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今年のNFLドラフトはDEの人材が豊作だ。テキサスA&Mのマイルズ・ギャレットと共に高順位での指名が有力視されているのがスタンフォード大のDEソロモン・トーマスだ。

少年時代の5年間をオーストラリアですごしたトーマスは、帰国後,テキサスのコッペル高校(テキサス州)で頭角を表した。当時、ESPNのリクルーティング評価では全米25位と、トップクラスの選手として評価されていた。スタンフォード大1年時はレッドシャーツとして過ごしたトーマスは、アクティブ・ロースター入りた2015年に39タックル、10.5ロスタックル、5サックを記録しPac–12(西部6州の12校によるカンファレンス)代表特別賞に選出された。翌2016年シーズンは62タックル、15ロスタックル、11・5サックを記録し、カンファレンスで1番のラインマンを対戦チームの投票で選出するモリストロフィーを受賞。ローズボウルではアイオワ大学を相手に4タックル、2タックルはロスタックル、1QBサックと貢献した。昨2016年末のサンボウルでは、ノースカロライナ大の最後の2ポイントコンバージョンをQBサックで止め、2点差での勝利を決定づけた。

ローズボウルとサンボウルでの活躍がスカウトの目に止まったソロモンの長所はあらゆる場面に対応のできる身体能力だ。

3コーンドリルを今年のDLの4位の6・95秒の速さでこなしたかと思えば、ベンチプレスも30回で4位とパワーとクイックネスのバランスがいい。この身体的素養は内からも外からもプレーッシャーをかけることで相手選手にプレーを読ませず、ブロックを難しくする彼のプレースタイルにつながっているのだろう。スワイプ、リップ、アーム・オーバー(スイム)といった、パスラッシュにおけるテクニックにも優れている。ベテランのように視野が広く反応も早いので、うまくギャップをみつけ、ブロッカーと過度に押しあう事はせずにするりとバックフィールドに抜けてしまう、そんな選手だ。

DLとしてバランスがよいポテンシャルを持っている反面で、190・05センチという身長とこぶりな骨格、DLとしての適性を疑問視する声があるのも事実だ。DEには小さく、DTには軽い彼を「器用貧乏」という評価を下すスカウトもいる。

確かに、トーマスの身長、骨格では活躍できるだけの重さを維持することが難しく、大学でも体の大きなブロッカーに力負けしてしまう場面もみられた。また、昨シーズンはオフサイドの反則が7回と多かった。ハンド・テクニックは素早いが、力強さに欠け、気をつけないとフェイスマスクの反則が取られやすい。NFLで活躍するには体とプレー双方でのサイズアップが求められるようだ

現在NFLで活躍しているDEを振り返るとJJ・ワット(テキサンズ)、ジェイソン・ピエールポール(ジャイアンツ)と195センチを超える身長の選手が大勢いる。ドラフトアナリスト、ランス・ジャーリンは、「トーマスの動きは流動的で、うまく繋ぎあわさっている。簡単にみえるけど、大変なことだ。彼自身にすら制御しきれていないほどの素晴らしいスピンもある。ワットのような腕の長さはないし、多少の増量は必要だが、ワットの小型版といったところかな。どちらも身体能力が化物じみているよ」と、やや小柄ながらもワットにも劣らない才能があると分析した。

また、昨年は全部で6箇所以上のポジションでプレーしたマイケル・ベネット(シーホークス)とも、身体能力を活かしてDLとLBどちらでも適応できるといった共通点がある。トーマスの魅力はなんといってもパワーとスピードを組み合わせることによる爆発力と適応力。是非その爆発力で器用貧乏というレッテルも吹き飛ばして欲しいものだ。