今年度で第100回大会を迎えた高校サッカー選手権では、これまでさまざまな記録や名場面が生まれ、新たなページが開かれてきた。通算最多ゴールや個人、チームによる最多得点、世代最強を誇った常勝軍団など、積み重なった歴史とともに生まれた名記録やチームの姿がそこにはある。今回は、個人やチームの記録に焦点を当て、高校サッカーを“データ”というキーワードで振り返っていきたい。

高校サッカー史上最強の“怪物FW”

高校サッカー選手権通算17ゴール—。長い選手権の歴史において個人で史上最多のゴールをマークしたのが平山相太である。現在は長崎総科大附の監督を務める名将・小嶺忠敏氏に率いられたチームで平山は1年生から頭角を表すと、2年時には長身を生かしたヘディングを武器にゴールを量産し7ゴールで得点王に輝く。


高校生離れしたFWとなった平山は3年生で迎えた最後の選手権でも、多彩なパターンから得点を量産しチームを優勝に導く。また9ゴールを挙げ、個人では史上初となる2年連続の得点王となった。これまで行われた高校サッカー99回の歴史において、平山相太は史上最強と呼ぶにふさわしいストライカーだったと言えるだろう。

鉄壁の守備で栄光掴んだ無失点優勝校

トーナメントである選手権を勝ち抜く上で鍵を握ってくるのが守備面だ。名将・古沼貞夫に率いられた56回大会出場の帝京が5試合を10得点無失点で優勝を果たすと、澤登正朗、アデミール・サントスなどのプロ選手を輩出した第65回大会出場の東海大一も、抜群の攻撃力を武器に無失点優勝を達成する。


第78回大会に出場した千葉の名門・市立船橋は、決勝で松井大輔を擁する鹿児島実を2-0で下し、首都圏開催となった第55回大会以降では史上3校目となる無失点優勝を成し遂げた。なお、第96回大会に出場した流通経済大柏は、準決勝まで無失点で大手をかけたが、2年連続で決勝進出を果たした前橋育英に0-1で敗れ、4校目の偉業達成はならなかった。

最多得点記録誇る「半端ない」チーム

高校サッカー選手権大会の歴史において、現日本代表FW大迫勇也の大会最多10得点は、未だ破られぬアンタッチャブルレコードだ。第87回大会に鹿児島城西高校のメンバーとして出場した大迫は、高校生離れした個人技で得点を量産。1回戦から準々決勝まで4試合連続2得点を記録すると、準々決勝でも1得点、惜しくも敗れた決勝の広島皆実戦でもゴールを挙げ10得点の大記録を打ち立てた。


また、この大会の鹿児島城西を語る上で忘れてはならないのが野村章悟の存在だ。野村はセカンドストライカーとして1回戦から決勝まで全試合でゴールをあげ6試合7得点を記録。大迫の「半端ない」記録に隠れ語られることは少ないが、この数字は例年であれば得点王の可能性もある傑出したものである。大迫と野村の6試合連続アベック弾を含む鹿児島城西の29ゴールは1チームの大会史上最多得点記録であり、こちらの記録も未だ破られていない。

史上唯一の三冠達成した“赤い彗星”

高校サッカーにおいてインターハイ、全日本ユース(現高円宮杯)、選手権の三冠を達成したチームは史上1校のみ。伝説的なチームとされる1997年度の東福岡高校だ。当時のメンバーには本山雅志をはじめとするのちのJリーガーが多数在籍し、公式戦52戦無敗を記録するなど高校サッカー史上最強と謳われるチームであった。そして、とりわけチームを伝説へと押し上げた試合が、今でも語り継がれる「雪の決勝」だ。 


第76回大会決勝は高校三冠に王手をかけた東福岡と、のちに本山とともに鹿島アントラーズの黄金期を支える中田浩二率いる帝京高校との対戦となった。記録的な大雪に見舞われた“聖地”国立競技場の舞台で、先制され苦しい展開となるも2−1と死闘を制したのは東福岡。九州勢として初めて優勝旗を手にした“赤い彗星”が成し遂げた史上初の三冠は、記録にも記憶にも残る高校サッカーの金字塔となっている。

メモリアル大会で大暴れの阪南大高エース

そしてメモリアル大会となった今回輝きを放ったのが阪南大高のエース鈴木章斗(湘南ベルマーレ内定)だ。鈴木は初戦の丸岡(福井)戦で1得点を奪うと、8-0で大勝した2回戦の奈良育英(奈良)戦ではその得点力が爆発した。抜群の嗅覚とシュートセンスを発揮し、圧巻のダイレクトボレーを含む5得点の活躍。首都圏開催となった1976年度以降では最多タイ、史上3人目となる記録で今大会の主役に躍り出た。


続く3回戦では、優勝候補筆頭の青森山田(青森)と対戦。3点を追う厳しい状況になりながらも、ロングスローからのこぼれ球に素早く反応し一矢報いる一点を奪った。大迫の1大会最多10得点超えこそならなかったものの、3試合7得点と鮮烈なインパクトを残した阪南大高のストライカーもまた、新たに選手権の歴史を彩る1人となっていくだろう。