米経済誌のForbesは毎年テニス選手の長者番付トップ10を発表しているが、伊ニュースサイト UBI Tennisが20…
米経済誌のForbesは毎年テニス選手の長者番付トップ10を発表しているが、伊ニュースサイト UBI Tennisが2021年シーズンに最も多くの賞金を稼いだ10人の男子選手を紹介している。【関連記事】2021年女子の獲得賞金はバーティがトップ、ラドゥカヌは6位に。大坂は?
今年、ATP(男子プロテニス協会)の選手の中で賞金総額が100万ドル(約1億1300万円)を超えたのは37人。これはWTA(女子プロテニス協会)よりも9人多い。その中でシングルスよりもダブルスで獲得した賞金の方が多かった選手が一人いる。ダブルス世界ランキング8位のピエール ユーグ・エルベール(フランス)だ。彼はシングルスの賞金が44万9421ドル(約5100万円)だったのに対して、ダブルスではシングルスの1.4倍近い61万9550ドル(約7000万円)を稼ぎ、34位に入っている。
また、11人の選手が200万ドル(約2億2600万円)を突破。11位のフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)は今季214万4102ドル(約2億4228万円)を手にしたが、8万9097ドル(約1000万円)の差で惜しくもトップ10入りを逃した。日本人のトップである錦織圭(日本/日清食品)は104万4856ドル(約1億1800万円)を稼いで36位につけている。それでは栄えあるトップ10に入った選手たちを見てみよう。
第10位 ヤニク・シナー(イタリア)
賞金総額:223万3199ドル(約2億5200万円)
ツアー成績:49勝22敗/優勝4回
年末ランキング:10位
20歳のシナーはトップ10の中で最年少。2018年にプロに転向してから総額362万3450ドル(約4億900万円)を稼いできたシナーが今年手にした賞金はキャリア全体のおよそ6割に当たる。2021年に躍進したシナーはATP250大会で3回優勝を飾り、「ATP500 ワシントン」のタイトルも獲得。さらに、「ATP1000 マイアミ」では当時世界37位だったフベルト・フルカチュ(ポーランド)に敗れたものの、初のマスターズ大会決勝進出を果たした。その一方で、グランドスラムでは「全仏オープン」でラファエル・ナダル(スペイン)に、「全米オープン」ではアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)に敗れて、いずれも4回戦敗退に終わっている。それでも、2008年のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)以来、トップ10でシーズンを終えた最年少の選手となった。
第9位 フベルト・フルカチュ(ポーランド)
賞金総額:231万3289ドル(約2億6100万円)
ツアー成績:36勝23敗/優勝3回
年末ランキング:9位
今年、フルカチュはキャリアで初めてのことをいくつか経験した。昨年まではATP250大会で1回優勝しただけで、グランドスラムでは2週目に残ったこともなかった。それが一変したのは「ATP1000 マイアミ」。第26シードだったにもかかわらず、準々決勝で当時世界5位のステファノス・チチパス(ギリシャ)を、準決勝では世界8位のアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を破り、トップ10選手相手に初の連勝を飾った。その3ヶ月後には「ウィンブルドン」で準決勝に進出と、ポーランド人男子選手として2013年以来の偉業を達成。「ATP250 デルレイビーチ」と「ATP250 メス」のタイトルも獲得し、トップ10でシーズンを終えた初めてのポーランド人男子選手という称号も手にした。
第8位 キャスパー・ルード(ノルウェー)
賞金総額:231万4629ドル(約2億6200万円)
ツアー成績:57勝17敗/優勝5回
年末ランキング:8位
ノルウェーの「クレーキング」として開花したのがルード。「ATP250 バスタッド」「ATP250 グスタード」「ATP250 キッツビューエル」を制して3週間連続優勝という、2011年の元世界王者アンディ・マレー(イギリス)以来となる偉業を達成。今季獲得した5タイトルのうち4つはクレーコートの大会だが、ハードコートでも結果を残している。「全豪オープン」でグランドスラム初の4回戦進出、10月の「ATP250 サンティアゴ」ではハードコート大会初優勝。今年出場した6つのマスターズ大会のうち5つで準々決勝以上に進出と、安定性したパフォーマンスを見せた。トップ10でシーズンを終えたのは、ノルウェーの男子選手として初となる。
第7位 キャメロン・ノリー(イギリス)
賞金総額:262万3881ドル(約2億9600万円)
ツアー成績:52勝25敗/優勝2回
年末ランキング:12位
年末ランキングでは一人だけトップ10圏外のノリーだが、同6位ながら賞金ランキングで17位にとどまったナダルに代わってランクイン。シーズン初めは世界74位だったが見る見るうちに順位を上げ、イギリスのトップ選手となった。今年、3つの異なるサーフェスで行われた6つの大会で決勝に進出し、「ATP250 ロスカボス」でツアー初タイトルを獲得。シーズン終盤にはグランドスラム以外の大会として最も規模の大きい「ATP1000 インディアンウェルズ」で優勝した。自己最多のシーズン52勝を記録し、「ATP250 リヨン」では当時世界4位だったドミニク・ティーム(オーストリア)、「ATP250サンディエゴ」では当時世界5位のルブレフを下している。
