高木豊の「助っ人」通信簿セ・リーグ編 (パ・リーグ編>>) チームの命運を大きく左右する助っ人外国人。今季は新型コロナウ…
高木豊の「助っ人」通信簿
セ・リーグ編 (パ・リーグ編>>)
チームの命運を大きく左右する助っ人外国人。今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響で助っ人外国人の合流が遅れるなど、戦力が整わないうちに開幕を余儀なくされるチームも多かったが、助っ人たちはどのくらいチームに貢献できたのか。
かつて大洋(現DeNA)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木豊が、セ・リーグ各球団の外国人選手たちの貢献度を、チームごとに【◎、〇、△、×】の4段階で評価した。

今季、ヤクルトの大きな戦力になったサンタナ(左)とオスナ
***
ヤクルト【◎】
6年ぶり8度目のリーグ優勝を果たし、日本一にも輝いたヤクルト。打線に厚みをもたらしたドミンゴ・サンタナとホセ・オスナ、クローザーのスコット・マクガフなど、投打において助っ人外国人が重要な役割を果たした。
「ヤクルトの助っ人外国人は充実していましたね。打線はサンタナとオスナが入って厚みが増しました。調子がいいほうを4番の村上(宗隆)の後ろに置いたり、2人の間に中村(悠平)をかまして打線のつながりや攻撃のバリエーションをもたせたり、並びがよかったと思います。
2人を並べたいと思ってしまうところですが、間にひとり置いたところが彼らのいい部分を引き出すことになり、チームの得点力(12球団トップの625得点)も向上させました。投手ではクローザーのマクガフ。失敗も目立ちましたけど、ハードなポジションを守ってチームの危機を救いました。
(アルバート・)スアレスと(サイ・)サイスニードも2人で6つの貯金を作れていますし、それぞれがチームにマッチしていた感じがします。リーグ優勝、日本一という結果が出ていることも踏まえて文句なしの◎です」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)サンタナ 116試合 打率.290 19本塁打 62打点 出塁率.366 OPS.877
(野)オスナ 120試合 打率.258 13本塁打 60打点 出塁率.293 OPS.694
(投)マクガフ 66試合 3勝2敗14ホールド31セーブ 防御率2.52
阪神【〇】
シーズン前半から中盤にかけて首位をキープするも、最後はヤクルトに優勝を許した阪神。2年連続でセーブ王に輝いたロベルト・スアレスや、9勝を挙げたジョー・ガンケルをはじめ、野手ではジェフリー・マルテらが一定の活躍を見せた。
「開幕までに助っ人外国人が合流できないチームが多かった中、阪神は開幕当初から揃っていたことが前半の快進撃につながり、首位をキープできていた要因のひとつでした。
特にスアレスですよね。スアレスまでつなぐことができたら負ける気がしませんでした。安心感は12球団のクローザーで間違いなくトップです。先発は、期待されたチェン・ウェインらが活躍できませんでしたが、ガンケルが9勝を挙げるなどローテーションの一角として十分な活躍を見せました。
打線もよかったですが、ロハス(・ジュニア)が他の外国人を"巻き込んでしまった"部分があるんですよね。春先のまま、マルテと(ジェリー・)サンズでいっておけばよかったのに、韓国で活躍していたロハスと契約したため、使わないといけない状況になってしまった。そのあたりが余計でしたね。選手を入れ替えざるをえず、マルテとサンズがモチベーションを保つことが難しかったと思いますし、バランスが崩れたことは確かです」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)マルテ 128試合 打率.258 22本塁打 71打点 出塁率.367 OPS.818
(野)サンズ 120試合 打率.248 20本塁打 65打点 出塁率.328 OPS.779
(投)スアレス 62試合 1勝1敗1ホールド42セーブ 防御率1.16
(投)ガンケル 20試合 9勝3敗 防御率2.95 QS率65.0
巨人【△】
エリック・テームズは、初出場の試合で守備時にアキレス腱を断裂して離脱。ジャスティン・スモークは34試合で7本塁打を放つなどまずまずの働きを見せていたが、コロナ禍の影響で家族の来日の見通しが立たずに帰国。打線の中軸として期待された両助っ人外国人が誤算だった。
「テームズやスモークが早々に離脱して、その穴を埋めたのが(ゼラス・)ウィーラー。新外国人選手の"代わり"という立場になって気持ちの持っていき方が大変だったと思いますが、それも踏まえてよくやったと思います。
