12月12日、阪神競馬場でGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。 このレースは2歳牝馬による日本…
12月12日、阪神競馬場でGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ(芝1600m)が行なわれる。
このレースは2歳牝馬による日本唯一のGⅠレース。昨年の勝ち馬ソダシは今年、無敗のままGⅠ桜花賞を制覇した。さらに過去の勝ち馬を遡っていくと、レシステンシア、ダノンファンタジー、ラッキーライラック、ソウルスターリング、メジャーエンブレムと、近年の勝ち馬は3歳以降もGⅠ戦線で活躍を見せている馬ばかり。今後のためにもしっかり見ておくべきレースだ。
今年の出走馬で筆者が注目したいのはナミュール(牝2歳/栗東・高野友和厩舎)だ。

「出世レース」の赤松賞を勝利したナミュール
本馬は9月の新馬戦(中京/芝1600m)でデビュー勝ちし、約2カ月後の前走・赤松賞(東京/芝1600m)で2勝目を挙げてここに臨む。その赤松賞の走りが圧巻だった。前半3F35.9秒のややスローな流れを、やや出遅れ気味のスタートから後方を追走。直線で外に出されてからの上がり3Fは33秒0というすばらしい瞬発力で、ゴール前では手綱を抑える余裕も見せながら、2着に1馬身3/4差をつけて快勝した。勝ちタイム1分33秒8もそうだが、勝ち馬としての上がり3F33秒0はレース史上最速タイムだった。
赤松賞は出世レースとしても有名で、昨年の勝ち馬アカイトリノムスメは今年のGⅠ秋華賞(阪神/芝2000m)を勝利。一昨年の勝ち馬シャインガーネットも昨年のGⅢファルコンS(中京/芝1400m)を勝利している。2009年の勝ち馬でアカイトリノムスメの母でもあるアパパネは、その後に阪神JFを勝ち、翌年は桜花賞、オークス、秋華賞も勝って「牝馬三冠」を達成した。好内容で赤松賞を勝ったナミュールには、今後の出世も大いに期待できる。
血統も魅力的だ。父ハービンジャーは、GⅠヴィクトリアマイル勝ち馬のノームコア、GⅠマイルチャンピオンシップ勝ち馬のペルシアンナイトなど、マイルのGⅠ馬も出しているが2歳GⅠは未勝利。しかし、今年の2歳馬は本馬の他にもGⅢ新潟2歳S(新潟/芝1600m)で2着のアライバル、紫菊賞(阪神/芝1800m)を勝利したリブーストなど素質馬が目立っており、"当たり世代"になりそうな雰囲気だ。
牝系は、母サンブルエミューズが2歳9月の芙蓉S(中山/芝1600m)の勝ち馬で、阪神JFは8着に敗れたものの、3歳1月のGⅢフェアリーS(中山/芝1600m)で3着に入ったように早い時期から重賞戦線で活躍していた。叔母には、この秋に米国のGⅠBCディスタフを勝ち、日本調教馬初のダート米GⅠ勝利という歴史的快挙を果たしたマルシュロレーヌがいる"旬"の血統。さらに曽祖母キョウエイマーチは桜花賞馬で、その息子トライアンフマーチは皐月賞2着と、クラシックで実績を残している。
ナミュールの母・サンブルエミューズの父であるダイワメジャーは極めて2歳戦に強い血統で、2015年にはディープインパクトを抑え、2歳リーディングサイアーに輝いている。このレースも2015年のメジャーエンブレム、2019年のレシステンシアで2勝。2歳戦に実績のないハービンジャー産駒ながら、ナミュールがこの時期から強い競馬を見せているのはダイワメジャーの血のおかげだろう。
ちなみに、レシステンシアもメジャーエンブレムも母系に持つダンチヒは、ナミュールの4代父。レシステンシアは同じデインヒル系で、ナミュールは同馬を逆にしたような配合でもある。マルシュロレーヌのBC制覇という追い風もあり、3連勝で2歳女王の座に就く走りに期待する。
もう1頭は持ち込み馬のダークペイジ(牝2歳/栗東・吉村圭司厩舎)を挙げておきたい。現在、アイルランドで繋養されている父ダークエンジェルは、イギリスの2歳GⅠミドルパークS(芝6F)勝ち馬。日本にはあまり産駒が入っていないが、9頭出走して5頭が勝ち上がり、本馬の他には現3勝のシュバルツカイザーが出ている。
産駒はスプリンターも多いが、現2歳のエンジェルブルーはフランスでGⅠジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)、GⅠクリテリウムアンテルナシオナル(芝1600m)とGⅠを連勝。同馬とダークペイジは、母系にガリレオとデインヒルを持つ血統構成が似ており、期待できそうだ。
以上、今年の阪神ジュベナイルフィリーズは、ナミュール、ダークペイジと、魅力の血統を持つ2頭の無敗馬に注目したい。