今季のJ1は川崎フロンターレが連覇したが、新たな変化の胎動がある。屈指の人気を誇る浦和レッズである。 人気のみならず…
今季のJ1は川崎フロンターレが連覇したが、新たな変化の胎動がある。屈指の人気を誇る浦和レッズである。
人気のみならず、実力ある選手もそろっている。さらに、新たな流れを持ち込みそうなリカルド・ロドリゲス監督もやってきた。
浦和に、川崎の3連覇を阻む「器」はあるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■一番人気のユニフォーム
浦和レッズのホームである埼玉スタジアム。最寄り駅は埼玉高速鉄道の浦和美園である。かつては、この駅からスタジアムまでメディア用の無料シャトルバスが出ていたのだが、新型コロナウイルス感染症が拡大してからはバスがなくなってしまった。
そこで、浦和美園駅からスタジアムまで約20分をかけて向かうのだが、当然、周囲を赤いレプリカユニフォームを着用したレッズ・サポーターに囲まれて歩くことになる。
サポーターの皆さんの多くは、赤いシャツに思い思いの贔屓の選手の背番号を付けているが、最も多いのは(ちゃんと数えてみたわけではないが)「22」なのではないだろうか?
浦和レッズの22番。そう、阿部勇樹選手である。
■「チームスタイル」を象徴した選手たち
ボランチ(またはセンターバック)という地味なポジションの選手が、これほど長く最高の人気を保っているのである。レッズのサポーターにとってのレジェンドなのであろう。
「22」に次いで人気なのが「5」であり、また「30」なのではないか。
「5」はDFの槙野。ペトロヴィッチ監督が広島から連れてきた選手たちの1人で、センターバックながら攻撃的なスタイルを持ち、また明るい性格やファンサービスの良さで人気を保っているのだろう。
そして、「30」の興梠慎三。前線での得点感覚や周囲を生かすプレースタイル。好不調の波が大きい選手だったが、日本代表に定着してもよい優れたFWだった。
阿部にしても、槙野にしても、興梠にしても、今でも高い人気を誇っているのはただ長い時間、浦和に在籍しているからだけではない。その時代、その時代の浦和のチームスタイルを象徴するような存在だったから、クラブを愛するサポーターの気持ちを動かし、またこれからもサポーターの記憶に残っていく存在なのであろう。
■来季はスタイルを確立するシーズン
ペトロヴィッチ監督がチームを離れてから、明確なチームスタイルがなく、迷走したような形になっていた浦和レッズ。それが、新しいチームの顔が生まれない原因だった。
その人気の高い阿部選手が先日、現役引退を表明。そして、槙野選手も浦和を離れることが発表された。
今でも人気の高い“看板選手”たちがチームから姿を消すのだ。浦和は、早く新たなチームカラーを確立して、「22」や「5」に替わる新しい「チームの顔」を探し出す必要がある。
それが、どんなチームスタイルになるのか? そして、新しいレジェンドが誰なのか……。その答えが出るのは来シーズン以降である。
現状では、まだまだ安定感に欠けており、来シーズンのうちに川崎フロンターレに追いつき、追い越してリーグ戦での優勝を狙うことは難しいような気がする。来シーズンは、チームのスタイルを確立するシーズンなのではないか。
タイトルを狙うのはその先。目先のタイトルを目指すよりも、ビッグクラブ候補の最右翼である浦和レッズには長期的な視野でチーム作りを進めていってもらいたいものである。