2020年から2年越しで行われてきた男子の国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリード、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~1…

2020年から2年越しで行われてきた男子の国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリード、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)がいよいよ大詰めを迎える中、次回2022年大会の開催地が話題となっている。英BBCなど複数のメディアが報じた。【関連記事】「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」に出場しない主な選手たち

1900年に始まった「デビスカップ」は、2019年にそれぞれの国で試合を行うやり方から、決勝ラウンドに参加する18ヶ国が一堂に会する形式へと大きな転換を行い、今年はさらに決勝ラウンドを1都市ではなく3都市で開催するという新たな試みが加わった。その運営に大きく関わるのは、2018年、「デビスカップ」に25年間で30億ドル(約3450億円)の資金提供を約束した投資グループのKosmosだ。

賛否両論を巻き起こした大会が進む中、来年以降の開催地に関する噂が飛び交っている。イギリスの新聞The Telegraphが情報筋の話を元に報じたところによれば、2022年からの5年契約で「デビスカップ」のファイナルズはアラブ首長国連邦(UAE)が首都アブダビにて開催するとのことだ。この報道に対して、ITF(国際テニス連盟)の広報担当は「“デビスカップ”のファイナルズ開催地が中東になるという憶測は今に始まったことではありません。ITFの理事会はKosmosとともに2022年の開催地を検討しており、今大会が終わるまでには決定する予定です」と述べている。

現在「デビスカップ」に参加している各国の監督もこの噂を耳にしており、一様に不安を募らせている。

2015年にイギリスを優勝へと導き、現在も代表チームの監督を務めるレオン・スミスは「来年のことは聞いているけど、また聞きでしかない。決断の前にもっとよく話し合うべきだ」と話す。「選手に近い我々は、何が最善かをよくわかっている。Kosmosも大会の成功を願っているのはわかるが、こちらをもっと巻き込んでほしい。たくさんの人たちに見に来てほしいのは同じだからね。“デビスカップ”の目的は経済的なことばかりではないはず。感情的なことや雰囲気、環境だって大事なんだよ。大会を発展させていくためにはもっとオープンな話し合いが必要だ」

ドイツ代表の監督を務めるミハエル・コールマンは「このフォーマットにチャンスを与えるべきだと思うけど、毎年ファンが世界中を移動するとは思えない。(熱狂的なファンが多い)サッカーとは違うからね」とコメント。「2018年大会でスペインの試合が闘牛場で行われたことがあったように、この大会にとってファンの存在はすごく大きい。だが現在の運営方法ではそういう演出は無理だ。今となっては予選ラウンドをホームの観客の前でプレーできたらかなりラッキーだよ」

新フォーマットで初めて行われた前回の2019年大会はホームのスペインが優勝、レベルの高い試合が行われたとして大会は成功と評された。その一方で、終了時間が深夜を回る試合もあるなど、スケジュール的な問題が指摘されたほか、一部の会場では観客の姿がまばらと、かつての「デビスカップ」ではおなじみだった熱狂的なファンで埋め尽くされた会場からはかけ離れており、Kosmosも多額の損失を出したとされている。実際にアブダビ開催となった場合、国としても個人としてもテニス界でほぼ実績のない地域での集客力はいかほどのものか。さらに、来年の同時期には近隣のカタールでサッカーのワールドカップが開催されるため、そちらとの兼ね合いも気になるところだ。

※為替レートは2021年11月25日時点

(テニスデイリー編集部)

※もうこんな姿は見られない?かつての「デビスカップ」でスタンドを埋め尽くす観客たち

(Photo by Alex Pantling/Getty Images)