史上初のダービー馬4頭の競演となった第41回ジャパンカップのゲートが開いた。 福永祐一が乗る1番人気のコントレイルは…
史上初のダービー馬4頭の競演となった第41回ジャパンカップのゲートが開いた。
福永祐一が乗る1番人気のコントレイルは、心配されたゲートからの1、2完歩目をスムーズに出した。外から来た馬たちを先に行かせ、中団のやや前の内目で流れに乗る。
「偶数枠だったので、遅めにゲートインし、スムーズなスタートが切れました。非常にいいポジションで、あとは馬を信じる以外に何もしませんでした」と福永。
アリストテレスがハナを切り、ワグネリアン、シャドウディーヴァらがつづく。
直後の外に3番人気のオーソリティ、少し遅れた内に2番人気のシャフリヤールがいる。
馬群は向正面へ。コントレイルは、シャフリヤールを2馬身ほど前に見る7番手で折り合っている。福永は言う。
「向正面に入ってからは、どのタイミングで追い出すかだけでした」
1000m通過は1分2秒2。
この遅い流れを嫌ってか、後方に控えていたキセキが外から一気に進出し、ハナを奪い切って3、4コーナーを回って行く。
しかし、キセキにつられて動いた馬はいなかった。
キセキが5、6馬身のリードを保ったまま直線へ。
ラスト400m付近でオーソリティが2番手に上がり、内のキセキに迫る。
その外からシャフリヤールが川田将雅のアクションに応えて伸びてくる。
コントレイルの福永は、何度も手綱を持ち直して、エンジンを吹かすようにしてから左ステッキでゴーサインを出した。
コントレイルは豪快に末脚を伸ばし、内で食い下がるシャフリヤールとの差をひろげながらラスト200mを通過。勢いの違いでオーソリティをかわし、鞭を右手に持ち替えた福永の最後の叱咤に応え、先頭でゴールを駆け抜けた。今年初めての勝ち鞍を挙げ、見事、有終の美を飾った。
「直線では馬を傷めないようにすることを考えいたので、あまり相手のことは見ていませんでした」と福永。
これまで、古馬になっても走りつづけた三冠馬はみな勝ち鞍を挙げていた。歴代の名馬につづき、コントレイルも最後に圧巻の強さを見せた。
「感動しました。三冠馬の名誉を守りたいという気持ちは強くありました。お客さまの前で、最後の勇姿を見せられてよかったです」
そう話した福永とともに、ラストランで、馬名の通りの鮮やかなコントレイル(飛行機雲)をターフに描いた。
(文:島田明宏)