9年前、同級生である竹下幸之介の戦う姿を見てプロレスラーを志した上野勇希。12.5後楽園ホール「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ」優勝決定戦のリングで竹下と相対する。強豪ひしめくAブロックを勝ち抜いた上野と、同じくBブロックを勝ち上…

9年前、同級生である竹下幸之介の戦う姿を見てプロレスラーを志した上野勇希。12.5後楽園ホール「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ」優勝決定戦のリングで竹下と相対する。強豪ひしめくAブロックを勝ち抜いた上野と、同じくBブロックを勝ち上がった竹下。優勝決定戦直前の上野に話を聞いた。

<前編はこちら>

――11.3大田区大会、D王GPが開幕しました。上野選手の初戦は前回覇者の秋山準選手、昨年のD王GP以来、2回目の対戦でしたね。

上野勇希(以下 上野):去年、秋山さんと戦った時の印象は「デカイ・強い・怖い」。とにかく身体が大きいので「どうしたら勝てるのかな」を考えた記憶があります。実は今年10月のD王GP前、静岡で準烈の解散試合があり久しぶりに秋山さんと戦いました。秋山さんと僕はプロレスのキャリアどころか人生経験が違う。組んだ時の体重のかけ方が秋山さんは異常に上手くて、僕はドンドン体力を削られていきます。もちろん年齢や負傷した身体箇所など比較した場合、僕の方が体力では圧倒的に有利だと思うのですが、一瞬一瞬の動きや押さえるべきポイントが秋山さんに及ばなかった。それで「次の対戦では秋山さんを怒らせるくらいしないと爪痕を残せない」と思いました。去年のD王GPは単純に負けている。今年大田区の開幕戦ではどうにかしたいと考え、秋山さんの顔面を叩きました(苦笑)。

【DDTプロレス 樋口和貞】力士時代の悔しさを思い出した

――作戦通り、見事怒らせましたね(笑)。

上野:「秋山準が怒ったこと」はゾクゾクしました(笑)。ある種、勝ち負け以上に大きなテーマでしたから。ただすぐにリング下でボコボコにされました…秋山準を怒らせるもんじゃないと後悔しましたね(笑)。でも試合前勝つことをイメージした時、「秋山さんにドロップキックを放ち、WRを決めれば勝てるかもしれない」と…。そのイメージ通り勝つことができた。それは自分の中で大きかったですね。

――去年敗れた秋山さんに今年は勝つことができた。この1年間の成長を上野さんご自身で感じることができたのではないでしょうか?

上野:去年のD王GPはDDT UNIVERSAL王者として挑んだので「チャンピオンとしての戦い」を意識しました。今年はとにかく「勝ちたい」でしたね。そして大田区はD王GP開幕戦、公式戦が4試合しか行われなかった。だからこの中で「埋もれない試合」をしようとも思っていました。

そして質問の成長ですが…試合には流れがあります。相手との読み合いの中で「一瞬を見逃さないよう」になりました。DDT UNIVERSALの防衛戦を重ねる中で「ここだ!」という嗅覚が付いたと思います。

――Aブロックは秋山さん以外にも火野裕士選手・吉村直巳選手・ボディガー選手と身体の大きい選手が多かったですね。

上野:スーパーヘビー級の選手ばかりでダメージは大きかったですね。だから日頃のケアが大切でしたし、トレーニングでもダメージを抜くようなことをしていました。Aブロックは身体の大きい選手が多い。当然ダメージを受ける。これは想定していたことです。逆に言えば「ノーダメージで勝てることはない」と覚悟を決めて試合に臨むことができました(苦笑)。打撃が良いのかポイントを絞った投げ技が良いのか…それを見逃さなければ勝てるという感覚は強かったし、試合で見極めができていたと思います。

【吉村直巳】HARASHIMAさんとベルトを巻くことに意味がある

――久しぶりに元タッグパートナーである吉村直巳選手と戦いました。

上野:2019年2月(吉村選手の)復帰戦以来ですね。とにかくD王GPの公式戦としても負けたくなかったし1人のレスラーとしても負けたくなかった。上野・吉村という「同期二人の戦い」に気持ちが入りました。負けたことは悔しいけど「悔しい負けではなかった」し、引きずる負けではなかったですね。

