなと感じています。
 それにしても、鍵山選手と佐藤選手は性格が全然違うから面白いですよね。

内田 でも、すごく仲よしだよね。

宮司 近くで見ていると正反対のようなところもあって。鍵山選手は、しっかりきっちりしているイメージですね。一方で、佐藤選手はほわーんとした雰囲気が出ているような......どこか不思議なところがあって。どんなことを考えているんだろうっていう純粋な興味を持つ選手でもありますね。

【羽生結弦選手は全日本で4回転アクセルに挑むのか】


宮司

 羽生選手の4回転アクセルへの思いというのは、おそらく高みにたどり着いた人にしか見えない世界じゃないかと思っていて。スケートをより深く知るために、そして、自分の限界に挑戦する意味でやりたいというのがあるのかなと、私は勝手に感じているところがあります。それを全日本で披露するかどうかは羽生選手にしかわからない。

内田 そうだね。ここ数年は羽生選手から4回転アクセルっていうワードを何度聞いただろうというぐらい、4回転アクセルにかけている気持ちってものすごく強いものを持っていて。これまでもさまざまな記録を打ち立ててきている選手なので、4回転アクセルも羽生選手だったらやってくれるんじゃないかという気持ちにさせちゃうところがまたすごさのひとつだよね。

宮司 だからこそ注目が集まるんですよね。

内田 どの大会で決めてほしいということではなく、羽生選手が目指してきたものがどこかの場面でかたちになっているところを見られたらすごく素敵だなと思います。羽生選手のタイミング、「今だ」という時を待ちたいというか。

宮司 私も羽生選手が全日本で4回転アクセルを跳ぶのか跳ばないかということよりは、いったいどんな演技を見せてくれるのだろうという気持ちでいますね。

【フィギュアスケートから刺激を受けること】

内田 フィギュアってすごく不思議だよね。選手を見ていると、自分も頑張ろうって思わされることが多くて。やっぱりチャレンジする心の大切さとか、挑んでいく姿勢みたいなところとか。全く職業は違うけれど、挑まないといけないなと思うよね。

宮司 そうですね。

内田 向上心を持ち続けることのすごさを間近で見られるので、刺激をすごくもらう現場です。年齢とかは関係なく。

宮司 みなさん私より若いのですが、一生懸命頑張って、できないことをできるようになっている姿とか。選手たちが何とかして壁を乗り越えようとしている姿を見て、頑張ろうって思うのは、私も内田さんと一緒かもしれないですね。

内田 あと、フィギュアスケートには、心を揺さぶられる瞬間があるよね。演技を見ているだけで涙が出てきたりとか。観客席を見ても泣いてる方ってたくさんいらっしゃったりして。私たちも、インタビューのスタンバイをしつつも、演技を見て自然と泣いている時があるんですよ。だからすごい競技だなって思う。演技を見てポロポロ涙が止まらないのって、ほかになかなかないと思うので。

宮司 確かにそうですね。

内田 そこは、何年担当していてもすごい魅力だなと。最近ますます思います。

宮司 今日はありがとうございました。

内田 こちらこそありがとうございました。楽しかったです。

(おわり)

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PROFILE
内田嶺衣奈(うちだ・れいな)
1月6日生まれ。2013年フジテレビ入社。東京都出身。血液型:A型。フジテレビアナウンサー。現在はフィギュアスケート中継のほか、ニュース・情報番組『Live News イット!』や報道番組『Live News α』を担当
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宮司愛海(みやじ・まなみ)
7月29日生まれ。2015年フジテレビ入社。福岡県出身。血液型:0型。スポーツ・ニュース番組『S-PARK』のメーンキャスター。スタジオ内での番組進行だけでなく、現場に出てさまざまな競技にふれ、多くのアスリートに話を聞くなど取材者としても積極的に活動。
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