「脳震とうの疑い」で2試合欠場、千葉との第1戦は前半低調も第3クォーターに躍動 言ってしまえば日本バスケットボールの“頂…
「脳震とうの疑い」で2試合欠場、千葉との第1戦は前半低調も第3クォーターに躍動
言ってしまえば日本バスケットボールの“頂上決戦”。それが昨シーズンのBリーグ王者・千葉ジェッツと、天皇杯王者・川崎ブレイブサンダースのカードだ。
この大一番の見どころは、やはり富樫勇樹(千葉)と藤井祐眞(川崎)による「日本代表ポイントガード対決」だろう。12月18日に2021-22シーズンの初顔合わせが組まれていた。
ただ18日の第1戦で、藤井は自らの身に“異変”を感じていた。
「前半、僕は本当にきつくて、めちゃくちゃ息が上がってしまって、あまりリズムを作れなかった」
大袈裟なコメントはあまりしない藤井が、「ほんっ…とうに!」と妙に力を込めた言い方をしていた。
疲れ知らずのハードワークを見せる彼としては珍しい話だが、やむを得ない事情があった。藤井は11日の横浜ビー・コルセアーズ戦で相手選手と強く接触。「受傷直後に脳震とうが疑われる症状があった」との理由で、藤井は翌12日の横浜戦と、15日の群馬クレインサンダーズ戦を欠場している。
「診断、チェックをしてもらって特に異常はありませんでした。ただリーグのプロトコルに従って段階を踏んで徐々に(運動の強度を)上げて状態を確認する状況が、6日間続きました。昨日は練習に戻ったんですけど、でもそこまであまり息を上げてこなかった。試合でパッと息を上げた時にめちゃくちゃ疲れました」
しかもこの試合の第1クォーターは残り6分35秒から残り1分57秒まで両チームにファウルがなく、ボールがラインを割らず、流れが一度も切れない異例の展開。ベンチもそんな状態にある藤井を、「代えたくても代えられない状況」だった。
第1クォーターの残り2分45秒には、相手のピック&ロールから富樫のマークをあっさり離して3ポイントシュートを決められる“藤井らしくない”プレーも出ている。オフ明けに近いコンディションだった彼は、フィジカル面で流れに乗れていなかった。
かくして川崎は40-47のビハインドを負って、前半を終えることになった。しかし後半はその藤井がカムバックし、反攻の先頭に立つ。
第3クォーターで30-20と上回り逆転、富樫相手に食らいつく
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチ(HC)はこう振り返る。
「前半は千葉の強みを出させてしまう展開でした。オフェンスでなかなかシュートが入らず、タフなディフェンスをされて、そのまま走られる展開が少しあった。そこは一番やらせたくなかったので、そこが反省点でした」
47失点した大きな背景は“攻撃の終わり方”だった。佐藤HCは説明する。
「しっかりリングにアタックできている時は良かったんですけれど、押し出される時にボールが止まってしまった。しっかりリングにアタックしようという狙いで、オフェンスの流れを作れたところが、3クォーターにカムバックできた理由だと思います」
屈強なインサイドプレーヤーが待ち構えるゴール下に切れ込む、そこにパスを出すプレーにはもちろんリスクもある。ただそこで逃げてしまうと攻撃が停滞し、守備にも悪影響が出る。
後半の藤井はチームの先頭に立って、ゴール下へのドライブやパスを増やした。一時的に息切れが起こったとしても、一度追い込めば心肺機能が目覚め、全身にスイッチが入る。それがこのレベルのアスリートだ。
「富樫選手が(前半で)ファウル2つだったので、そこへ積極的にアタックしようと意識していました。前半に息を上げた分、後半にやってやろうみたいな気持ちもありました。相手はトランジションが脅威。そこにつなげないオフェンスの終わり方を、賢次さん(佐藤HC)は評価してくれたと思います」
藤井は守備の激しさ、しつこさが評価され、2年連続でBリーグの「ベストディフェンダー賞」を受賞している。富樫はそんな彼が特にしつこく食らいつく相手だ。
「富樫選手の映像を見て、抑えようとしますけど、やられる時はあります。今日も前半は疲れて、それがまったくできませんでした。それでも富樫選手が出ている時間帯は、追いかけっこのようにずっと粘り強くついていくのが一番かなと思います。富樫選手をチェイスして、ピックを使われても後ろからついていって、シュートを少しでもタフにできるように意識しています」
18日の試合は藤井が19得点4アシストで、富樫は15得点6アシスト。藤井、篠山竜青につかれて、これだけ決める富樫もまたスペシャルな存在には違いない。
川崎は第3クォーターで30-20と千葉を上回り逆転。接戦ではあったが、89-85で東地区の“頂上決戦ファーストラウンド”を制した。藤井が第3クォーターに見せたカムバック、再点火が試合を決める大きなポイントだった。(大島 和人 / Kazuto Oshima)