――そして公式戦の最後は遠藤哲哉選手。上野選手の言う「一瞬を見逃さなかった」結果の勝利かと。

上野:僕の感覚としては「一瞬を見逃さなかった」閃きというよりは遠藤さんに「引っ張り上げられた」と言いますか。同じユニットになったこともないし、9月の「負け残り8人タッグトーナメント」で僕が佐々木さんに勝ったことでDAMNATIONは解散になりました。僕は張本人ですしThe 37KAMIINAのことを遠藤さんは嫌いらしい(笑)。僕のことを引っ張り上げる要素は0(ゼロ)なんですけど、試合中遠藤さんに「もっと楽しもうぜ」と言われたり「お前はそんなものなのか、もっといけるだろう」と叱咤激励されている気がしました。だから11.21は「閃き」ではなく意地の張り合いでした。遠藤さんに引っ張り上げられた土俵で戦って勝てましたね。

【DDTプロレス 遠藤哲哉】激動の2020年

――それは自信に繋がりますね。

上野:そうですね。でも次は自分から土俵に上がって戦います。しっかりイメージも出来ました。

――そして12.5後楽園で優勝決定戦、竹下幸之介選手と戦います。プロレスを始めるキッカケになった竹下選手の対角線に立ちます。

上野:リーグ戦が始まってから「The 37KAMIINAで優勝決定戦を争いたい」という思いがありました。実際、たけちゃんと優勝決定戦を戦えることはThe 37KAMIINAとして嬉しいし、言ったことが形になり喜ばしいことです。

【DDT 竹下幸之介】4人の戦いなら現在進行形のプロレスが魅せられる!

――同じユニット同士で戦うことにやりづらさは感じますか?

上野:全く感じません(笑)。秋山さんもSNSで呟いてくれましたけど、何がやりづらいのか分からないんですよね。戦う上で相手に遠慮することなんかないというか。

――今年1年、上野選手を拝見しDDT UNIVERSAL王者としての戦いやNOAHとの対抗戦等を通してレスラーとしての成長を感じました。同じように竹下選手もAEWへの遠征やKO-D無差別級王座5度目の戴冠で力を付けています。その成長をぶつけ合える仲間がいるのは素晴らしいですよね。

上野:もっと言うと、ぶつけ合えるようにならなければいけないのが僕だった。実力もキャリアも(竹下選手と)同じステージに上がれていなかった。それが今回Aブロック・Bブロックの戦いを勝ち進んで優勝決定戦という舞台、肩を並べて同じ立場で向かい合える。これまで僕はぶつけていたけど彼は受け止めることが多かった。でも今度は僕も受け止めるし彼も受け止める、僕もぶつけるし彼もぶつける。それが12月5日の優勝決定戦だと思っています。今までお互いぶつけ合えるのを彼は待っていてくれたと思います。

――最後に優勝決定戦を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。

上野:Aブロック公式戦は「優勝するための通過点」というには程遠い大変な試合ばかりでした。そのAブロックを這い上がり、同級生で現在DDTの最高の称号KO-D無差別級チャンピオンの竹下幸之介というレスラーと戦えるのが楽しみです。この戦いを僕自身最高に楽しみたいと思いますので、皆さんも楽しんで観てください!

<終わり>

<インフォメーション>
12.5後楽園ホールでDDT最強決定戦「D王 GRAND PRIX 2021 Ⅱ the FINAL」にて上野勇希選手と竹下幸之介選手の優勝決定戦が行われます。

熾烈なAブロックを勝ち上がり竹下選手の前に立つ上野選手。2021年 最強の称号を手にするのは果たしてどっちか!詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください

また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで生配信されます

上野勇希Twitter
上野勇希 Instagram

取材・文/大楽 聡詞
写真提供/DDTプロレスリング

 

外部リンク

【DDTプロレス HARASHIMA】 CyberFight FESではDDTを昔から観ているファンの方にも届けたかった→https://www.010-sports.jp/archives/2281

【DDTプロレス KING OF DDT 2021】KING OF DDT 2020覇者・遠藤哲哉 vs 前KO-Dタッグ王者 樋口和貞→https://www.010-sports.jp/archives/1562

【DDTプロレス 高尾蒼馬】弱いチャンピオンからベルトを獲り、ストレス発散する→https://www.010-sports.jp/archives/924

【DDTプロレス 男色ディーノ】DDTの本流vsプロレスの本道!→https://www.010-sports.jp/archives/887

【DDTプロレス 彰人】副社長とレスラー、2つの肩書き→https://www.010-sports.jp/archives/768