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――ちなみにこれは自身も試合でも、他の方でも大丈夫なのですが、マンモス選手が選ぶFMWベストバウトは何ですか

マンモス:大仁田さんとハヤブサさんの試合ですね。FMWであれ以上のベストバウトはないと思います。(1995年5月5日川崎球場で行われた大仁田厚と愛弟子・ハヤブサの一騎打ち。この試合は世界ブラスナックル選手権試合&ノーロープ有刺鉄線電流地雷爆破時限爆弾デスマッチという過酷なルールで対戦することになった。死闘の末、大仁田がサンダーファイヤーパワーボムでハヤブサを撃破している)

――この試合は大仁田さんの二回目の引退試合。対戦相手は、将来のFMWを背負うエース候補筆頭のハヤブサさん。FMW創始者と新たな英雄による王位継承戦でした。

マンモス:あんなにストーリー性もあって、バトンを渡すという流れもあって、「俺を復帰させるなよ!」という大仁田さんの変なアンチテーゼもありましたね(笑)。

――ハハハ(笑)。実は大仁田さんの引退試合はターザン後藤さんとの対戦が決まっていましたが、後藤さんが直前になって突如離脱したことにより、東京プロレスの石川敬士さんに対戦相手が変わります。しかし、海外遠征から帰国したハヤブサさんが直訴し、石川が譲ったことにより対戦カードがさらに変更になって大仁田さんとハヤブサさんの一騎打ちが決まった背景がありました。

マンモス:あれ、ハヤブサさんからよく話していたのですが、大仁田さんは本当に石川さんと引退試合しようとしていたらしいんですよ。それでハヤブサさんが強引に止めて、対戦カードが変わったそうです。

――大仁田さんと石川さんの電流爆破でも、プロレスマニアは喜ぶかもしれませんが、やっぱりFMWの歴史を考えると大仁田さん引退試合の相手は後藤さんがいないのなら、ハヤブサさんかなと思います。ライバルのミスター・ポーゴさんとは引退ツアーでかなり対戦されて、決着戦もやっていたんですよ。

マンモス:そうですね。あと大仁田さんと天龍さんの試合も面白かったです。(1994年5月5日川崎球場で行われた大仁田厚VS天龍源一郎のノーロープ有刺鉄線電流爆破金網デスマッチは、プロレス史に残る名勝負となり、最後は天龍がパワーボムで勝利。敗れた大仁田は試合後に「一年後の引退」を発表している)

――天龍さんVS大仁田さんの「王道」VS「邪道」の一戦ですね

マンモス:天龍さんはあの試合でかなり嫌な思いをされたと聞きました。

――天龍さんのお気持ちは分かります。プロレス界の横綱である天龍さんが電流爆破のリングに上がるのは相当な覚悟を持って上がって見事に勝利されたわけじゃないですか。なのに試合後の新聞や雑誌は「大仁田、一年後引退」の話題に持っていかれたんですよ。「やってられない!勝った俺は何だったんだ!?」という気持ちになったと思いますよ。

マンモス:そうですよね。

――2002年にFMWは崩壊しますが、その後ターザン後藤さんが旗揚げしたスーパーFMW、超戦闘プロレスFMW、FMW-Eという団体が誕生しています。未だにFMWという名前を題した団体は生まれては消滅しています。この現象についてマンモス選手の率直な感想をお聞かせください。

マンモス:大仁田さんがいる限りにFMWは死なないんですよ。

――大仁田さんはよくマイクで「FMWは絶対潰さん!」と言ってましたけど、もしかしたらその言霊は今も続いているのかもしれないですね。

マンモス:FMWって凄いブランド力があるんですよ。FMWの本筋は大仁田さんなんでしょうね。それが逆に悲しい部分もあって…。大仁田さんが去って頑張ってきた選手やスタッフはあまり言われないんですよ。

――結局、超戦闘プロレスFMWやFMW-Eもそうですが、大仁田時代のFMWを継いでいると思いますね。新生以降のFMWはあまりフューチャーされていないということですね

マンモス:その通りです。ただFMWという名前を消さないのなら、大仁田さんの名前は欠かさないですね。

――現在はFMW-Eで電流爆破デスマッチは継続されています。あと最近は蛍光灯電流爆破バットまで誕生しています。近年は超花火とかで、有刺鉄線電流爆破バットを編み出してから、全国津々浦々で電流爆破をやれるようになりました。今は電流爆破乱発の時代ですよ(笑)。

マンモス:ハハハ(笑)。自分が観ていた時のFMWの電流爆破は最終決着戦というイメージが強かったんですよ。だけど今はどこまで電流爆破やりそうじゃないですか。

――これからも大仁田さんがいる限り、今後も電流爆破を残り、FMWを名乗る団体は出てきそうですね。ここで最後の質問をさせていただきます。マンモス選手にとって、FMWとは何ですか?

マンモス:FMWは…自分のプロレスのすべてですね。青春であって、自分のすべてなんです。今はFREEDOMSのマンモス佐々木ですが、今も”FMW魂”は忘れていません。

――素晴らしいです!そんなマンモス選手がいる限り、FMW魂は不滅ですね!今回の企画にご協力していただき、また長時間の取材にも快く応じてくださり本当にありがとうございました!

マンモス:ありがとうございました!

 FMW崩壊後に紆余曲折を経て、現在マンモスはプロレスリングFREEDOMS所属レスラーとして活躍中である。彼は自身のテーマ曲に、新生FMW時代に誕生した「FMWのテーマ」を使用している。そこには「昔から見ていただいているファンの方々がこの曲を会場で聞いて、少しでも当時のFMWを思い出してほしい。それが志半ばで亡くなっていった先輩達の無念を晴らすことに繋がれば…」という彼の強い思いとFMW愛がある。
 確かに大仁田厚がいる限り、FMWは死なないのかもしれない。だが、FWMの歴史を彩ったのは大仁田だけではない。多くの選手やスタッフ、そしてFMWを応援するファンがいたからこそ、FMWは伝説のインディー団体と成り得たのだ。
 もしFMWが崩壊してなければマンモスはFMW最強モンスターとして君臨し、頂点を極め、プロレス界全体にも轟くレスラーになっていたのかもしれない。だが時代がそれを許さなかった。
 それでも2000年以降から2002年の崩壊まで、マンモスのポテンシャルと圧倒的爆発力には大いなる期待を抱かせていたという記憶を共有している人達がいることも忘れてはいけない。
 不滅のFMW魂を持つ男・マンモス佐々木がリングで闘い続ける限りは、FMWは生き続けているのかもしれない。あの頃の郷愁と共に…。

(「俺達のFMW マンモス佐々木編」完結)

<インフォメーション>

マンモス佐々木選手が所属するプロレスリングFREEDOMSの日程等、詳細はプロレスリングFREEDOMS Webサイトをご覧ください
マンモス佐々木 Twitter
プロレスリングFREEDOMS Twitter
写真提供/プロレスリングFREEDOMS

取材・文/ジャスト日本
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【ジャスト日本】 プロレスやエンタメを中心にさまざまなジャンルの記事を執筆。2019年からなんば紅鶴にて「プロレストーキング・ブルース」を開催するほか、ブログやnoteなどで情報発信を続ける。著書に『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.1』『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.2』『インディペンデント・ブルース』