どうしてオリックスの投手ばかり、状態がいいのだろう----? 12月8日、メットライフドームでの12球団合同トライアウ…
どうしてオリックスの投手ばかり、状態がいいのだろう----?
12月8日、メットライフドームでの12球団合同トライアウトを見ていて、疑問に思えて仕方がなかった。オリックスのユニホームを着た金田和之、神戸文也、荒西祐大、吉田一将の4投手が、立て続けにすばらしいパフォーマンスを見せたのだ。

トライアウトで三者連続三振の好投を見せた前オリックスの荒西祐大
【選手としてのプライドを引き裂かれた元オリックス4投手の意地】
登板後に金田が語ったコメントを聞いて、その理由の一端が見えたような気がした。
「今回参加した4人で舞洲(ベースボールスタジアム)を使わせてもらって、ピッチングを受けてもらって。自分の持ち味は真っすぐなので、それを生かせるように準備してきました。みんなにいろいろと手伝ってもらって、シート打撃で実戦もやらせてもらっていたので、それが生きたのかなと」
球団の厚意により、練習施設を使用できたことで調整がうまくいったのは間違いないのだろう。だが、トライアウトを受験する選手に球団施設の使用許可を与えている球団はオリックスだけではない。オリックスの4投手が力を発揮した背景には、彼らの内面に潜む熱い思いもあったのだろう。
昨年のリーグ最下位からわずか1年でリーグ優勝を飾る快挙に沸くなか、自身は戦力外通告を受けてチームを去る。しかも、オリックスはリリーフ陣にウィークポイントを抱えているというのに、4投手ともリリーフタイプである。今季は金田のみ9試合に一軍登板したが、神戸、荒西、吉田一は一軍登板のチャンスすらなかった。
選手としてのプライドは切り裂かれたに違いない。施設を使わせてくれた球団、調整に協力してくれた仲間への感謝の念は強い。それでも、トライアウトまでは自身の誇りと意地をかけた感情が渦巻き続けたのではないか。それが、最高気温10度という劣悪なコンディションでの好パフォーマンスにつながったように思えてならなかった。
【27歳・神戸文也はトライアウト最速の148キロをマーク】
オリックス右腕四人衆の一人ひとりの投球を振り返ってみよう。
金田はプロ9年目の31歳。関係者に配布された資料の「アピールポイント」の欄にはシンプルに「ストレート」と記された。この日は最速147キロをマークしたが、力でねじ伏せるようなタイプではない。一塁側のボールはわずかにスライドし、三塁側のボールはわずかにシュートする動く球筋。加えて、カットボールやフォークといった変化球の精度も高く、総合力が光った。
この日、対戦した荒木郁也(前・阪神)はストレートで三塁ファウルフライ。藤谷洸介(前・阪神)は133キロのカットボールで空振り三振。今井順之助(前・日本ハム)にはカウント3ボール2ストライクから四球を許したが、しっかりと両コーナーにコントロールした上での内容のある四球だった。
登板後、金田は「今の自分にできることは出せたかな」と手応えを語っている。
金田に続いて登板した神戸は、イキのいいストレートでアピールした。大卒5年目の27歳。2019年には19試合の一軍登板実績があるが、今季はファームで19試合、防御率3.57と結果を残せなかった。
トライアウトでは最速148キロを計測した。130キロ台後半のスピードでストンと落ちるフォークも、決め球になりうる球種。セットポジションの長い間合いで打者をじらして、クイックモーションからの146キロで投手ゴロを打たせるシーンもあった。細かな制球力は乏しいものの、打者3人をノーヒットに抑えて出番を終えた。
【入団3年で戦力外となった荒西祐大は三者連続三振の快投】
荒西はサイドハンド特有の角度と球筋を大いに見せつけた。「アピールポイント」には、「インコース攻めまくります(右打者)」との記載があったが、残念ながら右打者との対戦は1人のみ。それでも、唯一の右打者となった藤谷(阪神)のインコースへシンカーを投げ込み、空振り三振を奪っている。さらに左打者からも2三振を奪い、三者連続三振と最高の結果を残した。荒西は「早めに2ストライクに追い込めてよかった」と振り返る。
2018年のドラフト会議で26歳にしてドラフト3位指名を受けて入団し、今年でまだ3年目。今季は故障に加え新型コロナに感染する不運もあり、本人は「チャンスが全然もらえなかった」と不完全燃焼だった心境を明かした。
社会人時代のスリークオーターからサイドハンドまで角度を下げ、シュート成分の強いストレートやシンカー、横滑りするスライダーと横の変化で勝負する。ブルペンに置いておきたい個性だろう。
4番目に登場した吉田一は、角度とリリース感覚のよさを見せた。結果的にオリックスの単独1位指名になったものの、2013年ドラフト時は松井裕樹(楽天)や大瀬良大地(広島)とともに目玉格と騒がれた逸材だ。プロ入り後は先発投手としては結果を残せなかったものの、リリーフとしては2016年と2018年に21ホールドをマーク。プロ8年間で226試合登板、18勝20敗、55ホールドの実績がある。
この日の球速は最速142キロに留まったものの、しっかりと指にかかったストレートは球速表示以上の加速感があった。高橋大樹(前・広島)のバットを折る三塁ライナーなど、2つのアウトを奪った。四球を1つ与えたように制球はやや荒れ気味だったが、本来はコントロールで苦労するタイプではない。来季で33歳になる年齢とはいえ、衰えは感じさせなかった。
トライアウトを視察した新庄剛志監督(日本ハム)は、気になった選手として金田の名前を挙げている。
「ピッチングのリズムのよさと、真っすぐのキレ。でも、僕はよく知らないんですけど、たぶんここにいるということは、変化球でストライクが取れずにストレートで勝負して打たれてしまうピッチャーだったんじゃないのかな。そこを修正できれば、面白いピッチャーになると思います」
それぞれに個性と持ち味を発揮したオリックスの右腕四人衆。彼らの熱意と能力が誰かの心を動かし、新たな道を拓くことを願ってやまない。