天皇杯も優勝チームが決まり、Jリーグクラブの2021年の公式戦はすべて終わった。一方で、2022年シーズンへの期待はす…

 天皇杯も優勝チームが決まり、Jリーグクラブの2021年の公式戦はすべて終わった。一方で、2022年シーズンへの期待はすでに膨らみ始めている。
 天皇杯の覇者となり、獲得タイトルをさらに増やした浦和レッズは、2022年のJ1でも優勝争いを演じることができるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■劇的な展開となった天皇杯決勝

 第101回天皇杯全日本選手権大会決勝で浦和レッズが大分トリニータを破って、三菱重工時代を含めて8度目の優勝を遂げた。

 試合終了間際に大分トリニータがペレイラのゴールで追いつき、その3分後の90+3分に右CKから柴戸海が放ったボレーシュートに頭で合わせた槙野智章が決勝ゴールを決めるという劇的な展開。しかも、今シーズン限りでクラブを離れるレジェンド、槙野のゴールということで非常に盛り上がった決勝戦となった。

 準決勝で大分が川崎フロンターレをPK戦の末に破った試合もそうだったが、いかにもカップ戦らしいスリリングな展開で楽しめた。

 今シーズン、リカルド・ロドリゲス監督を迎えて期待を集めた浦和は、リーグ戦こそ6位という成績に終わったが、JリーグYBCルヴァンカップではホーム&アウェーの準々決勝で川崎と戦ってアウェーゴールの差で準決勝に進出。そして、天皇杯では見事に優勝を遂げ、カップ戦では強さを発揮した。

 では、現在の浦和は来シーズンのJ1リーグでも優勝を狙える位置にあるのだろうか。今回はその点について考えてみたい。

 もちろん、まだ来シーズンに向けての陣容も決まっていない段階だ。最近も各クラブで次々と大型移籍が明らかになっている。外国人の新規入国に制約が課せられている現状では、国内での移籍が主体になるのだろうが、今後もさまざまな動きがあるだろう。

 したがって、現段階で来シーズンの順位予想などをするのは気が早すぎるのだが、「浦和レッズは現在のままの力でリーグ戦でも優勝を狙えるのか?」ということに絞って考えてみたい。

■「現時点の浦和」ではリーグ優勝できない

 結論的に言えば、現時点でのチーム力では浦和はまだリーグ戦で優勝することはできないと僕は思う。

 まず、そういう視点に立って客観的に天皇杯決勝を振り返ってみよう。

 浦和は、非常に良い形でゲームに入った。

 キックオフから40秒も経過しないうちに、右サイドで関根貴大酒井宏樹とのワンツーで抜け出した場面があった。ここは大分の選手がタッチに逃れたのだが、早い時間に積極的な姿勢を見せて主導権を握ることに成功した。その後も、関根のサイドでチャンスを作り続けた。

 そして、早くも6分にはその右サイドから崩して浦和が先制ゴールを決める。

 相手陣内の深い位置で関根と絡んだのは、オリジナルポジションとしては左サイドにいたはずの小泉佳穂だった。そして、関根が相手のペナルティーエリア内を強引に突破して相手DFを引き付けてマイナス気味に入れたボールをフリーになっていた江坂任が決めたものだ。

 素晴らしい崩しからの先制ゴールだった。

■前半30分過ぎにはトーンダウン

 その後も、浦和はリズムをつかんだまま良い形の攻撃を見せ続けた。右サイドからは何度もチャンスが生まれた。10分、酒井のフィードから始まって、最後は江坂のスルーパスに関根が反応した場面(CKとなる)などは見事なパスワークだった。一方、左サイドでは、最近の浦和の大きな武器である左サイドバック明本考浩の攻撃参加が機能した。タッチライン沿いのオーバーラップ、そして相手守備陣の間に生まれる微妙なスペースを鋭く衝いたインナーラップ。そして、それに伴って小泉がトップ下から右サイドまで顔を出して、攻撃に厚みを加える。

 先制ゴールを決めた江坂やトップのキャスパー・ユンカーが絡むシーンが少ないような印象はあったが、1点をリードした浦和がこのまま追加点を奪って勝負を決めてしまうかのような勢いだった。

 だが、時計の針が30分を回るころになって、浦和の攻撃に鋭さが欠け、逆に大分のポゼッションの時間が長くなってくる。

 大分の攻撃が浦和のゴールを脅かす場面はほとんどなかったものの、浦和の攻撃の迫力もなくなってしまった。

 もちろん、これは「結果がすべて」の決勝戦なのだ。1点をリードしたチームが慎重な戦い方をするのはある意味で当然の流れだ。いわゆる「決勝戦らしい試合」だったのである。

 だが、浦和が意図的にそういう試合を選択したようにも思えない。1点のリードを保って、そのまま何も起こさずにゲームを終える……。そんなことができるのは、かなり完成度の高いチームだけである。そして、そういう選択ができるのは後半に入ってからのことだろう。
 

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