プレシーズンゲーム1試合に出場した後、左足ふくらはぎの張りで欠場が続いていた渡邊雄太が、日本時間11月25日(北米時間24日)の対メンフィス・グリズリーズ戦で待望の今シーズン公式戦初出場を果たした。この試合は昨シーズンまで所属した古巣との対戦で、かつてのホームタウンであるメンフィスでの一戦。渡邊は13分46秒間コートに立ち、3得点、3リバウンド、2スティール、2ブロックを記録して126-113の勝利に貢献している。

 

今シーズン初の公式戦出場を果たした渡邊は、その後の会見でもさわやかな笑顔を見せていた


 渡邊のパフォーマンスは、残した数値以上のインパクトがあった。第2Q開始2分過ぎに初めてコートに登場するや、その約1分半後にタイアス・ジョーンズのレイアップをブロック。直後のオフェンスではリバウンドからのプットバックでファウルをもらい、フリースローで今シーズン初得点を記録した。

 

豪快ブロックで「復帰宣言」


 この試合での3得点はすべてフリースローによるものだが、いずれもオフェンスでのリバウンドからプットバックに向かうプレーで得た機会。ベンチから「エナジーをもたらしたい」という自身の思いを体現する奮闘が得点につながった形だ。得点に関しては、本来ならばフィールドゴール1本分が加えられるべきだった。というのは、渡邊が狙ったレイアップがリムを通過しようというところで相手がネットをつかんでゴールを揺らし、こぼれ出たプレーがあったからだ。オフィシャルはこのプレーを見逃し得点ならず。試合後の会見では渡邊自身、この点に苦笑いで言及していたが、スピードに乗ったこのプレーも見ごたえのある瞬間を提供した。


 ディフェンスでは、相手のディロン・ブルックスがダンクに向かうところを豪快にブロックするシーンもあった。その瞬間オフィシャルは渡邊のファウルをコール。しかしニック・ナースHCがビデオ判定を要求した結果そのコールは取り消しとなり、渡邊のクリーンブロックが認められた。


 こうした派手なプレーだけではなく、体を良く動かしアグレッシブなダブルチームでボールを奪ったり、巧みなハンドワークで相手の持っているボールをはじくプレーがたびたび見られた。

 

試合前の会見でのナースHC。初のベンチ入りがかなった渡邊に対する期待を語っていた


 試合前、ナースHCは会見で渡邊のベンチ入りすることを明かした後、プレシーズンの段階での渡邊がこれまで見た中で最高の状態と捉えていたことを明かし、そのレベルに近い状態であってほしいとの思いを話していた。実際に試合を終えた後の会見では、渡邊がチームを勢いづけたことについて「みごとでした」と高く評価。「我々が獲れずにいたルーズボールを追いかけ、ものすごいブロックもあったし、全力の好プレーを随所で見せてくれました。力強く勢いがあるハッスルでしたね」


 シーズン初戦では、チームにおけるプレー上のあらたな原則をどれだけ飲み込んでいるかという点も一つのチェックポイントだったが、ナースHCの多様なゾーンディフェンスの中で渡邊は状況に応じて異なる役割をこなすことができており、その点でも合格点をつけられる内容だった。あるときは2-3ゾーンの下の列でコーナーを受け持ち、またあるときは3-2ゾーンでウイングにプレッシャーをかけていた渡邊の出来について、ナースHCは以下のように絶賛している。

 

「そこは彼の持ち味です。サイズがあり一所懸命動いてくれるし、小柄なプレーヤーを追いかけまわし、大きなプレーヤーにも目を向けられます。柔軟性の高いディフェンダーで、小柄なプレーヤーから大型プレーヤーに対応が変わってもスウィッチが可能なんです。何より戦う気持ちがあり、相手が何をするにも難しくなるように最善を尽くしてくれます。アウトサイドでは相手の前に立ちはだかり、インサイドでは懸命にポジション争い。今日はいい仕事ぶりでした。勢いをもらいましたね」

 

指揮官、チームリーダーも高評価の復帰初戦


 その後ズーム会見に登壇したポイントガードのフレッド・バンブリートも、渡邊の復帰早々の活躍に「素晴らしかったですね。戻ってくれてうれしいです」と話した。「レイアップをちょっとミスったのでからかってやりましたけど、それは僕らの仲なので」とジョークを絡めて笑顔を見せ、「大好きです(I love him)」とチームリーダーとして渡邊の復帰を祝っていた。

 

渡邊に対し「I love him」と親しみを込めて語るフレッド・バンブリート

 

 会見の最後には渡邊自身も姿を見せ、約20分間にわたってメディアに対応した。すでに現地メディアの注目度も非常に高くなっており、この日の活躍に質問が次々と浴びせられていた。


 豪快なブロックショットについては、昨シーズン話題となったアンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)にポスタライズされたシーンも引き合いに出され感想を求められたが、「これまでも話してきたとおり、あのようなことが100回あれば僕は100回ジャンプします」と力強く答えた。また、そのプレーでナースHCが判定にチャレンジしてくれたことにも「ありがたかったです」と感謝の気持ちを述べていた。


 実際に復帰を果たして、現時点での状態はどうなのか。渡邊は以下のように答えている。

 

――どこまで常態が戻っているのか
「足の痛みは、正直なところ完璧にとれているわけではないのですが、これ以上悪くなることはないと言われています。痛みは今後も続いていくのかなと思うんですけど、プレーができるだけの回復はしています。トレーナー陣ともしっかり話した上での今日だったので、体の調子自体は完ぺきとはいかないですけど良くはなっています。ただ、やっぱり約2ヵ月できていなかった分、試合勘やタッチがさびてしまっている部分はあります。そこは今後、試合や練習で修正です。自分自身でもプレシーズンはかなり自信があったので、あのときの状態に戻してさらに良くしていけるようにしていけたらなと思っています」


――一つ目のファウル、クローズアウトでの接触で笛を吹かれたことの見方
「もうちょっと良いクローズアウトをしなきゃいけないなとは思いました。あのプレーが試合にすごく影響してはいないんですけど、ああいった簡単なファウルを吹かれない方がいいと思います。自分はクローズアウトをもっとうまくできるはずなので、そういった部分でさびているというのは感じました」


 できたこと、できなかったこと、できるはずのことが見えた開幕初戦は、次につながるステップに他ならない。渡邊は試合から約半日が過ぎたに日本時間の深夜に、自身のソーシャルメディア・アカウントで「Felt great to be back playing 復帰に多少時間かかりましたが、約2ヶ月ぶりのコート最高でした」とのメッセージを公開しており、待望の復帰に対する感触はやはり良かったようだ。

 

 ラプターズはあと1試合遠征が続く。次戦は日本時間10月27日(土=北米時間26日[金])に行われるインディアナ・ペイサーズとの一戦だ。


取材・文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)