BCリーグ福島・岩村明憲監督の印象に残った「雄叫びを上げる姿」 メジャー4年目の今季、9勝&46本塁打と二刀流でフル回転…

BCリーグ福島・岩村明憲監督の印象に残った「雄叫びを上げる姿」

 メジャー4年目の今季、9勝&46本塁打と二刀流でフル回転し、日本人初の満票MVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平投手。Full-Count編集部では、今季の歴史的な活躍をテレビ解説者として見守ってきたプロ野球OBにインタビュー。今季は2007年から4年間メジャーで戦った、現BCリーグ・福島レッドホープス監督の岩村明憲氏の視点から「投手・大谷」を振り返る。

 大谷は今季、メジャー移籍後初めて先発投手としてシーズンを投げきった。惜しくも2桁勝利には1つ及ばなかったが、10勝目を目指して投げた9月のピッチングが岩村氏には大きく印象づけられているという。

「淡々と投げる試合が多かった中で、10勝目がかかった試合で三振を奪ってガッツボーズする場面が目に焼き付いていますね。MVPが決まった時も少しはにかむくらいの落ち着いた青年が、ピッチングとなると感情を露わにする。自分を鼓舞するために雄叫びを上げる姿は印象的でした」

 日本時代から感情を大きく乱さず、常に冷静なイメージがあるだけに、感情をむき出しにする姿は新鮮でもあった。岩村氏は「冷静に凄いことをやってのけるから、たまに機械がやっているんじゃないかとすら思いますよね。ガッツポーズをする姿を見て『あ、ここまでするんだ。人間で良かった』と思ったくらいです」と笑う。

投手として9勝マークも「このくらいで満足しないのが大谷君」

 大谷はメジャー移籍1年目の2018年に右肘靱帯を損傷。通称トミー・ジョン手術を受け、昨年2シーズンぶりにメジャーのマウンドに復帰した。先発投手として1シーズンを投げきったのは、今季が初めて。「ようやく二刀流として1年できたとホッとしている部分はどこかにあると思います。ただ、このくらいで満足しないのが大谷君でしょう」と岩村氏は続ける。

「ゴールはないですよね。目標に限界はないので、例えばピッチングで言えば9回で打者27人、8回なら24人、7回なら21人、全打者から三振を奪いたいと思うかもしれない。あの速球とスプリットがあれば、追い込んだ時に三振を狙いにいきたくなるでしょう。目標の奪三振数は対戦する打者の数じゃないですか。それを目指せるだけの投手ですから」

 今季、岩村氏がメジャーの解説を務める中で強く感じたのが、大谷の活躍が日本の1日の始まりを大きく左右すること。「朝のニュースで大谷君が打った、抑えたと報じられると、必ずその日の会話に登場する。ある意味、世間のバロメーターでしたから、10月以降はエンゼルスロスが増えましたよね」と笑う。

「9月には物議を醸した“勝ちたい”発言がありましたが、あれは本当に心の底から勝ちたいんだと思います。そして、エンゼルスにいる以上、エンゼルスで勝ちたいということ。来年は自分の投げる試合は全部勝つつもりでマウンドに上がり、今年以上の活躍をしてくれると思っています」

 これまでも人々の想像を超える活躍をしてきた大谷だが、来年も新たな可能性を見せ、ファンの目を楽しませてくれることだろう。(佐藤直子 / Naoko Sato)