東京五輪銀メダルに大貢献、高田真希が貫くバスケットボール愛 心の底からバスケットボールが好き――。そんな純粋な想いが言葉…

東京五輪銀メダルに大貢献、高田真希が貫くバスケットボール愛

 心の底からバスケットボールが好き――。そんな純粋な想いが言葉の端々から溢れ出るのは、女子日本代表主将として東京五輪で銀メダルを獲得した髙田真希だ。

 所属するWリーグのデンソーアイリスでは今季、主将の稲井桃子を支える副将を拝命。11月7日の新潟アルビレックス戦では18得点を挙げ、Wリーグ通算得点記録で歴代トップに立った。14年目のベテランは、五輪後に高まった女子バスケットボール界への注目を持続させるために「まずはアスリートとしてプレーで魅せていくのは最低限必要なこと」と話していたが、まさに有言実行。ディフェンスをかいくぐりながらシュートを決めたり、絶妙な角度から3ポイントシュートを決めたりする姿に魅せられるファンは多い。

 コート上では気迫あふれるプレーが印象的だが、試合終了の合図を聞けば、その顔に浮かぶのは人懐こい笑顔だ。「やっぱり純粋にシュートが入った時の喜びは、自分自身でプレーしていても楽しいと思いますし、スピード感や攻守の切り替えの速さ。これも魅力の一つかなと思います」と語る姿は、バスケットボール愛の塊だ。

「女子バスケットボールをもっと多くの人に知ってもらいたいし、広めたい」と、2020年4月6日には株式会社TRUE HOPEを設立。オンラインサロン「髙田真希 女子アスリート社長室」を開設したり、YouTube「髙田真希チャンネル」で発信したり、銀メダル獲得後は積極的にメディア出演したり。そこには「普段バスケットを見ない方にも『こんな選手がいるんだ。試合を見てみたいな』と思っていただけるきっかけになる」という想いが込められている。

日本では稀な“二足のわらじ”「将来を考えて行動することも大事」

 現役選手ながら代表取締役社長。日本では異色の“二足のわらじ”を履くが、「自分のやりたいことをストレスなくできる体制を整えただけなので、本当に楽しめているし、苦ではありませんよ」と笑顔を浮かべる。思い切った人生の選択をした背景には、髙田の確固たる「キャリア観」がある。

「アスリートの引退後は“セカンドキャリア”と言われますが、自分自身は人生を一つのキャリアだと考えて『将来こういうことをしたいから、今の時点ではこれをやっておいた方がいい』と逆算しながら過ごしている部分がある。なので、引退してから『何をやろうかな』とイチから考えるのではなく、今からできることを積み上げていきたいんです。自分は引退した後もバスケットボールやスポーツに携わっていたいと思うので、今も楽しみながら、そして将来を楽しむために会社を立ち上げた部分が大きいですね」

 海外では、現役中から競技と真剣に向き合う一方で、引退後の人生に向けて事業を手掛けたり、学校に通ったり、他競技・他業種との交流を深めたりするアスリートは多い。日本では、これまで現役中は競技にのみ専念することが美徳とされてきたが、その傾向も少しずつ変化。競技人生を見つめる目と、やや俯瞰した位置から人生そのものを見つめる目を合わせ持つことが大切だという声も多く聞かれるようになった。そんな中、トップアスリートの髙田が始めた取り組みは、新しいモデルケースともなり得る。

「今まで先輩方を見てきた中で感じたのが、プロではなく実業団という形で競技を続けていると、引退した途端に今までバスケットボールをやってきた人が一般職に就いたり事務作業をしたりということになる。なかなか慣れないことですし、年齢を重ねた中で学ばなければいけないこともたくさんあって、色々な意味で難しいんですよね。

 頭がいっぱいになってしまったり、時には仕事に行きたくなくなってしまったり。他競技でもそういう姿をたくさん見てきたので、自分は引退後も本当にやりたいことを仕事にできたらいいなと思ってきました。もちろん、今、自分が置かれている状況と真剣に向き合うことも大切ですが、将来を考えて行動していくこともまた、すごく大切なことだと思います」

増やしていきたい“触れ合いの場”「人生における何かのきっかけに」

 東京五輪を通じて「スポーツは社会に勇気や希望を届けられる。人々を魅了する力がある」と実感したという髙田は、現役女子バスケットボール選手としての活動を通じて、そしてTRUE HOPEの活動を通じて、多くの人々と触れ合う機会を増やしていきたいと話す。

「コロナ禍の影響で、人と人とが触れ合う機会が減ってしまいました。多くの方に女子バスケットボールを知ってもらい、応援してもらうためには、状況が許す範囲で触れ合う機会を増やしていくことが大切だと思っています。一緒の場や時間を共有することで親近感が沸いて、試合を見に行こうという気持ちに繋がるかもしれない。子どもたちであれば、その先にバスケットボールをやるかやらないかは別として、一人の人として人生における何かのきっかけになってくれればうれしいですし」

 昨年はリアルな触れ合いが制限された中でも、インターハイや全国中学校体育大会が中止されたことを受け、オンラインイベントを開催。「目指してきた大会がなくなってしまうのは、選手にとって本当に大きなこと。コロナ禍でもこういう経験ができたという何かを持ってもらいたいと思いました」と、中高生とオンライン上で交流する機会を設け、笑顔になれる思い出作りをサポートした。

「自分は本当にバスケットボールが好き。自分が楽しいと思ってやっていることを、色々な方々も楽しんでいただけたら、これほどうれしいことはありませんよね」

 生粋のバスケットボール愛を世に広めるため、“伝道師”髙田真希は歩み続ける。(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)