「ウィンブルドン」会場を拡張する計画を、主催団体であるオールイングランド…

「ウィンブルドン」会場を拡張する計画を、主催団体であるオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)が立てている。しかし、地元住民の一部はこれに反対し、訴訟となるかもしれない。英Daily Mail紙ほか複数のメディアが伝えている。【関連記事】「ウィンブルドン」会場が美しい庭園内に増築!2030年完成予定

「ウィンブルドン」を開催するAELTCは、現在の会場に隣接する約73エーカー(約29万平米)ほどのウィンブルドンパーク・ゴルフクラブを改装し、グラスコートを39面と、収容人数8000人のスタジアムを建設するつもりだという。この拡張により、現在ロンドンの別会場で行われている予選を同じ会場で行うことが可能になる。

この計画に対し、国会議員のステファン・ハモンド氏や地元議員らが反対を表明しているのに加え、地元住民や団体による反対署名が1200以上集まっている。

議論の対象となっているのは、1993年にAELTCがこのゴルフ場の土地を購入した際に結ばれた協定書だ。この協定書には、この土地には何も建設しないと記されていた。だが2018年に、約750人いたこのゴルフクラブの会員らは一人8万ポンド(約1224万円)以上を受け取り、会員権を手放している。そして購入から28年経った今年、AELTCはこの地にエコ・フレンドリーなスタジアムの建設計画を発表。2028年までに予選会場をここに移し、プロジェクトを2030年までに完成する予定としている。

「ウィンブルドン」会場のあるロンドン南西部マートン区の区議会で、リベラル派議員のポール・コーラー氏はこの計画の中止を求めるよう議会に訴えた。

「1993年にオールイングランド・クラブにウィンブルドンパーク・ゴルフクラブの自由保有権を議会が売却した時、彼らはその土地に何も建てないと公に約束した。しかし今、オールイングランド・クラブは自らの発言を撤回し、議会とウィンブルドンの住民と交わした約束を破ろうとしている」

「地域住民からこれほど大きな反対を受けながらこれらの計画を実行し、あの土地に何も建設しないという以前の約束を反故にするなど言語道断であり、オールイングランド・クラブはウィンブルドン地区の人々を完全に侮辱している」とコーラー氏は主張した。

地元住民の一部は、地域の過度な開発だけでなく、今後約10年にわたり建設が続くことによる道路の定期的な閉鎖や、建設機械やトラックの行き来が増えることを心配している。一方で、地域経済の活性化になるとしてこの計画を歓迎する声もあり、地元住民の意見は割れている状態だ。

懸念を示す地元住民らに対し、AELTCのチェアマンを務めるイアン・ヒューイット氏は次のようにコメントした。「1993年の約束に関しては、クラブと地域が必要とするものが28年の間に進展したことをご理解頂けると信じております。AELTCは、ウィンブルドンが卓越したテニス大会であり続けるため、そして地域社会へ重大な社会経済的なメリットをもたらすため、努力を続ける必要があります」

「ウィンブルドンをより良い大会にするため、そして多くの一般市民の方々が恩恵を受けられるようにするために会場の拡張を行い、予選大会を本会場に移動するという私たちの計画は、地域社会への貢献と一貫するものであると確信しています。この土地は、今までと同じく、レジャーとレクリエーションの場として使用されます」

AELTCは今回の計画書を地域の議会へ提出したが、議会が計画書を承諾しても、他の団体から協定書を理由に訴訟を起こされるかもしれない。今後、反対する住民に配慮し、地域社会へのメリットを増やすなど、AELTCが計画の練り直しを迫られる可能性も出てくるだろう。

※為替レートは2021年11月26日時点

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ウィンブルドン」のロゴ

(Photo by Visionhaus/Corbis via Getty Images)