photo by Jamie Squire/Getty Images2017年のドラフトはレシービングTEに多くの才能が集まり、トップ100以内の指名が濃厚とされる選手が多数いる。その筆頭たる存在がアラバマ大のO・J・ハワードだ。高校時代か…

photo by Jamie Squire/Getty Images

2017年のドラフトはレシービングTEに多くの才能が集まり、トップ100以内の指名が濃厚とされる選手が多数いる。その筆頭たる存在がアラバマ大のO・J・ハワードだ。

高校時代からアラバマで活躍し、大学進学時のリクルートランキングもTEの中でトップだった。アラバマ大学では1年生から5試合に先発し、14回捕球、269ヤード、2TDを記録。1捕球あたりの獲得ヤードがチームトップの19.2ヤードだった。2年時の2014年も17回捕球のうち6回が16ヤード以上の獲得、シーズンを通じて1キャッチあたりの平均は15.3ヤードと、ロングゲインを奪ってきた。3年生として迎えた2015年シーズンは1、2年の活躍を上回る、38捕球602ヤード2TDを記録。ハワードを注目選手に押し上げた全米選手権では5キャッチ208ヤード2TDの活躍で、攻撃MVPに選ばれた。4年生となった2016年シーズンでは45捕球、595ヤード、3TDを記録、オールアメリカン3軍に選出された。

ハワードの強みは198センチ113.9キロの恵まれた体格に加え、40ヤード走4秒51、3コーンドリル6秒85、20ヤードスプリット4秒16と、TEのなかでトップクラスに足が速く、クイックネスに長けていることだ。CBでは大きすぎてカバーできず、LBでは速すぎてカバーできない、止めにくい選手であるといえる。ボディーコントロールもよく手も大きいため、体から離れたボールの捕球を得意としている。走力は捕球後のランでも生かされている。

ブロッカーとしては及第点といったところだが、ベンチプレスが22回とパワーはあるので成長が期待できる。前述の全米選手権で注目を浴びたハワードだが、通算成績としてはスター選手としては物足りない。しかし、多くのチームのGMやフットボール関係者がアラバマ大学では扱いきれなかった才能である、と評するほどの才能の持ち主であり、よりハイレベルなNFLの環境で潜在能力が引き出される可能性がある。

課題点としては、ブロックの他に消極的な性格が挙げられる。ルートを走っている際にDBを振り切るような動作が少なく、肩でのフェイク、足を使った揺さぶりがあまり見られない。また、捕球ミスや捕球後に守備選手に簡単に捕まってしまう場面も見られた。ロングゲインはあるものの、ハワードの爆発的な才能に見合った爆発的なプレーはまだ少ないと言える。

身体能力だけで言えば、同じポジションのトップ選手ロブ・グロンカウスキー(ペイトリオッツ)とほぼ同じ身長に、バーノン・デービス(レッドスキンズ)と同等のクイックネスを併せ持ったオールプロ級の逸材である。グレッグ・オルセン(パンサーズ)のようなスピードとサイズを生かしたレシービングTEになる可能性は非常に高い。

大学時代のオルセンと比べると、パスルートを走る能力はオルセンに一歩劣るものの、ブロックはハワードのほうが優れている、というのが現地での評価だ。大学時代に見られた闘争心に欠ける一面は関係者のいうように大学側の責任なのか、本人の生まれ持った性格なのかは不明だが、一流のアスリートが集まるNFLで競っていくためには闘争心は必要だ。眠れる獅子の覚醒に期待しよう。