フィギュアスケート女子シングル元日本代表の中野友加里さんがフィギュアスケートを様々な角度から発信するYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」。

このチャンネル内で特に視聴者の人気を集めているのが、中野さんと親交のあるスケーターたちとの対談企画だ。

これまで、安藤美姫さん、無良崇人さん、小塚崇彦さん、荒川静香さんら豪華スケーターたちが登場し、貴重な話をくり広げてきた。

そして今回、チャンネル5人目のゲストとして、ペアでソチ五輪に出場し、世界選手権銅メダリストの高橋成美さんが登場。

その第1弾として公開された動画では、互いにシングル・ペア両方経験者である2人ならではのトークが繰り広げられた。

【動画】中野友加里さんと高橋成美さんが語る「シングルとペアはこう違う!」

変なプライドが邪魔をする


現役時代、日本を代表するシングルスケーターとして活躍した中野さんだが、実はペアの経験者。

両方を経験し、体の使い方の違いについて、このように感じたという。

「私はトライアウトでしかペアをやったことがないんですけど、ペアってシングルと全然違う筋肉の使い方をしているんですよね。私、ペアとシングル両方やっておけば良かったなと思います。両方やっていたらシングルの方にも活きてきたかもなと思うくらい良い上半身の使い方をしていたなと」

シングルに加え、パートナーとともにダイナミックな技を繰り広げるペア競技は、また違った体の使い方にもなる。

加えて中野さんは、

「初めてペアをやった時なんですが、ペアって楽しそうに見えるじゃないですか。誰かと一緒に何かをやれるってことがそれまでなかったから、一緒にやれることがすごく楽しかったんです。ただ、人に合わせるのってこんなにも大変なんだという風に感じました」

と、相手に合わせるむずかしさについて口にした。

これを受けて、シングルからペアに転向した高橋さんは、

「変なプライドが邪魔するんですよね。特に私も、シングルから転向して、速く回れるほど良いと思っているけど、相手に合わせると自分のレベルを落とすような感じがして、なかなかその壁を崩せなかったりするんです。
今子供たちに(ペアを)教えていても、シングルが上手な子ばかりなので、例えば女の子にデススパイラル(ペア競技の技の一つ、男性と女性が手をつかみあい、男性が中心となり女性を回すもの)を教える時、男の子に合わせて足を下げてって言ったら、まず『なんで?』ってなりますね。その方が(ペアとしては)綺麗だからって思っていてもなかなか理解できないんですよね」

と、シングルで当たり前と感じていたことが、ペアになるとまた変わってくるむずかしさについて語った。

さらに高橋さんは、そんな相手がいてからこそ成り立つペア競技ならではのこんな苦労についても口にした。

「スピンは大体男の方が数えていて、日本だったら『はい!』とか、アメリカだったら『チェンジ』、ロシアは『フッ!』って感じでした(笑)
でも、試合になると、お客さんの拍手とか声で聞こえなくて聞き逃しちゃうっていうのも、めちゃくちゃ『ペアあるある』です」

スロージャンプには3種類!

ペア競技の魅力の一つといえば、スロージャンプだろう。

ここでも中野さんは、

「スロージャンプ一つとっても、こんなにもやり方が違うんだと多いました。ループをやった時に、回らせるためなのか、回転する前に腰をギュンってひねる人がいて、『え、こんなにひねるの?』って思ったことがあります。こういう一つのわずかな違いでも、人によってこんな違うんだと思いましたね」

と、シングルとの違いで苦労したと明かした。

一方、高橋さんは、そのスロージャンプの「種類」について、このように解説している。

「最近はハイブリットになってきていますが、スロージャンプも種類があって。これまでは中国式、北米式、ロシア式(ヨーロッパは含まない)がありました。中国式は、離したものを引いてとばしていく。北米式はどちらかというと、女の子のジャンプをアシストしてあげる。ロシア式は、それこそひねってタケコプターみたいに男の子が回してあげるっていう風に分かれています。個人的には中国式が安定もするしやりやすい。今でいうと木原龍一選手と三浦璃来選手は中国×北米式みたいな感じで、引くっていう少し乱暴な感じだけれども、最後はアシストしてあげるってやり方だから、すごく綺麗な弧線を描いて、降りた後の印象がいいんですよね」

初回から息の合ったトークで話が弾んだ2人。動画内では、来年1月に出演するミュージカルに向け、高橋さんが現在取り組んでいるという歌声も披露されている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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