日本各地に、将来的なJリーグ入りを目指すクラブは多い。Jリーグの後押しで裾野は広がっているが、問題点もある将来的なJリ…

 日本各地に、将来的なJリーグ入りを目指すクラブは多い。Jリーグの後押しで裾野は広がっているが、問題点もある将来的なJリーグ入りの「第一関門」と言える大会を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■2位に滑り込んだ伊勢志摩

 決勝ラウンドの最終日の2試合目は、勝点4のFC.ISEーSHIMA(三重県、以下「伊勢志摩」)と勝点3のおこしやす京都の顔合わせ。1試合目でクリアソン新宿の優勝はすでに決まってしまっていたが、2試合目は勝った方が2位。引き分けの場合は伊勢志摩が2位という“直接対決”だった。

 そして、「勝たなければいけない」立場の京都が、両サイドからのクロスを使って90分を通じて攻め続ける展開となり、シュート数も11本対3本と大きく上回ったものの、シュートが枠をとらえる回数が少なく、結局スコアレスドローに終わり、90分をほぼ11人で(メンバー交代は90分の1人のみ)守り切った伊勢志摩の2位が確定。伊勢志摩はJFLの16位のチーム(未定)との入替戦を戦うことになった。

 伊勢志摩は、C新宿との試合でもスコアレスドローに持ち込んでおり、3試合を通じて得点はFC徳島戦の1ゴールのみ。割り切って戦ったことで2位に滑り込んだ形だ。

◇最終順位
      勝 分 敗 得失点 勝点
 C新宿  2 1 0  +2  7
 伊勢志摩 1 2 0  +1  5
 お京都  1 1 1  +1  4
 FC徳島 0 0 3  -4  0

■監督は「レフティーモンスター」

 伊勢志摩は、三重県出身のJリーガー、中田一三(横浜フリューゲルス、大分トリニータ、ジェフ市原など)が前身であるピクシーBCを引き継いで2013年に創設したチームで、2015年に東海リーグ2部に昇格し、翌2016年から同1部で戦っている。現在の監督は、中田の四日市中央工業高校の同級生で、元日本代表の“レフティーモンスター”小倉隆史(2018年から理事長)が務めている。

 こうして1勝2分0敗という粘り強い戦いでJFL挑戦権を獲得した伊勢志摩だったが、実は伊勢志摩は東海社会人リーグ1部の優勝チームではなかったのだ。

 今年度の東海リーグは新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった試合が多く、消化試合数もバラバラなのだが、4勝1分0敗(勝点13)の藤枝市役所が1位、そして3勝1分1敗のFC伊勢志摩が2位という順位で確定となった。

 では、なぜ伊勢志摩は全国CLに出場できたのか?

 それは、地域リーグは全国に9つ存在するのに、地域CLには各リーグ優勝チーム以外に3チームを加えた12チーム参加の形式で開かれているからだ。

 12チームが4チームずつ3つのグループに分かれて1次ラウンドを戦い、各組の1位と2位3チームの中の1チームが決勝ラウンドに進む(C新宿は1次ラウンドでは京都に敗れて2位となったが、他のグループの3位チームより勝点で上回って決勝ラウンドに進んだ)。

■レギュレーションを複雑にする独特のルール

 では、各地域リーグ優勝チーム以外の3チームはどのように選ばれるのだろうか?

 今シーズンの地域CLのレギュレーションはこうなっている。

 まず最優先は「全社枠」。つまり、各地域リーグの4位以内のチームでノックアウト式トーナメントで行われる全国社会人選手権大会のベスト4に進出した3チームに出場権が与えられる。つまり、地域リーグで4位の場合でも出場権が得られることがあるのだ。

 この「全社枠」でも出場チームが12に達しなかった場合には、Jリーグから「100年構想クラブ」として認定を受けたクラブの中で地域リーグで2位に入ったクラブに出場権が与えられる。

 そして、それでも出場チーム数が12に達しない場合には、「輪番制」と呼ばれるシステムで地域リーグ2位のチームが選ばれることになる。「輪番」と呼ばれるのは「関東→関西→九州→東海→中国→北信越→東北→四国」という順序が予め決まっているからだ。

 2021年度の場合は、全国社会人選手権大会が新型コロナウイルス感染症の影響で昨年に続いて中止になってしまった。そして、「100年構想クラブ」で地域リーグ2位に入ったクラブがなかったのだ(C新宿も「100年構想クラブ」だが、関東リーグで優勝した)。

 そこで、「輪番制」枠として3チームに出場権が与えられたのだ。昨年度の地域CLでは関東、関西、九州の各リーグの2位チーム(ブリオベッカ浦安、ラランジャ京都、J.FC MIYAZAKI)に出場権が与えられていたので、今年は九州の次の東海、中国、北信越の各リーグの2位(伊勢志摩、FCバレイン下関、アルティスタ浅間)に出場権が与えられたのだ。

 伊勢志摩は、たまたま東海リーグに輪番制が適用される2021年度に2位に入ったことで全国CLの出場権を獲得し、そしてJFLへの挑戦権を得たのである。なんと幸運なことだろうか!

 実に複雑で、不思議なレギュレーションといえる。つまり、場合によっては(全国社会人選手権大会でベスト4に進出すれば)地域リーグ4位のチームでもJFL昇格が可能であり、また、輪番制という不思議なシステムで2位チームにも出場資格が与えられるのである。

 この大会が、単なる地域リーグ加盟チームによる全国選手権大会であるなら、それでもいいのだろうが、地域CLはJFLへの昇格を決める大会なのだ。もっと合理的なシステムに変更すべきなのではないだろうか。

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