投手で及第点だったのは(チアゴ・)ビエイラ。物足りなさはありましたけど、32試合連続無失点記録も作りました。(C.C)メルセデスは東京五輪で好投を見せるなど後半戦は期待されましたが、肝心の優勝争いの時に貢献できませんでした。今季はローテーションの中心として期待されていた(アンヘル・)サンチェスも、不振や故障で年俸に見合う働きはできませんでしたね」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)ウィーラー 121試合 打率.289 15本塁打 56打点 出塁率.358 OPS.837
(投)ビエイラ 56試合 0勝3敗1ホールド19セーブ 防御率2.93
(投)メルセデス 17試合 7勝5敗 防御率3.77 QS率29.4
広島【×】
打線の中軸として期待されたケビン・クロンは42試合、アレハンドロ・メヒアも18試合の出場にとどまるなど、広島は投打ともに助っ人外国人が振るわなかった。
「助っ人が、ほぼチームの助けになれなかったですね。まずまずの働きを見せたのは、(ロベルト・)コルニエルだけ。シーズン終了までは持ちませんでしたが、速くて角度のあるボールを生かして、シーズン途中はセットアッパーで頑張りました。セットアッパーでは(カイル・)バードも最後は出てきましたけど、シーズン通じては活躍していませんから。
打つほうはさっぱりでした。メヒアはほとんど2軍にいるような感じで、2軍で成績を残しても1軍で結果を出すことができませんでしたね」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)クロン 42試合 打率.231 6本塁打 16打点 出塁率.270 OPS.701
(投)コルニエル 50試合 1勝2敗 10ホールド 防御率3.82
(投)バード 33試合 0勝0敗 11ホールド 防御率4.57
中日【〇】
今季も打線の中軸を担ったダヤン・ビシエドをはじめ、クローザーとして49試合に登板したライデル・マルティネスらが活躍を見せた。
「中日は力のある助っ人外国人が多いです。中でもクローザーのマルティネスはよかったと思います。最後は疲労もあってか息切れしていましたけど、常に安定していました。先発の(ジャリエル・)ロドリゲスはいいものを持っているのに勝ちに恵まれなかったですね。替えなくていいところで替えたり、使い方がかわいそうでした。ただ、間違いなく力はあるので来年は期待できると思いますし、中日はロドリゲスを勝てる投手にしないといけません。
ビシエドは前後のバッターの調子がもっとよかったら......チームで打っていたのはビシエドひとりだけという印象でしたからね。成績は、本塁打も打率も打点も物足りないですが、ひとりだけマークされて、調子がいい時に勝負を避けられると苦しいですよ。それでも出場を続けたわけですから十分でしょう。
野手のマルティネスは、捕手または一塁、それとも外野で使うのか、スタメンで使うのか、代打で使うのか。起用法が中途半端で本人もどうしていいかわからなかったんじゃないでしょうか」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)ビシエド 130試合 打率.275 17本塁打 70打点 出塁率.333 OPS.766
(投)R・マルティネス 49試合 1勝4敗 23セーブ 防御率2.06
(投)ロドリゲス 12試合 1勝4敗 防御率3.65 QS率36.4
DeNA【△】
コロナ禍の影響により、主軸として計算できるタイラー・オースティンやネフタリ・ソトが開幕に間に合わなかったことが響いた。セットアッパーのエドウィン・エスコバーは、今季も61試合に登板するなど"鉄腕ぶり"を発揮した。
「『男は黙って投げるだけ!』といった感じのエスコバーは、相変わらずタフでしたけど、彼の実力からすると物足りなかった。シーズン途中で加入した先発の(フェルナンド・)ロメロは球に力がありますし、制球力も優れています。後半戦だけで5勝を挙げましたから来季に期待できますね。
オースティンは期待通りでした。彼が打った時はほとんど勝っていましたね。東京五輪のアメリカ代表で戦った影響もあってか、疲労困憊で最後にケガをしましたけど、十分に活躍しましたね。キャンプもできなかった状況も考えれば、開幕からプレーできていたら本塁打王を獲っていたかもしれない。チームにもうまく馴染んでいる印象です。
ソトは2年連続の本塁打王だったことを考えると物足りないですが、合流が遅れたことを踏まえると及第点。ただ、打率が悪かった。もう少し打率も残せるバッターだと思うんですけど、今年は荒さが目立ちましたね。
ここ数年のDeNAは、助っ人外国人がだいぶチームの勝敗を左右してきた、"背負ってきた"印象があります。それなりに頑張ったので〇をつけたいところですが、チームが最下位ということを考えると△ですかね」
【主な助っ人外国人の成績】
(野)オースティン 107試合 打率.303 28本塁打 74打点 出塁率.405 OPS1.006
(野)ソト 123試合 打率.234 21本塁打 62打点 出塁率.302 OPS.738
(投)エスコバー 61試合 4勝4敗 32ホールド1セーブ 防御率3.38
(パ・リーグ編>>)