シーホース三河のPGコリンズワース、11日の広島戦で“トリプルダブル”達成 バスケットボールの取材をしていると「ディフェ…
シーホース三河のPGコリンズワース、11日の広島戦で“トリプルダブル”達成
バスケットボールの取材をしていると「ディフェンシブなスタイルを目指したい」というコメントをよく聞く。他のスポーツ――例えばサッカーで“ディフェンシブ”を敢えて目指すチームはまずない。しかしバスケットボールは違う。この競技におけるディフェンスは積極的で、前向きなアクションだ。
Bリーグのシーホース三河も、ディフェンシブで魅力的なスタイルに脱皮しようとしている。2020-21シーズンのMVP金丸晃輔(島根スサノオマジック)の移籍は少なからず痛手だろう。ただし今季は西田優大、角野亮伍のような若手を獲得し、シェーファーアヴィ幸樹も含めて“動ける”メンバーが揃った。守備やリバウンドからのファストブレイク(速攻)がチームの強みとなりつつある。
そんなスタイルの先頭に立っているのが、ポイントガード(PG)のカイル・コリンズワースだ。NBAダラス・マーベリックスやGリーグ(NBA下部リーグ)でのプレー経験を持つ30歳で、今季が来日2年目。198センチ・95キロの体格で、跳躍力に強みがある。
ポイントガードはチームの“司令塔”だが、それぞれのスタイルがある。富樫勇樹(千葉ジェッツ)のようにシュート、パスを強みとするタイプが一般的で、藤井祐眞(川崎ブレイブサンダース)のような守備や闘志でチームを引っ張るスタイルもある。コリンズワースは、Bリーグの中では少し異色の「リバウンド」「守備」「パス」で貢献するPGだ。
昨シーズンのコリンズワースは、計6回のトリプルダブルを達成した。特にチームにフィットした終盤戦は大活躍を見せ、4月24日の島根スサノオマジック戦から4試合連続でトリプルダブルを記録。4月・5月の月間MVPにも選ばれている。(※トリプルダブル:得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックショットの5項目中3つ=tripleで2桁=doubleのスタッツを記録すること)
チームがより“ディフェンシブ”になったことで、コリンズワースの強みがより活きている。三河が91-74で快勝した12月11日の広島ドラゴンフライズ戦では17得点、13リバウンド、11アシストとトリプルダブルを達成した。
試合後に鈴木貴美一ヘッドコーチは、こう振り返っていた。
「第2クォーターからDFの足が動いて、走れて、いい形でオフェンスができた。今日はリバウンドも頑張って、シュートが落ちてもしっかり拾って決める形を作れた。リバウンドの差が、ゲームに出たのかなと思っている」
リバウンドの本数は三河が45本で、広島は32本。攻撃回数の差がこれだけあれば、それはスコアに反映される。
最も嬉しい二桁はリバウンド「セカンドチャンスポイントにもつながる」
広島はグレゴリー・エチェニケという208センチ・120キロの強力なセンタープレーヤーがいる。しかし三河は彼を自由にさせず、2人目、3人目がスムーズにリバウンドを取っていた。
そのエチェニケは試合後にこう語っていた。
「相手はビッグマンだけでなく、PGも含めて全員がオフェンスリバウンドに飛び込んで来る。特にコリンズワースはPGだけど大きいので、かなり取られた」
リバウンドはフィジカルな競り合いで、身体的に消耗するプレーだ。ハードワークを涼しい顔で遂行しつつ、パスで味方にいいシュートをプレゼントする――。言葉にすると簡単だが、これほどの献身性を発揮できるPGはBリーグの中でもコリンズワースの他にいない。
彼がコートに入れば守備ではポイントガードからパワーフォワードまで、ミスマッチを作らず対応できる。何よりリバウンドへの執念が図抜けている。
以前の取材では、こんなことを口にしていた。
「練習から味方を常に観察しています。シュートを打つ時、シュートをどう落とす傾向があるかを研究していて、それも(リバウンドの獲得力が高い)一つのポイントです」
そして自身のプレーについて、こう強調する。
「リバウンドを取れば、自分がプッシュして、そこから(すぐ)オフェンスに入れる。そこがPGとして自分の強みだと思います」
起点となる選手が自分でリバウンドを取れば、コンマ何秒ではあっても、攻撃を素早くスタートできる。守備が揃う前にロングパスを飛ばす、高速ドライブでゴールまで一気に運ぶというアグレッシブなプレーが出やすい。
得点、アシスト、リバウンドの“トリプル”の中で、どの二桁が一番嬉しいか? 11日の広島戦後にそう問われたコリンズワースは、次のように答えていた。
「チームメイトがシュートを決められるようにパスをしている証拠なので、アシストは嬉しいです。でもやっぱり自分が一番嬉しいのはリバウンドです。取れると自分からボールをプッシュできるし、セカンドチャンスポイントにもつながる。それが自分にとって一番大事なことだと思います」
チームの変化についてはこう述べる。
「今年のチームは若くて、そのおかげで、トランジションで走れる。自分は元々そういうプレースタイルが好きです」
「リバウンド×パス」「リバウンド×ドリブル」の掛け合わせで、コリンズワースの強みはより引き出される。今年の三河が“堅守速攻”のスタイルになったことで、その価値はより強調されている。(大島 和人 / Oshima Kazuto)