WBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチ ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者のWBA10位&IBF5位ア…

WBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチ

 ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級(53.5キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・両国国技館で行われ、統一王者・井上尚弥(大橋)が挑戦者のWBA10位&IBF5位アラン・ディパエン(タイ)に8回2分34秒TKO勝ちした。2年1か月ぶりの国内凱旋試合で日本人の現役世界王者最多となるWBA6度目(正規王者時代も含む)、IBF4度目の防衛成功。日本人初の4団体統一の快挙に向けて関門を突破した。戦績は28歳の井上が22勝(19KO)、30歳で世界初挑戦のディパエンが12勝(11KO)3敗。観衆は約7000人。

 確かに当たっているのに倒せなかった。井上はワンツー、フック、ボディーなど多彩さを見せてダメージを蓄積。4回には左アッパー3連発から左ボディー2連発した。左右のボディーなど着実に入れていったが、挑戦者はなかなか倒れない。決着は8回。左フック、左右のボディーを繰り返すと、最後は左でダウンを奪った。立ち上がった挑戦者だが、一方的な展開にレフェリーがストップをかけた。

 試合後の会見では、挑戦者について「もう印象は試合の通りですね。凄くタフで根性のある選手でした」と説明。「やっぱりムエタイをやっていてタフだった。呼吸が荒くなっていたけど、本当に効いているのかとメンタルをやられそうなくらいタフさを感じた。相手もああいう作戦で戦うのは、凄い研究しているなと感じた」と挑戦者の我慢強さに困惑気味だった。

「ジャブに関してはかなりダメージが蓄積していると思うくらい当たっていた。結果的にボディー、右のパンチも芯を食うことは感じがなかった。リードジャブはダメージを感じるくらい当てていた」

 序盤は異様に静かな始まりだったこともあり、会見では一撃で終わらせようと思ったのかという質問も。井上は「そんなボクシングは甘くないですよ」と笑い、「見切るためにしっかり見ていたけど、タイのボクサー独特の雰囲気、間合い、それがちょっと掴みづらかった」と振り返った。終盤については「最後は強弱という意味でも、軽いパンチも出して様子を見ようかと思った」とした。

 会見に同席した父・真吾トレーナーは「(途中で)しつこく腹でいくしかないと。それか打たせてカウンターでいこうよと伝えた」と明かし、「凄く根性があった。強いパンチでいくしかないので外から。今日は相手が凄く頑張った。ダメージはあるけど、本当に頑張った」と相手を称えた。

 一方的な展開ながら仕留めきれない内容。井上は「途中、集中力が切れた部分もあった」と説明し、今後への課題かと問われると「課題というか、意識でどうにでもなる問題」と強調。「結果的に8回かかったのは何も思っていないです。時には期待を超えない勝ち方をすることを覚えておいてください(笑)」と自虐的に話した。

 今後はWBC王者ノニト・ドネア、WBO王者ジョンリエル・カシメロ(ともにフィリピン)との統一戦に照準を合わせ、1階級上のスーパーバンタム級も視野に入れていく方針を示した。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)