第6位 マッテオ・ベレッティーニ(イタリア)
賞金総額:323万1908ドル(約3億6500万円)
ツアー成績:41勝12敗/優勝2回
年末ランキング:7位
ベレッティーニは母国で開催された「Nitto ATP ファイナルズ」を怪我によって途中で辞退するという残念な形でシーズンを終えた。しかしながら、今年は飛躍の年だったと言っていいだろう。強烈なサーブとフォアハンドを武器とする彼は特にグラスコートで活躍。「ATP500 ロンドン」で優勝を飾ると、続く「ウィンブルドン」ではグランドスラム初の決勝進出を果たした。さらにクレーコートでも、「ATP1000 マドリード」でマスターズ大会の決勝に初めて進み、「ATP250 ベオグラード」を制した。負傷により「全豪オープン」は途中で去ることになったが、グランドスラムの残る3大会で準々決勝以上に進んでいる。
第5位 アンドレイ・ルブレフ(ロシア)
賞金総額:333万1378ドル(約3億7600万円)
ツアー成績:53勝23敗/優勝1回
年末ランキング:5位
ルブレフが今季手にしたシングルスタイトルは3月の「ATP500 ロッテルダム」のみと、トップ10の中で唯一、複数タイトルを獲得していない。「ATP1000 モンテカルロ」「ATP1000 シンシナティ」「ATP500 ハレ」で決勝に進出したが、いずれも準優勝に終わっている。グランドスラムでは9勝4敗の成績で、「全豪オープン」のベスト8が最高成績だった。一方、トップ10の中ではダブルスでの賞金が最も多く、その額は19万9911ドル(約2300万円)。アスラン・カラツェフ(ロシア)と組んで「ATP250 ドーハ」で優勝、「ATP1000 インディアンウェルズ」でも準優勝を飾った。また、賞金は手にしていないものの、アナスタシア・パブリウチェンコワ(ロシア)と組んだ「東京オリンピック」の混合ダブルスでは金メダルに輝いている。
第4位 ステファノス・チチパス(ギリシャ)
賞金総額:357万9155ドル(約4億400万円)
ツアー成績:55勝19敗/優勝2回
年末ランキング:4位
「Nitto ATPファイナルズ」で肘を痛めて途中で棄権することになったものの、「ATP1000 モンテカルロ」と「ATP250 リヨン」で優勝したチチパス。「全豪オープン」と「全仏オープン」を含む9つの大会で準決勝以上に進み、特にシーズン前半は5大会で決勝に進出と好調。「全仏オープン」で初めてのグランドスラム決勝進出を果たし、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)を相手にフルセットの激闘を戦った。8月にはキャリアハイの世界3位に到達。しかし、シーズン後半は決勝に進むことも、トップ10選手から勝利することもできなかった。
第3位 アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
賞金総額:642万344ドル(約7億2500万円)
ツアー成績:59勝15敗/優勝6回
年末ランキング:3位
金メダルに輝いた「東京オリンピック」を含む優勝6回はトップ10最多のズベレフ。「Nitto ATPファイナルズ」で優勝し、一気に214万3000ドル(約2億4200万円)の賞金を積み上げた。グランドスラムでこそまだ無冠だが、この一年で「ATP1000 マドリード」「ATP1000 シンシナティ」「ATP500 アカプルコ」「ATP500 ウィーン」も制し、ドイツ人選手としては1994年のボリス・ベッカー以来にトップ3以内でシーズンを終えることに成功。また、ジョコビッチから2勝を挙げるなど、トップ10選手を相手に12勝8敗と勝ち越している。
第2位 ダニール・メドベージェフ(ロシア)
賞金総額:748万1271ドル(約8億4500万円)
ツアー成績:63勝13敗/優勝4回
年末ランキング:2位
メドベージェフは今年の賞金の3分の1以上を一つの大会で得ている。それは、ジョコビッチを下してグランドスラム初優勝を成し遂げた「全米オープン」で、250万ドル(約2億8300万円)を手にした。トップ10のうち、シーズンを通して250万ドル以上を稼いだのはほかに6人しかいない。今季は「ATP250 マルセイユ」「ATP250 マヨルカ」「ATP1000 トロント」で優勝、「全豪オープン」「ATP1000 パリ」「Nitto ATPファイナルズ」で準優勝を果たしている。ツアー最多の63勝を挙げたメドベージェフのトップ10選手との戦績は10勝5敗。
第1位 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)
賞金総額:910万547ドル(約10億2800万円)
ツアー成績:55勝7敗/優勝5回
年末ランキング:1位
今シーズンは13大会にしか出場していないジョコビッチだが、グランドスラムでの活躍により最も稼いだ選手の栄誉に浴することに。グランドスラムでの3度優勝でおよそ600万ドル(約6億7800万円)を稼いだ。さらに、5月の「ATP250 ベオグラード」と「ATP1000 パリ」でも優勝。今年の活躍により、賞金総額では史上最も稼いだテニス選手としての地位をさらに強固なものとしている。これまでの賞金総額は1億5475万6726ドル(約174億8800万円)に達しており、次点のロジャー・フェデラー(スイス)に2400万ドル(約27億1200万円)以上の差をつけている。
※為替レートは2021年12月7日時点
(テニスデイリー編集部)
※写真は左からメドベージェフ、チチパス、ズベレフ、ベレッティーニ
(Getty Images)