前日に今季初勝利を飾り、勝ち点へ大手をかけた立大。第1戦同様、田中誠(コ2=大阪桐蔭)と熊谷(4年=平塚学園)の両投手の投げ合いで始まった試合は、打線が峯本(コ3=大阪桐蔭)と笠松(コ4=大阪桐蔭)の適時打で序盤2回までで2得点。投げては田…

前日に今季初勝利を飾り、勝ち点へ大手をかけた立大。第1戦同様、田中誠(コ2=大阪桐蔭)と熊谷(4年=平塚学園)の両投手の投げ合いで始まった試合は、打線が峯本(コ3=大阪桐蔭)と笠松(コ4=大阪桐蔭)の適時打で序盤2回までで2得点。投げては田中誠が散発1安打の好投で公式戦初完投初完封初勝利をつかんだ。初物づくしの投球は、高校の兄貴分がくれた援護を守り切る勝利でもあった。この勝利で、立大は今季初カードで貴重な勝ち点1。悲願の優勝へ--。無敗で開幕ダッシュに成功した 。

137キロ、外角低め、ストライクゾーンギリギリへの直球。プレイボールの合図とともに彼は思い切りよくその左腕を振り切った。前々日の開幕戦で先発するも、5回4失点。試合後にビデオで自身の投球を振り返り、「球が真ん中に集まっていて、本当に情けない投球をしてしまった」と自らの投球を反省。この日は低めに球を集めることを念頭に置いていた。初回、二死から直球で四球を出すも、牽制でランナーを誘いだし無失点。2回以降もテンポの良い投球で法大打線から凡打の山を築いていく。

開幕戦から復調を見せた左腕に打線も奮起する。初回、先頭の寺山(社3=神戸国際大附)が法大先発・熊谷の初球の変化球を右前へ運ぶと、得点圏までランナーを進め打席は笠松。こちらも同じく変化球を捉え打球は左中間で弾んだ。幸先よい先制点の奪取に成功する。2回にもこの日2番に抜擢された峯本が適時打を放ち、2点のリードを手に入れた立大。しかし、ここから試合は法大2番手・長谷川(4年=聖望学園)と田中誠の投手戦となる。

速いテンポで投げ続ける左腕に、バックも好プレーで応える。4回、先頭の相馬(2年=健大高崎)の鋭い打球を三塁手の笠松が好捕。ヒット性の打球をアウトにとると、7回には熊谷(コ4=仙台育英)も強肩で打者をアウトに。笠井(済2=桐蔭学園)も好送球で続き、田中誠もマウンド上で笑顔を見せていた。

スコアボードには両軍ともに「0」が並び、迎えた最終回。ここまでわずか92球の「11」が、ゆっくりとマウンドへ。先頭打者をこの日冴えていた変化球で空振り三振に取ると、開幕戦で自身を苦しめた船曳(2年=天理)を二ゴロに打ち取り二死。最後の打者も難なく打ち取り、初完投初完封初勝利。最後のアウトを確認したとともに、田中誠はベンチから盛大な祝福を受けた。

全27個中15個がゴロアウト。この日の田中誠は打たせてとる投球が光った。無駄球のないテンポの良い投球で、9イニングをわずか1時間55分でまとめ上げた。試合後、溝口監督(90年度卒=湘南)はカードを通じて好投をした投手陣に対し、「嬉しい誤算ですね」と称賛。そして、選手たちは語る。「また自分たちの野球ができるように準備するだけです」(藤野、営2=川越東)。「1戦1戦全力で戦っていかなければならない」(熊谷)。貴重な勝ち点を獲得した立大であるが、今季とる勝ち点はこれだけでは終わらない。次週以降も続く長い戦いに向け、勝って兜の緒を締めた。


(4月17日・川村健裕=文)