アマチュアボクシング全日本選手権 アマチュアボクシングの全日本選手権第3日が26日、東京・墨田区総合体育館で行われ、男子ミドル級2回戦では森脇唯人(自衛隊)が須永大護(東洋大)に5-0で判定勝ちし、27日の準決勝へ進出した。東京五輪は初戦に…

アマチュアボクシング全日本選手権

 アマチュアボクシングの全日本選手権第3日が26日、東京・墨田区総合体育館で行われ、男子ミドル級2回戦では森脇唯人(自衛隊)が須永大護(東洋大)に5-0で判定勝ちし、27日の準決勝へ進出した。東京五輪は初戦に勝利したが、2回戦敗退の25歳。4連覇に向けて格闘技の本質を追い求める。

 完勝にも辛口評価だった。森脇は持ち前の素早い身のこなしで相手のパンチを回避。的確に当て、ジャッジ5人全員がフルマークをつけた。「自己評価は70~80点ですけど、コーチや父には『何やってんだよ』と言われる。どこかで自分を守っている部分がある」とメンタル面を課題に挙げた。

 東京五輪では、2017年世界選手権王者オレクサンドル・ヒズニャク(ウクライナ)に2回戦で完敗。10月の世界選手権も初戦の2回戦でウズベキスタンの強豪選手に攻め手を欠き、0-5で敗れた。「自分のメンタルが原因。パンチをもらわないように、倒されないようにと思って自分を守ってしまっていた」。結果だけを見れば足りないものが多いが、世界で勝ち上がる選手との差はわずかだと感じている。

「ボクシングというスポーツですけど、喧嘩が強いような人が勝っていく印象。喧嘩の延長でボクシングの技術がプラスされていく。それはこの階級で戦って肌で感じてきたところです」

 帰国時も隔離施設内ですぐに練習。コンディション面でコロナ禍の影響がなかっただけに、この日は課題を払拭できないことが悔しかった。

 上限75キロのミドル級。世界的にも層が厚く、プロよりグラブが大きいとはいえ一発は重い。気持ちの面で一歩引いてしまう。それでも、メンタル以外では手応えがあった。「結果を出していない僕が言うのもおかしいですけど、全く世界との壁を感じたことはない。本当に気持ちの問題。そこを一番変えていきたい」と上への道筋は見えている。

全日本4連覇へ「全員をぶっ飛ばす」

 コロナ禍の五輪は、試合後2日で選手村を出なければならない。勝ち上がった選手たちの試合は自宅のテレビで見た。「めちゃくちゃ悔しくなった。俺、昨日まで戦ってたのになって。休んでいられない」と今大会まで休養期間なしで調整。世界選手権では、ウェルター級の岡澤セオン、バンタム級の坪井智也の日本人初金メダルを間近で見た。「めちゃくちゃ悔しいけど、凄く刺激を受けました」と気持ちは高ぶっている。

「大きな目標はパリに出てメダル獲得。その前にアジア大会もある。目の前の試合に重きをおいて頑張りたい。残り2試合、全員をぶっ飛ばしてぶっちぎりで優勝したい。守りすぎず、攻めるボクシング。格闘技なので、もっと相手をぶっ飛ばすことを考えてやりたい」

 世界選手権銀、ロンドン五輪金の村田諒太以来のミドル級プロスペクト。未だ世界で結果を残せていないが、まずは格闘技の本質を突き詰めながら全日本4連覇を目指す。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)